【為替本日の注目点】ユーロドル、20年ぶりに0.9928前後まで下落

ドル円は続伸し137円65銭まで上昇。東京時間の夕方には136円70銭まで売られたが、NYでは長期金利の上昇やユーロ売りが一段と進んだことにも反応し上昇。ユーロドルはパリティを割り込み、0.9928まで売られ、2002年以来約20年ぶりの安値を記録。ガス価格の上昇を手掛かりにユーロ売りが加速。株式市場は3指数が揃って大幅に続落。26日のパウエル議長の講演でタカ派色が強まるとの観測が拡大。ダウは600ドルを超える大幅な下げに。債券も続落。長期金利は3%台に乗せる。ドル高、金利高に金は6日続落し、約1カ月ぶりの安値に。原油も小幅安。
ドル/円 137.03 ~ 137.65
ユーロ/ドル 0.9928 ~ 1.0008
ユーロ/円 136.40 ~ 137.31
NYダウ ―643.13 → 33,063.61ドル
GOLD ―14.50 → 1,748.40ドル
WTI ―0.54 → 90.23ドル
米10年国債 +0.042 → 3.015%
【本日の注目イベント】
トルコ トルコ8月消費者物価指数
独 独8月製造業PMI(速報値)
独 独8月サービス業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏8月製造業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏8月サービス業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏8月消費者信頼感指数(速報値)
欧 ユーロ圏8月総合PMI(速報値)
英 英8月製造業PMI(速報値)
英 英8月サービス業PMI(速報値)
米 8月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
米 8月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
米 8月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)
米 8月リッチモンド連銀製造業景況指数
米 7月新築住宅販売件
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、質疑応答で発言
米 中間選挙予備選(フロリダ、NY州)
市場は26日のジャクソンホールでのパウエル議長の講演内容を巡り、大きく揺れ動いています。昨日も触れたように、パウエル議長が「タカ派的」な発言を行うとの見方が急速に強まり、為替、債券、株式、あるいはそれらの先物市場も値動きが大きくなっており、「タカ派発言」に備える構えを見せています。
株式と債券は売られ、金利上昇を背景にドル円は137円65銭まで上昇。昨日の東京時間ではいつものようにドルの上値が重い展開でしたが、NYでは一変してドル買いが強まり、137円50銭を超えています。もっとも、昨日に限って言えば「主役」はユーロでした。ユーロドルは「パリティの1.00」を割り込み、一時は2002年以来となる0.9928まで売られました。パリティ割れは時間の問題と見られておりましたが、ロシアの国営天然ガス企業ガスプロムが、同国からドイツに至る主要パイプライン「ノルドストリーム」を通じた欧州への天然ガス供給を8月31日から9月2日まで3日間停止すると発表したことで、この冬に向けドイツなど資源エネルギー確保への懸念が広がりました。複数のストラテジストは、「ユーロ安のほんの始まりだ」とみており、モルガンスタンレーは7-9月期(第3四半期)にユーロドルは2000年代始め以来となる0.97まで下落すると予想し、ノムラ・インターナショナルも9月末までに0.975が目標としつつ、エネルギー供給面の圧力で停電のリスクが強まるなどして期中には0.95、それ以下が視野に入る場面があるかもしれないと予想しているといった記事を、ブルームバーグは配信しています。仮にユーロドルがそこまで売られるようだと、ドル円も140円台乗せは十分可能で、さらに上昇しているものとみられます。
パウエル議長がタカ派的な発言を行うのではないかとの見方の背景は、やはりインフレがピークアウトしたという「エビデンス」が欲しいということに尽きます。原油価格が下がり、ガソリン価格も低下したものの、いつまた反発するかもしれません。景気そのものが減速すれば、経済活動が停滞し原油使用量も減少すると予想されることから、原油価格の下押し圧力になります。そのため、FRBは「景気拡大を封印してもインフレ抑制を優先する政策」を採る必要があるといった見立てなのでしょう。昨日のNY株式市場ではダウが一時700ドルを超える下げを見せ、長期金利は3.04%近辺まで上昇する場面もありました。金利上昇とドル高の影響から金も売られ、原油も下げており、まさに「タカ派発言」に備えた動きだったと言えます。投機筋も先物市場で金利上昇に備えた動きを加速させており、米商品先物取引委員会(CFTC)の最新データによると、債券のショートポジションは過去最大の69万5493枚に達しています。債券が売られ、金利が上昇したら利益が出るポジションです。またユーロドルのネットショートポジションも260万枚を超え、今年最高水準付近まで積み上がっています。
例年ジャクソンホールでのシンポジウムは注目されていますが、今年は特に米国が40年ぶりのインフレに見舞われていることで、金融政策のヒントを得たいという意味でさらに注目度が増しているようです。
市場の関心はドル円からユーロドルに移ってきた印象で、ドル円を手掛けている投資家もユーロドルの動きには目が離せません。ドル円は日足の雲の上限を抜けてきました。またMACDも「プラス圏」に浮上してきており、ここから見る限りドル円は再び上値を試す動きが強まってきたと見られます。問題は、ジャクソンホールでパウエル議長が、本当に市場が想定する「タカ派的な発言」を行うのかどうかという点です。「市場は時折間違う」ということも意識の中に入れておき、日々市場と対峙することが肝要です。
本日のドル円は136円80銭~138円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続伸し137円65銭まで上昇。東京時間の夕方には136円70銭まで売られたが、NYでは長期金利の上昇やユーロ売りが一段と進んだことにも反応し上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-08-23 10:30