【為替本日の注目点】ユーロドルおよそ1カ月ぶりに1.00台後半に

ドル円は東京時間は上値が重い展開だったが、NYでは135円台半ばを超え135円90銭まで上昇。7月28日以来となるドル高水準を付け、高値圏で取引を終える。ユーロドルも下げが加速し、約1カ月ぶりに1.0080まで下落。株式市場は小幅ながら3指数が上昇。経済指標の後押しもあり、ややリスク選好の流れから株式が買われた。債券は反発。長期金利は2.88%台とやや低下。金は4日続落。原油は続伸し90ドル台を回復。 新規失業保険申請件数       →  25.0万件 8月フィラデルフィア連銀景況指数 →  6.2 7月中古住宅販売件数       →  481万戸 7月景気先行指標総合指数     →  -0.4 【本日の注目イベント】 日 7月消費者物価指数 独 7月生産者物価指数 欧 ユーロ圏6月経常収支 英 7月小売売上高 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演 加 6月小売売上高 ドル円は昨日の東京時間ではいつものように上値が重い展開が続いていましたが、NYでは一転して上昇。135円台半ばを超え、135円90銭まで買われ、ほぼこの日の高値圏で取引を終えています。フィラデルフィア連銀製造業景況指数が良かったことや、失業保険申請件数も3週間ぶりに減少するなど、経済指標の好転という材料がありましたが、ドル円を押し上げるにはそれほど強い材料ではありません。ドル円と相関関係が高い米長期金利は小幅ですが低下しており、やや説明がつきにくい状況です。ここはやはりユーロドルに引っ張られた側面が強いと思われます。ユーロドルは1.01を割り込み、1.0080辺りまで「ドル高・ユーロ安」が進み、約1カ月ぶりの安値まで沈んでいます。このドル高の影響がドル円にも波及したと思われます。 8月も後半に入り、9月のFOMCでの利上げ幅に焦点が移ってきました。昨日も複数のFOMCメンバーによる発言がありましたが、金融当局者の彼らの中でも意見が分かれていました。SFシスコ連銀のデーリー総裁はCNNとのインタビューで、「われわらは政策金利を少なくとも中立水準の3%をやや上回る水準に政策金利を引き上げる必要があるが、恐らく年内に景気抑制的な領域である3%をやや上回る水準に、来年には3%をさらにやや上回る水準とする必要性がありそうだ」と述べ、「利上げ後は水準を維持するという戦略は、歴史的に見ても奏功してきたと考えている」と説明しています。また、タカ派のブラード・セントルイス連銀総裁はダウ・ジョーンズ通信とのインタビューで、9月のFOMC会合で0.75ポイント利上げすることへの支持を考えているとの報道があります。一方カンザスシティー連銀のジョージ総裁は大幅な利上げには慎重なトーンを示しており、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、「リセッションに陥ることなくインフレを抑制できるかどうか確信を持てない」と述べています。(ブルームバーグ)こうなってくると来週のジャクソンホールでのパウエル議長の発言がますます重要になってきますが、今月のデータで示されたようにインフレのピークアウトが来月も示されるのかどうかが最も重要になってきます。パウエル議長がどのような発言を行おうと、結局、利上げ幅はそれまでは「白紙」だということです。 今週はNZ準備銀行が追加の大幅利上げに踏み切るなど、世界的にもほぼ全ての中銀がインフレファイターとして政策運営を行っている中、またあのトルコ中銀が流れに逆行する「利下げ」を断行しました。トルコ中銀は政策金利である1週間ものレポ金利をこれまでの14%から13%に引き下げました。トルコでは直近のCPIが年率で「79.6%」(7月実績)と記録的なインフレに見舞われている中、7カ月ぶりの「利下げ」はサプライズです。発表直後リラは急落しましたが、その後は水準を戻しています。トルコ中銀の発表では「政策金利は現在の見通しでは適切な水準だ」としていますが、エルドアン大統領の意向が強く働いていることは明らかで、ブルームバーグは記事の中で、「インフレ率が24年ぶりの高水準となっている同国の利下げは予想外で、市場に衝撃が走った」と伝えています。 昨日もこの欄で触れた、ワイオミング州の予備選挙で敗北したリズ・チェイニー氏が共和党の大統領候補に出馬する意向のようです。チェイニー氏はこれまでにも、2024年の大統領選でトランプ氏がホワイトハウスへの復帰を目指すのを阻止するため、「必要なことは何でもする」と述べていました。チェイニー氏はCNNの番組で、「トランプ氏は引き続き重大な脅威を突き付けており、わが国に対するリスクだと私は信じている。彼を打ち負かすには、共和党員と民主党員、無党派層の幅広い共同戦線が必要になると思う。私はそれに関与するつもりだ」と述べています。24年の大統領選で共和党候補になるのは簡単ではありません。知名度、お金、組織力、パワーなど、どれをとってもトランプ氏有利は動きませんが、もし実際に出馬するのであれば、個人的にはこの決断に拍手を送りたいと思います。 ドル円は再び136円手前で推移しています。ここから136円台に乗せることがきれば、今度はショート筋のストップロスを巻き込む可能性もありそうです。今週に限って言えば、多くの市場関係はドル下落を見込んでいました。 本日のドル円は135円~136円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間は上値が重い展開だったが、NYでは135円台半ばを超え135円90銭まで上昇。7月28日以来となるドル高水準を付け、高値圏で取引を終える。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-08-19 09:45