【為替本日の注目点】ドル円乱高下後、落ち着きを取り戻す

東京時間に大きく動いたドル円はNYでは小動き。介入に対する警戒感のせいか、値幅も久しぶりに小幅で60銭程度に収まる。ユーロドルはやや買い戻され、終始0.98台で推移。株式市場は先週末の流れを引き継ぎ大幅に続伸。ダウは417ドル上昇し、ここ2日間で1500ドル余りの上昇に。債券は反落。長期金利は4.24%台へと上昇。金と原油はともに反落。 10月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)     →  49.9 10月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)   →  46.6 10月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)  →  47.3   ドル/円 148.67 ~ 149.22 ユーロ/ドル 0.9828 ~ 0.9893 ユーロ/円 145.81 ~ 147.23 NYダウ +417.06 → 31,499.62ドル GOLD -2.20 → 1,654.10ドル WTI ―0.47 → 84.58ドル 米10年国債 +0.026 → 4.242% 本日の注目イベント 独 10月ifo景況感指数 米 8月ケース・シラ-住宅価格指数 米 8月FHFA住宅価格指数 米 10月コンファレンスボード消費者信頼感指数 米 10月リッチモンド連銀製造業景況指数 米 ウォラーFRB理事講演 米 企業決算 → UPS、GM、コカ・コーラ、3M、アルファベット、VISA  昨日の朝のドル円は大きく上下し、荒っぽい動きでした。介入とみられるドル売りに、朝方8時37分ごろ、149円70銭辺りで推移していたドル円は一気に145円台半ばまで急落しました。ただ、その後の戻りも速く、直に148円台までドルが反発しています。これで先週末に続き、2日連続の市場介入となったようですが、特に驚きはありません。昨日の朝方の介入がなければ、おそらくドル円は再び150円台まで上昇しただろうと思います。それは、9月22日に145円台で介入を行い、140円台までドルを押し下げたにもかかわらず、結局その水準を大きく上回る152円近辺までドルが上昇したことでも理解できます。何もしなければドルが買われる構図は続いており、その勢いは以前よりも増していると見られます。最初の介入からちょうど1カ月で、ドル円が140円台から152円近辺まで11円以上もドル高が進んだことで理解できます。この値幅は数年前なら「1年間の値動き」に相当します。一方で、政府・日銀が本腰を入れて市場と対峙していることもうかがえます。現時点では150円台には行かせないといった「決意」のようなものも感じられます。先週末のNY時間での介入は、5.5兆円規模だったと今朝報じられ、これが事実であれば、9月22日の過去最大規模の介入額のほぼ倍となります。先週末と昨日の介入については、10月24付けの筆者「ウィークリーレポート」をご参照ください。  日本の単独介入についてイエレン財務長官は、日本政府が為替市場に再び介入しているとの報道について、米国政府は日本からそのような通知を受けていなかったと語っています。イエレン氏はNYでの講演後に、「日本のいかなる介入も知らない」とし、「介入が行われる場合、以前は日本から確かに通知があった。ボラティリティーに対する懸念からだと理解した」と説明しています。ただ、「新たな介入に関して米財務省はあらためて連絡を受けてはいなかった」と続けています。(ブルームバーグ)このイエレン氏の発言をどのように解釈するのかは難しいところです。通知なしに介入を行った日本政府に対して不快感を示したものなのか、あるいは円の独歩安が進んでいる中で理解を示したものなのか、判断に迷うところです。仮にこの発言を「不快感を示したもの」と理解するなら、ドル高材料となりドル円は上昇することになります。同時に日本政府としても安易に介入に踏み切れなくなる恐れも出てきます。イエレン氏は為替介入について7月12日には、「まれで例外的な状況でしか正当化されない」と、慎重な考えを示していました。また9月27日にも、「米国は他の多くの国々よりも早いペースで進んでいるため、ドルには上昇圧力が見られる」と指摘した上で、「私にとって、金融市場の引き締まりを反映するこの種の展開は、インフレ対策に関わるものの一環だ」と語っています。言うまでもなく、この発言はインフレの高進に苦しむ米国にとって、ドル高は好都合だといった意味合いになります。3度の介入を行ったと見られる日本政府の行動に対してイエレン氏がどのような見解を示すのか、今後のイエレン氏の発言を待ちたいと思います。  先週末から中国では習近平氏の3期目の政権が発足し、長期政権が確立されたとの報道がマスコミを賑わしています。特に中国共産党大会で、胡錦涛前総書記が途中退席したシーンは何度も繰り返し放映され様々な憶測を呼んでいます。胡錦涛氏は退席させられたのか、あるいは体調不良のため退席したのか、真実はわかりませんが、今後習氏の一強体制が続くことは間違いないようです。習氏が今後さらに統制強化路線を強め、経済や民間企業の成長を抑制するとの懸念が強まり、昨日のナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数が急落しました。同指数はアリババやバイドゥなど、中国株65銘柄で構成されており、昨日1日だけで14%も下げ、1日の下げ率としては過去最大となっています。最早「暴落」と言ってもいい程の下げでした。この下げでおよそ1300億ドル(約19兆4000億円)の時価総額が吹き飛んだことになります。同指数の担当者からは「売り局面は始まったばかりかもしれない」との声も聞かれました。  今年もあと2カ月余りを残すのみとなりました。現時点で今年を振り返るのは時期尚早ですが、それにしても今年のドル円の動きには驚かされます。ロシアによるウクライナ侵攻、米国の高インフレ、日銀の超低金利と大規模な金融緩和策の継続、さらには24年ぶりとなる市場介入と、円を動かす材料に事欠きません。また、それらは今だ継続中で現在進行形の様相です。残り2カ月余り、まだ何が起こるかわかりません。言えることは、今年は最後までこの動きが続く可能性が高いということです。2022年は多くの投資家にとって忘れられない年になることは間違いないでしょう。本日のドルは147円~150円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
東京時間に大きく動いたドル円はNYでは小動き。介入に対する警戒感のせいか、値幅も久しぶりに小幅で60銭程度に収まる。ユーロドルはやや買い戻され、終始0.98台で推移。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-10-25 11:00