【為替本日の注目点】米長期金利2カ月ぶりに3.1%台に上昇

ドル円は137円台を回復。ジャクソンホールでのパウエル議長の講演を見極めたいとの雰囲気の中、米長期金利が3.1%台に乗せたことでドルが買われ、137円23銭前後までドル高に。ユーロドルも小幅に続落し直近安値を更新。9月の会合では0.75ポイントの利上げ観測もユーロ安の流れを止められず。株式市場は4日ぶりに反発。このところ連日下げていたことから買い戻された。ダウは59ドル上昇し、ナスダックも50ポイント買われる。債券は続落。長期金利は一時3.12%台まで上昇し、2カ月ぶりの高水準に。金は小幅ながら続伸。原油も続伸し94ドル台を回復。 7月耐久財受注         →  0.0% 7月中古住宅販売成約件数    →  -1.0% ドル/円  136.56 ~ 137.23 ユーロ/ドル 0.9910 ~ 1.0000 ユーロ/円  135.67 ~ 136.78 NYダウ  +59.64 → 32,969.23ドル GOLD   +0.30 → 1,761.50ドル WTI  +1.15 → 94.89ドル 米10年国債 +0.058 → 3.104% 【本日の注目イベント】 独   4-6月期GDP(改定値) 独   独8月ifo景況感指数 欧   ECB議事要旨 米   4-6月GDP(改定値) 米   新規失業保険申請件数 米   ジャクソンホール会合(27日まで)  前日135円台後半まで売られたドル円は再び137円台まで上昇してきました。明日のジャクソンホールでのパウエル議長の講演が「タカ派」になるのか、あるいは「ハト派」になるのか、全ての金融市場が固唾を飲んで見守る中、債券市場では連日債券が売られ、金利が上昇しています。10年債は4日続落し、長期金利は2カ月ぶりに3.12%まで上昇し、これがドル円を137円台に押し上げています。  債券市場ではパウエル議長の講演内容が「タカ派」になると想定しているようですが、こればかりは蓋を開けてみなければ分かりません。市場の読みも、議長が当初はインフレ抑制を前面に出し、「タカ派」寄りの内容になるとの観測が強まり株価が大きく売られました。しかし、その翌日にはPMIなど米景気減速を示す一連の経済指標を受け、今度は「ハト派」の見方が広がり、ドル円は135円台後半まで売られる展開でした。7月のCPIなど、インフレ指標が鈍化したことは事実ですが、ロシアからのエネルギーの供給懸念も予想され、資源価格の先行きが見通せない状況下、「もう数カ月はインフレのピークアウトを示す確かなエビデンスが欲しい」というのが、パウエル議長の本音なのではないかと思います。これまでの急激な大幅利上げの効果も見られ、今後のインフレ抑制にもある程度の「目安」がついてきたものの、まだ「踏み続けているブレイキを離すわけにはいかない」といった状況かと思います。  ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授は、過度に急激な利上げはインフレを悪化させる可能性があると、やや逆説的な発言を行っています。同氏はドイツでのインタビューで、「利上げは供給サイドの問題解決にはならない」と指摘し、「問題を悪化させることすらあり得る。今やった方がいいのは供給サイドのボトルネックへの投資を増やすことだから、利上げはそうした投資を行うのを一段と難しくする。その上で、「利上げがどのようにして、食品やエネルギーの増大につながるのだろうか。また半導体供給の問題を解決させるのだろうか。それは一切ない。問題の根源には行き当たらない。状況を悪化させるというのが現実のリスクだ」と論じています。(ブルームバーグ)  ロシアからの「独立記念日」に、ロシアの侵攻からちょうど半年を迎えたウクライナではゼレンスキー大統領がビデオ演説を行い、「ウクライナはクリミア半島とドンバス地方を奪回するまでロシアとの闘いを諦めない」と改めて表明しました。バイデン大統領はウクライナへ、これまで1回あたりの支援額としては過去最大となる29億8000万ドル(約4100億円)相当の追加軍事支援を行うと発表しました。また、ジョンソン英首相は首都キーウを電撃訪問し、ウクライナへのドローンなど5400万ポンド(約87億円)相当の軍事支援を表明しました。ジョンソン首相はゼレンスキー大統領と会談を行い、「ウクライナはこの戦争に勝利すると信じている」(I believe Ukraine can and will win this war )とゼレンスキー氏にエールを送っています。  パウエル議長の講演は明日夜11時に予定されていますが、講演を前にポジション調整も予想されますが、今週に入ってもそこそこの値幅もあり、ある程度の調整は済んでいるのではないでしょうか。一時は85ドル台まで売られたWTI原油価格も昨日は94ドル台後半までじわじわと上昇してきました。ジャクソンホールの前になりますが、21時半に7月のPCEデフレータの発表があり、それ以降も来週からは、8月の雇用統計、8月のCPIなど、相場変動材料には事欠きません。結局、9月のFOMC(20-21日)まではこのような状況が続くと予想されます。 本日のドル円は136円~137円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は137円台を回復。ジャクソンホールでのパウエル議長の講演を見極めたいとの雰囲気の中、米長期金利が3.1%台に乗せたことでドルが買われ、137円23銭前後までドル高に。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-08-25 09:30