【為替本日の注目点】ドル円東京市場で139円を付けるが上値は追えず

先週末のNYの流れを受けたドル円は、東京時間午後には139円ちょうどをワンタッチ。NYでは上値は重く、138円台前半まで下げたが、その後は反発。ユーロドルは「パリティ」を挟んだもみ合いが続く。株式市場は3指数とも続落。ダウはプラスに浮上する場面もあったが、結局184ドル安で引ける。債券は続落。長期金利は一時3.13%台まで上昇し、3.10%台で取引を終える。金はほぼ横ばい。原油はリビアで武装組織同士が衝突したことを受け大幅に続伸。 ドル/円  138.26 ~ 138.88 ユーロ/ドル 0.9981 ~ 1.0029 ユーロ/円  138.35 ~ 138.78 NYダウ  -184.41 → 32,098.99ドル GOLD   -0.10 → 1,749.70ドル WTI  +3.95 → 97.01ドル 米10年国債 +0.062 → 3.102% 本日の注目イベント 豪 7月住宅建設許可件数 日 7月失業率 独 8月消費者物価指数(速報値) 欧 ユーロ圏7月消費者信頼感指数(改定値) 欧 ユーロ圏8月景況感指数 欧 ロシア軍事演習「ボストーク2022」中国軍参加 米 6月ケース・シラ-住宅価格指数 米 6月FHFA住宅価格指数 米 8月コンファレンスボード消費者信頼感指数 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演  やはり先週末のジャクソンホールでのパウエル議長の講演は影響が大きく、昨日の東京市場でも金融市場は大きな動きを見せました。ドル円は朝方には早くも138円に乗せ、午後には一気に139円ちょうどまでドルが買われました。東京時間にしては動きが速くやや驚きでしたが、その影響か、欧州からNYではもう一段の上値追いは見られませんでした。  東京株式市場は大きく反応しました。NYダウが1000ドルを超える下げで取引を終えたことを受け、日経平均株価はザラ場で850円を超えて下落する場面もあり、米国が利上げ政策を続けるとの見方にもかかわらず、日本株が大きく下げ、いつものことですが、「米国がくしゃみをすれば、日本が風邪をひく」といった構図は変わりません。昨日のNY市場の動きに注目していましたが、株式と債券市場にはまだパウエル議長のタカ派発言の余韻が残っていたようで、主要3指数は続落し、債券も引き続き売られました。その結果、米長期金利は3.13%台まで上昇し、約2カ月ぶりの高水準を付けましたが、上述のように、ドル円は動きが先行していたせいか、東京時間に付けた139円を抜くことはありませんでした。ストップロスのドル買いも巻き込み上昇しましたが、昨日も指摘したように、138円台半ばから上方ではかなりのドル売り注文が集まっていたようです。先週末、講演が始まる前には136円台半ばで推移してことを考えれば当然のことかもしれません。  ドル円は、7月14日に記録したドルの高値ブレイクを試しに行く動きを見せており、個人的にもその可能性が高いと予想していますが、まだ下方に振れることがないとも言えません。9月20-21日のFOMC会合までに発表される経済データと、今夜もありますが、FOMCメンバーの発言によっては、どちらにも振れる可能性があるということです。139円39銭を付けた後、130円39銭まで下げたここ1カ月余りの動きをよくよく吟味してみると、市場は発表されたデータやFOMCメンバーの発言に「過剰反応する」傾向があることに気が付きます。システム売買が盛んなことが最大の理由かとは思いますが、それらに反応し一気に上にも下にも大きく動き、その後行き過ぎたことで「修正」が始まる展開です。そうでなければ、1カ月余りで、ここ数年間ではほぼ1年間の値幅にも等しいほどの動きを見せることはないはずです。そう考えれば、先週末のジャクソンホールでの講演から、市場の取引時間で言えば、わずか12時間後に2円40銭ほどもドル高に振れた今回の動きにも注意が必要なのかもしれません。  早速昨日、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が、ジャクソンホールでのパウエル議長の講演を受けた株価急落について、ブルームバーグのインタビューに答えています。カシュカリ総裁は、「パウエル議長のジャクソンホールで講演の受け止め方を見て、嬉しく思う」と発言し、「インフレ率を2%まで押し下げるというわれわれの決意の真剣さが理解された」と説明し、「前回のFOMC後の株価上昇については素直に喜べなかった。インフレを引き下げるわれわれの決意の固さを認識し、市場はそれについて思い違いをしていると思っていたからだ」と語っています。また総裁は、「1970年代に当局が犯した最大の過ちの一つはインフレが鎮静化に向うと思ったことだ。経済は悪化していたため手を緩めたところインフレは再燃し、その後、ようやく制圧した。この過ちを繰り返してはならない」と述べ、パウエル議長が講演の中で「過去の記録は早急過ぎる政策緩和を強く戒めている」と述べたことを詳しく説明した形になっています。  8月もまもなく終わり、欧州では長袖が必要な季節になります。これから冬に向いますが、心配なのは欧州のエネルギー不足です。特にエネルギー不足が懸念されるドイツでは「原子力発電」の再開まで議論される状況になってきました。フォンデアライエン欧州委員会委員長は、「急騰している電力価格はさまざまな理由において、現行電力市場の仕組みに限界があることを露呈している」と指摘しており、引き続きエネルギー問題がユーロの売り圧力になりそうです。 本日のドル円は137円80銭~139円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
先週末のNYの流れを受けたドル円は、東京時間午後には139円ちょうどをワンタッチ。NYでは上値は重く、138円台前半まで下げたが、その後は反発。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-08-30 09:45