【為替本日の注目点】ドル円上昇に勢いが付き148円86銭まで買われる

ドル円は一段と上昇し、NYでは一時148円86銭まで買われる。経済指標が上振れしたことで長期金利が上昇し、東京時間でも市場介入が見られなかったことなどが背景。ユーロドルは前日と変わらず0.97台を中心に推移。円安が一段と進んだことで、ユーロ円は2014年12月以来となる144円84銭前後まで上昇。株式市場は大幅に反落。ダウは403ドル下げ再び3万ドルの大台を割り込み、ナスダックは3%を超える下げを見せる。債券は続落し、長期金利は4.01%で引ける。金と原油は再び大幅下落。
9月小売売上高 → 0.0%
9月輸入物価指数 → -1.2%
10月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 59.8
ドル/円 147.65 ~ 148.86
ユーロ/ドル 0.9708 ~ 0.9799
ユーロ/円 143.56 ~ 144.84
NYダウ -403.80 → 29,634.83ドル
GOLD -28.10 → 1,648.90ドル
WTI -3.50 → 85.61ドル
米10年国債 +0.075 → 4.018%
【本日の注目イベント】
日 8月鉱工業生産(確定値)
欧 ECBチーフエコノミスト、レーン理事講演
米 10月NY連銀製造業景況指数
米 企業決算 → BofA
先週末の東京市場では、政府日銀による介入の可能性が高いと予想しましたが、結局介入はなく、空振りに終わりました。案の定、ドル円は東京市場が終わった後上昇に向かい、NYでは朝方に148円台に乗せ、一時は148円86銭までドル高が進みました。いよいよ、150円が視野に入ってきました。政府日銀の介入がなかったことで、市場参加者は「警戒しながらも、安心してドルを買っている」状況です。このままでは150円に達してしまい、そうなったら仮に介入が実施されても、前回のように5円以上も水準を押し戻すことが非常に難しくなると同時に、9月22日に介入が実施された145円台にさえ水準を戻すことも困難になる可能性があります。週明けのオセアニア市場では148円台半ばで推移していますが、本日介入がなければ足元の勢いであれば150円に届いても不思議ではありません。先週金曜日だけでもドル円は安値から1円80銭以上もドル高が進んだわけですから。もちろん、水準が水準だけに警戒感は先週末よりも必要かと思います。
ドル円が148円台まで上昇した背景は米長期金利の上昇がありますが、先週末に発表された10月のミシガン大学消費者マインドの速報値では、1年先のインフレ期待が7カ月ぶりに上昇していたことが挙げられます。また消費者マインド指数も「59.8」と、半年ぶりの上昇を示していました。米国の9月の消費者物価指数(CPI)は「8.2%」と、市場予想を上回る結果でしたが、どうやらこれで、11月の会合で0.75ポイントの引き上げが確実となり、12月の会合でも0.75ポイント引き上げる可能性が高まってきました。セントルイス連銀のブラード総裁はワシントンのイベントで、11、12月の残り2回のFOMC会合について、利上げ幅を予想するには時期尚早だとしつつも、「自分としては利上げの前倒しを支持しており、インフレを抑制する水準にまで早急に金利を引き上げた段階で一時停止し、状況を評価できるようにしたい考えだ」と、あらためて説明しています。
ドル円が一段と上昇する中で、財務省の神田財務官はワシントンで会見し、「警戒が高まり、また必要な措置をとらなければならない可能性が高まっている」との認識を示し、「断固たる行動を取る用意がある」と述べていました。また、これに先立ち鈴木財務相は「円には、過去にないような急速で一方的な動きがみられる」と述べています。
一方で、黒田日銀総裁はワシントンで開催された「グループ・オブ・サーティー(G30)」のセミナーで、「日本のインフレはコストプッシュ要因が主導しており、米国や欧州のそれとは異なる」と説明。「日銀として金融緩和を続け、経済を支えてノルム(社会規範)を確実にシフトさせ、持続的かつ安定的な方法で物価安定目標を確実に実現することが適切と考えている」と語っています。(ブルームバーグ)
日本の金融当局者は介入を匂わすような発言を行っていますが、やはりと言うか、当然というべきか米国の金融当局の認識は異なっています。イエレン財務長は14日、ワシントンで開催されたIMFと世銀の総会で「ドル高については、国、地域ごとの経済的ショックと、そうしたショックへの政策対応の違いを主に反映している」と指摘し、「市場が決定する為替レートがドルにとって最善の仕組みであり、われわれはそれを支持している」と介入には否定的な考えを示しました。さらにバイデン大統領も15日、オレゴン州ポートランドで記者団に対し、「ドルの強さに関しては心配していない。他国について懸念している」とし、「米経済はものすごく強い」と語っています。いずれも、米国の足元の高インフレを抑制するためには金利上昇は当然で、その結果としてドルが強いとしても懸念していないといった認識を示したものと受け止め、一部にある「第二のプラザ合意」の可能性もほとんどないと考えます。日本の金融当局が、それでも再度介入に踏み切る覚悟があるのかどうかも問われていると思われます。
本日のドル円は146円~150円程度を予想しますが、再び介入があるかどうかで相場展開は大きく変わってきます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は一段と上昇し、NYでは一時148円86銭まで買われる。経済指標が上振れしたことで長期金利が上昇し、東京時間でも市場介入が見られなかったことなどが背景。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-10-17 09:45