【為替本日の注目点】ドル円一転して下落。一時135円台に

137円台で推移していたドル円は軟調な経済指標を受け急落。135円82銭まで売られたが、その後136円台後半まで値を戻すなど、荒っぽい動きが続く。ユーロドルは続落し、朝方には0.9914前後まで売られたが、その後反発。株式市場は続落。ナスダックはほぼ横ばいながら、ダウは3日続落。債券は続落。長期金利は3.04%台に上昇。金と原油は揃って上昇。
8月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 51.3
8月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 44.1
8月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 45.0
8月リッチモンド連銀製造業景況指数 → -8
7月新築住宅販売件 → 51.1万件
ドル/円 135.82 ~ 137.64
ユーロ/ドル 0.9914 ~ 1.0018
ユーロ/円 135.88 ~ 137.06
NYダウ ―154.02 → 32,909.59ドル
GOLD +12.80 → 1,761.20ドル
WTI +3.38 → 93.74ドル
米10年国債 +0.032 → 3.046%
【本日の注目イベント】
米 7月耐久財受注
米 7月中古住宅販売成約件数
ドル円は荒っぽい動きが続いています。前日、ジャクソンホールでパウエル議長が「タカ派的」な発言を行うとの見方が強まり、株と債券が大きく売られ、金利が上昇したことでドル全面高の展開になりましたが、昨日は米経済指標の下振れを受け、ドルが大きく売られました。S&PグローバルPMIなど、一連の経済指標が悪化していたことで、米国の景気後退懸念や、パウエル議長が「タカ派的」な発言を封印するのではとの見方が広がり、ドルが一転して売られました。ドル円は137円65銭レベルから137円を割り込み、一気に135円台後半まで急落。さらにその後136円台後半まで値を戻す荒っぽい動きでした。わずか30分ほどで1円80銭ほど動いたことになります。パウエル議長の発言が「タカ派」になるのか「ハト派」になるのかを巡って、投資家の思惑が交錯しているようです。
昨日は債券も売られ株も売られましたが、一方で金は7日ぶりに反発し、原油も大きく買われています。ブルームバーグ・テレビジョンの番組で、ゴールドマンのチーフエコノミストであるハッチウス氏はパウエル議長について、「前回の記者会見の場合と同様、彼は先行き利上げペースを落とす方針を示すのではないか。これまでに2回連続の0.75ポイント利上げがあった。データ面で大きなサプライズがない限り、9月の動きは0.5ポイントというのがわれわれの予想だ」と述べ、さらに「議長が数字を特定することはないと考えられるが、引き締め過ぎのリスクがあり、大幅な引き上げよりも、ややゆっくり進めることが理にかなうと指摘すると私は想定している」と説明しています。この番組の影響も多少あったのではないかと思われますが、「タカ派的な発言を封印」との観測が一夜で高まるなど、市場は手掛かりを求めて右往左往している状況です。議長が9月利上げの幅について言及することはまずないと考えますが、大幅利上げを2回連続で実施した後だけに、「その効果を見極めながら引き続きインフレ抑制に全力で取り組む」といったコメントも予想できそうです。ただその場合、ドル買いなのか、ドル売りなのか、難しい判断になりそうです。そんな中、FRBが23日に公表した議事要旨では、12地区連銀のうち2行が、7月に公定歩合を1ポイント引き上げることを支持したことが明らかになっています。7月のFOMCでの利上げ幅は0.75ポイントでしたが、「こうした投票は、各地区連銀がどのくらいの利上げ幅を選好するのかを示すサインとして重要になり得る」(ブルームバーグ)とのことです。
本日24日で、ロシアがウクライナ侵攻を始めて半年になります。ウクライナのゼレンスキー大統領は24日の独立記念日を前に、2014年に併合されたクリミア半島からロシアを排除するとの決意を改めて表明しています。この間、ロシアの執拗な攻撃により、ウクライナでは少なくとも972人の子供の死傷が確認されたと、国連児童基金(ユニセフ)の事務局長が電子メールで配信した資料で初めて明らかになっています。「実際の数字はこれよりもかなり大きいとわれわれは考えている」とラッセル事務局長はコメントしています。また、ウクライナ軍のザルジニー総司令官は、ロシアとの戦争で9000人近くのウクライナ兵が死亡したことも明らかにしています。一方クリミア南部の軍施設を爆破されたロシアは、向こう数日間にウクライナの政府施設やインフラへの攻撃を強化する準備を行っていると、米当局者が明らかにしており、戦闘がさらに激化する可能性もありそうです。不毛な戦争はいつ終わるのか予想もつきません。
値動きの大きいドル円は日足の雲の上限を一旦抜けましたが、再び押し戻され、同上限を挟んで上下しています。ジャクソンホールまでまだ2日以上ありますが、米長期金利が3%台を維持していれば、ドルの支援材料になりそうです。ただ、NYダウは先週戻り高値を記録してからすでに1250ドルほど下げています。日柄的にも戻す可能性があり、株高、債券高に伴い、金利低下を手掛かりにドルが売られる展開もないとは言えません。テクニカル的には上昇傾向を辛うじて維持しているドル円ですが、ニュース一つで荒っぽい動きをみせるためどちらにも振れる可能性もありそうです。
本日のドル円は135円50銭~137円50銭といったところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
137円台で推移していたドル円は軟調な経済指標を受け急落。135円82銭まで売られたが、その後136円台後半まで値を戻すなど、荒っぽい動きが続く。ユーロドルは続落し、朝方には0.9914前後まで売られたが、その後反発。株式市場は続落。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-08-24 09:45