【為替本日の注目点】パウエル議長がタカ派発言

ジャクソンホールでのパウエル議長の講演を受けドル円は上昇。137円75銭まで買われ、先月22日以来となるドル高水準に。講演前には1.00台後半で推移していたユーロドルは0.9957まで売られる。株式市場は3指数が揃って大幅に急落。ダウは30銘柄全てが売られ、1000ドルを超える下げに。債券は続落。長期金利は3.04%台に上昇。金は4日ぶりに下落。原油は反発し93ドル台に。 7月個人所得               →  0.2% 7月個人支出               →  0.1% 7月PCEデフレータ(前月比)      →  -0.1% 7月PCEデフレータ(前年比)      →  6.3% 7月PCEコアデフレータ(前月比)    →  0.1% 7月PCEコアデフレータ(前年比)    →  4.6% 8月ミシガン大学消費者マインド(確定値) →  58.2 ドル/円     136.19 ~ 137.75 ユーロ/ドル   0.9957 ~ 1.0090 ユーロ/円    136.78 ~ 137.96 NYダウ -1,008.38 → 32,283.40ドル GOLD    -21.60 → 1,749.80ドル WTI      +0.54 → 93.06ドル 米10年国債  +0.015 → 3.041% 【本日の注目イベント】 豪 7月小売売上高 日 2月景気一致指数(改定値) 米 ブレイナード・副議長講演 「物価の安定を回復するためには、景気抑制的な政策スタンスを一定期間維持することが必要となる可能性が高い。過去の記録は早急過ぎる政策緩和を強く戒めている」・・・。世界中の注目を集めたジャクソンホールでの講演でパウエル議長はこのように発言し、インフレを根絶するため今後も利上げを行い、金利を高い水準でしばらく維持する可能性が高いことを示唆しました。ある程度予想された通りの内容だったと思いますが、タカ派的な発言を行ったことで、金融市場では各市場とも発言を受け反応しましたが、とりわけNY株式市場の反応が大きく、ダウは1000ドルを超える下落で全面安の展開でした。ナスダックも大きく売られ、アップルなどのハイテク株も大きく値を下げました。一方債券市場では債券が売られましたが、思ったほどの下げではなく、長期金利も上昇しましたが、24日(水)に記録した3.1%台には届いていません。ドル円もドル高が進みましたが、137円75銭までで、長期金利の動きと同じように上昇の勢いはいまいちでした。 パウエル議長はインフレ率を2%に下げる取り組みには、「金利上昇と成長減速、労働市場環境の軟化はインフレを鈍化させるが、企業と家計に痛みをもたらすことにもなる」と述べ、景気よりもインフレ抑制を優先することを言明しました。今回のジャクソンホールでのパウエル議長の講演内容については、それまでに様々な憶測が出ました。22日(月)には議長が「タカ派的」な発言を行うといった観測が広がり、ドルが買われ、ドル円は137円64銭、ユーロドルも0.9914までドル高が進む局面もありました。ところが翌日には、一連の経済指標が悪化していたことで米国の景気後退も高まり、パウエル議長が「タカ派的」な発言を封印するのではとの見方が広がり、ドルが一転して売られ135円台を記録しています。結局、パウエル議長は多くのFOMCメンバーと足並みを揃えるように「タカ派的」な発言を行いましたが、9月会合での利上げ幅について言及することはしませんでした。議長は、「9月会合の決定は、入手するデータと変化する見通しの全体像に左右される」と述べ、これも想定内の発言でした。 パウエル議長の講演を持って、この夏の一連のイベントは終わった印象ですが、今後も「残暑」は残り、暑苦しい夜は続きそうです。今週末には早くも8月の雇用統計が発表されます。パウエル議長の述べていたように、9月の利上げ幅は「データ次第」ということから、発表されるインフレ関連データだけではなく、その他の経済指標も注目され、結果次第では相場が動く可能性も出てきました。 個人的は9月の会合でも0.75ポイントの利上げとなれば、ドル円は再び139円台を試すのではないかと予想していますが、ここで注意したいのはユーロドルの動きです。先週ユーロドルは再びパリティを割り込み、0.9914まで売られました。今後のECBの金融政策にも当然注目しなければなりませんが、ジャクソンホールではパウエル議長以外にも各国中銀総裁がパネルディスカッションを行っています。その中でECBのシュナーベル理事は、「現行の物価上昇でインフレ予想が定着する可能性とコストは不快なほど高い。こうした環境では中銀は力強く行動をしなければならない。人々が法定通貨の長期的な安定性に疑問を持ち始めるリスクに対し、断固として対応する必要がある」と述べ、政策メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁も「政策当局者は後になって『不必要に厳しい』金利の動きを強いられるのを回避するため、記録的なインフレに対応する決心が必要だ」と主張しています。一方、こうした流れと一線を画したのが日銀の黒田総裁でした。黒田総裁は、日本のインフレのほぼ全てはが商品価格上昇によるものだとし、日銀は金融緩和策を維持する必要があるとの見解を示しました。「国内のインフレ率は年内2%または3%に近づく可能性があるが、来年には1.5%に向けて再び減速すると予想している」と述べています。(ブルームバーグ) ドル円は週明けの本日には138円台で推移しています。上記金融政策トップの発言の違いで、再びドル買い円売りが強まった印象です。本日のドル円は137円30銭~139円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ジャクソンホールでのパウエル議長の講演を受けドル円は上昇。137円75銭まで買われ、先月22日以来となるドル高水準に。講演前には1.00台後半で推移していたユーロドルは0.9957まで売られる。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-08-29 10:15