【為替本日の注目点】米9月のCPI上振れ、ドル円147円台半ばへ

 9月のCPIが市場予想を上回ったことからドル買いが一気に強まりドル円は147円台に乗せ、147円67銭まで上昇。その後146円台半ばまで下げたが再び147円台に戻して引ける。ユーロドルでもドル高ユーロ安が進んだが、0.9632までと、限定的。ユーロ円の買いが、ユーロの下落を支えた格好に。株式市場は3指数が大きく反発。ダウは827ドル上げ、S&P500も92ポイントの上昇。このところ下げが続いていたことから、テクニカル的な上昇との声も。債券は反落。長期金利は4%に乗せたが、3.94%台まで低下。金は小幅安。原油は上昇。 9月消費者物価指数 → 0.4%(前月比) 新規失業保険申請件数 → 22.8万件 ドル/円 146.46 ~ 147.67 ユーロ/ドル 0.9632 ~ 0.9806 ユーロ/円 141.74 ~ 144.09 NYダウ +827.87 → 30,038.72ドル GOLD ―0.50 → 1,677.00ドル WTI +1.84 → 89.11ドル 米10年国債 +0.047 → 3.943% 【本日の注目イベント】 中 9月貿易収支 中 9月消費者物価指数 中 9月生産者物価指数 欧 ユーロ圏8月貿易収支 米 9月小売売上高 米 9月輸入物価指数 米 10月ミシガン大学消費者マインド(速報値) 米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演 米 クック・FRB理事講演 米 ウォラーFRB理事講演 米 企業決算 → ウェルズファーゴ、JPモルガン、モルガンスタンレー、シティーグループ  非常に注目された米9月の消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回る結果でした。前月比、前年同月比とも市場予想を上回り、コアCPIは前年同月比「6.2%」と、1982年以来、実に40年ぶりの高水準でした。この結果を受けて、11月1-2日のFOMCでは4会合連続となる、0.75ポイントの引き上げがほぼ確実とみられます。一部にはさらに12月会合でも同じ幅の利上げが実施されるのではといった見方も出たようです。  指標発表前には146円台半ばで推移していたドル円は、発表後わずか15分ほどで147円67銭までドル高が進み、1998年8月に記録した147円64銭を上回る場面もありました。ただドル円はその直後、「介入の噂」もあり、146円46銭前後まで一気に売られる場面もあり、荒っぽい動きを見せました。長期金利も一時は4.08%台まで上昇しましたが、3.94%台まで低下して引けています。やや理解に苦しむのがNY株式市場の動きでした。これまでの定石であれば、CPIの上振れから株価は大きく売られていいはずでしたが、引け値ではダウが827ドル高となるなど、3指数は揃って大幅に上昇しています。連日売られたことによるテクニカル的な反発との声もありますが、JPモルガンはCPIが8.1-8.3%に上昇した場合、S&P500は1.5-2%下落する可能性があると指摘していました。  バイデン大統領はCPI発表後の声明で、「米国は私の経済計画により、この難題に取り組むにあたって他のどの主要経済国よりも強い立場にある」と述べています。またイエレン財務長官も、コアCPIが40年ぶりの上昇を見せたことに関して「米国は1980年代以来最悪のインフレ退治に向け、さらにやるべきことがある」と述べています。ナットアライアンス・セキュリティーズの債券責任者は「ぞっとするようなCPIの数字だ。米金融当局は100ベーシスポイントの利上げを実施するのだろうか」といったコメントを残しています。(ブルームバーグ)  今回のCPIの発表で、結局米国の物価上昇は依然として収まる気配がないことが明らかになりました。原油価格が一時76ドル台まで下落する局面もあったことから、前月よりも低下している可能性も指摘されていましたが、そう簡単でもないようです。今後原油需要が拡大する冬場に向い、さらに「OPECプラス」が減産を決めていることもあり、原油価格は再び100ドルを目指す可能性もあります。FRBの責務の一つである「2%の物価の安定」を確保するにはまだ高いハードルが立ち塞がっているようです。  ドル円は9月22日に過去最大規模の介入を行った146円前後の水準を大きく超えてきました。もともと、市場介入で流れを変えることはできない(参照:9月26日付け今日のアナリストレポート)と予想していましたが、この勢いを放置しておけば、やがて150円も見えて来そうな雰囲気です。昨日もこの欄で触れましたが、仮にそのような状況になった場合、今度は介入したとしても145円を割り込むのが難しくなる可能性があります。2回目の介入では、その効果も1回目ほど期待できません。個人投資家の指値注文のレベルを考えると、「介入を待っている」と思える水準にドル買いが増えているように思えます。「介入でドルが下がったら、絶好の買い場」といった相場観を個人投資家が持つようになると、介入の効果は全くなくなるといってもいいと考えます。その意味からも、本日の東京時間では介入の可能性は高いと予想していますが、どうでしょう・・・・。ただ昨日のNYでの動きを「投機的」と言えるかどうかは疑問です。ファンダメンタルズに沿った動きとも言えるからです。  今日は週末です。水準が水準だけに、なかなか難しい展開かと思います。介入がないとしても、昨日のNYのように、「それらしい動き」はあるかもしれません。悪までも戯言ですが、筆者が当局の為替担当者であれば、ここは介入するでしょう。本日のドル円は144円~148円程度と、ワイドレンジを予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
9月のCPIが市場予想を上回ったことからドル買いが一気に強まりドル円は147円台に乗せ、147円67銭まで上昇。その後146円台半ばまで下げたが再び147円台に戻して引ける。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-10-14 10:00