【為替本日の注目点】OPECプラス、減産で合意

東京時間朝方には143円台半ばまで売られたドル円はNYでは上昇に転じる。米長期金利が上昇したこともあり、144円85銭までドル高が進む。前日パリティー目前まで上昇したユーロドルは反落。0.9835まで売られ、0.97~1.0のレンジを形成しつつある。株式市場は3日ぶりに反落するも小幅にとどまる。ここ2日間大幅に上昇したこともあり、大きく下げて取引が始まったが、午後には下げ幅を縮め、ダウは42ドルの下落。債券は下落。長期金利は大幅に上昇し、3.75%台に。金は4日ぶりに反落。原油は「OPECプラス」が減産に合意したことを受け続伸。
9月ISM非製造業景況指数 → 56.7
9月ADP雇用者数 → 20.8万人
8月貿易収支 → -67.4b
ドル/円 144.37 ~ 144.85
ユーロ/ドル 0.9835 ~ 0.9923
ユーロ/円 142.43 ~ 143.29
NYダウ -42.45 → 30,273.87ドル
GOLD -9.70 → 1,720.80ドル
WTI +1.24 → 87.76ドル
米10年国債 +0.120 → 3.753%
本日の注目イベント
豪 8月貿易収支
日 10月日銀地域経済報告(さくらリポート)
独 8月製造業新規受注
欧 ユーロ圏8月小売売上高
米 新規失業保険申請件数
米 エバンス・シカゴ連銀総裁、質疑応答に参加
米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
米 クック・FRB理事講演
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、質疑応答に参加
米 ウォラーFRB理事講演
昨日の朝方の東京市場オープン時にドル円は143円53銭近辺まで売られ、もう少し下値を試す展開も予想していましたが、その水準を底値にジリ高となり、NYでは144円85銭までドルが買われています。再び144円80銭-145円のゾーンが「壁」になっており、上昇に勢いは見られませんでした。前日はISM製造業景況指数が下振れしたことで株式と債券が買われ、長期金利の低下を手掛かりにドル売りが進みましたが、長くは続かなかったようです。3市場とも引き続きボラティリティの高い動きが見込まれます。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非OPEC加盟国で構成する「OPECプラス」は、日量200万バレルの生産枠削減で合意しました。この合意を受けてWTI原油価格は上昇し、一時は88ドル台半ばまで買われましたが、結局、前日比1ドル24セント高の87ドル76セントで引けています。今年6月には123ドル台まで買われた原油価格でしたが、インフレ率の高まりから各国中銀が大幅利上げ競争に走り、世界的に景気が減速するとの見方から下落基調が続いていました。先月下旬には76ドル台まで売られた価格の下落を止める意味でも、今回は減産に合意した側面もあったようです。ナイジェリアの石油資源相は「OPECは90ドル前後の価格を望んでいる。その水準を下回ると一部の国が不安定化する」と会合後に発言しています。一方、「OPECプラス」の決定した日量200万バレルの減産計画についてバイデン大統領は、「詳細を見なければならないが、(減産は)不必要だ」と述べ、サリバン大統領補佐官とディース国家経済会議(NEC)委員長は声明文で「米国の消費者を守りエネルギー安全保障を高めるため、適切な限り大統領はSPR(戦略石油備蓄)の直接放出を続ける」と説明しています。(ブルームバーグ)
昨日発表されたISM非製造業景況指数は前月よりも低下したものの、堅調な水準を維持していました。また、ADP雇用者数も市場予想を若干上回り堅調でした。同指標は8月分も速報値の13万2000人から18万5000人と大幅に上方修正されています。明日の雇用統計でも堅調な数字が予想されますが、ADP雇用者数の結果についてブルームバーグは「労働需要にいくらか鈍化の兆しも見られるが、ADPのデータは労働市場が依然として力強いことを浮き彫りにしており、失業の急増を引き起こすことなく数十年ぶりの高インフレ抑制を目指す米金融当局の取り組みを複雑にしている」と論じています。また、金融政策に関するFOMCメンバーのスタンスも変わっていません。アトランタ連銀のポスティック総裁は、「40年ぶりの高水準付近にとどまるインフレ率を押し下げるため、政策金利を年末までに4-4.5%に引き上げて金融引き締めを維持することを支持する」と語り、SFシスコ連銀のデーリー総裁は、「データ次第だ。われわれが必要とする状況をデータが示せば、その時はシフトダウンするだろう。データがそれを示さない場合、われわれは現在やっていることを続けなければならないだろう」と述べています。
このように、多くのFOMCメンバーが発表されるデータに細心の注意を払っており、明日の雇用統計の結果が最大の焦点になりますが、今夜の週間失業保険申請件数も、その意味では材料になり得ます。彼らは、景気が減速し、インフレのピークアウトを示すデータが喉から手が出るほど欲しいはずですが、FRBが利上げに転じてから半年が経つにもかかわらず、依然として米景気に大きな崩れは見られません。米国の底力というべきでしょうか。
本日のドル円は143円50銭~145円50銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
東京時間朝方には143円台半ばまで売られたドル円はNYでは上昇に転じる。米長期金利が上昇したこともあり、144円85銭までドル高が進む。前日パリティー目前まで上昇したユーロドルは反落。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-10-06 09:45