インフレに負けない資産運用! インフレと金利上昇に負けない米国リートの魅力

2022年、資産運用の環境は大きく変わった。かつて経験したことがないような世界的なインフレ(物価上昇)と主要国の金利の引き上げは、ここ数年間の超低金利・株高の市場環境と真逆といってよい。現在のインフレから資産を守り、かつ、難しい資産運用環境にどのように対処すればよいのだろうか? 大和アセットマネジメントのプロモーション戦略部の加沢有葉氏(写真:右)と「ダイワ・US-REIT・オープン」においてリート運用を行なっているコーヘン&スティアーズ社の日本法人 代表取締役社長 板井健氏(写真:左)が、インフレ期の運用対策について講演した。
◆過去14年間は運用成績で「米国株式」を上回った「米国REIT」
加沢 昨年はコロナ禍からの立ち直りで概ね良好な相場環境になりましたが、今年は年初以降、オミクロン株の流行、ロシアのウクライナ侵攻、インフレの高止まりや金利上昇懸念など、様々な不透明要素が渦巻いています。そこで「ダイワ・US-REIT・オープン」においてリート運用を行なっているコーヘン&スティアーズ社の日本法人 代表取締役社長 板井健氏から、米国REIT市場の投資環境について解説していただきます。
板井 「米国REIT」への投資にはいろいろな魅力がありますが、インフレと金利の上昇に対し「米国REIT」がどのような効果があるのかという点に焦点をあててお話します。
過去14年間の「米国REIT」と「米国株式」の推移をみると、一貫して「米国REIT」が「米国株式」を上回るパフォーマンスで推移しました。直近2年間でみても、「米国REIT」の優位性は変わりません。昨2021年は、「米国REIT」は新型コロナ感染の拡大が一服したことで急速に回復し、円ベースでは60%近い上昇になりました。
ところが、今年に入ってから、「米国REIT」も「米国株式」も下がっています。これに対し、米国10年債の利回りが上がっています。直近で3.3%程度になりましたが、ちょうど金利が上昇するタイミングに合わせて、米国のREITも株式も値下がりしました。
米国商務省が発表しているCPI(消費者物価指数)は、これまで例がないほど顕著に上昇しています。そして、米国の政策金利の引き上げに合わせて米国10年債金利も上昇してきています。この物価高と金利上昇という2つの要因が足元の「米国株式」、「米国REIT」の下落に拍車をかけています。8月26日の米ジャクソンホールの会議で、米国の中央銀行にあたるFRBのパウエル議長が、「これから少々景気が減速しても金利を引き上げる」と発言し、それを受けて足元の株価等は一段と調整している状況です。
◆金利上昇に負けない成績、インフレには契約で賃上げ可能
板井 過去14年間に金利が上昇した期間が7回ありました。この7回の米国金利上昇局面で、「米国REIT」は6回でプラスのリターンになり、上昇率は3%から20%超でした。直近の7回目はマイナス4%でしたが、金利上昇の局面でも7回中6回は「米国REIT」はプラスのリターンになっています。
インフレと「米国REIT」の関係を過去43年間にさかのぼって検証してみたところ、通常期とインフレ期の不動産は、通常期の平均リターンが6.5%に対し、インフレ期は10%のリターンでした。明らかにインフレ期の方が、米国の不動産投資のリターンは上がっています。
これは、アメリカの不動産の賃貸契約の内容に「エスカレーション条項」があり、インフレがある程度上昇すると賃料もそれに合わせて上昇させるという契約になっているのです。したがって、現在のようにインフレが進むと、契約に則って自動的に賃料が上がる仕組みになっています。このため、「米国REIT」はインフレの時に強みを発揮するといえます。
◆割安な水準にある「米国REIT」をインフレ防衛手段に
板井 現状の「米国REIT」は、不動産の純資産価値(NAV)に対してREITがどのくらい買われているのかで割安・割高を調べると、2011年から11年間の推移をみるとNAVに対しREIT価格がマイナス10%くらいまで売られると戻っているケースが多いことがわかります。2022年7月末現在でマイナス6.8%です。
私どもは、向こう1年間の経済環境を決して楽観はしていません。おそらく、過去に例がないインフレで金利も上昇し、加えて、ロシアのウクライナ侵攻、コロナの感染拡大など特殊な事情があり、経済はマイナス成長するかもしれないという懸念があります。「米国REIT」は従来のように、現在のインフレと金利上昇の中でも上昇することができるでしょうが、向こう1年間は、ある程度の市場の変動は避けられないと考えています。
ただ、今のインフレと金利上昇という環境の中で、賃貸契約に「エスカレーション条項」があってインフレに応じて賃料が値上げできる「米国REIT」は、インフレへの抵抗力があるといえます。ぜひ、投資資産の一部として「米国REIT」をお考えいただきたいと思います。
日本はこれまで、あまりインフレを意識したことがなかったと思います。2004年、2005年くらいにガソリンの店頭価格が上昇した時期がありましたが、ほとんどの時期でインフレを意識するようなことはありませんでした。足元の物価上昇はアメリカだけではなく、日本でも顕著な物価上昇がみられます。インフレから資産を防衛する時にご検討いただきたいのが「米国REIT」です。
コーヘン&スティアーズは1986年7月に創設し、それから36年間、いろんな市場環境をみてきました。REIT運用の専門会社として、お客様からご評価いただく投資成果も残してきました。皆様のインフレ対策として私どもが運用する「米国REIT」をご参考としていただければと思います。
◆毎月分配と為替ヘッジのありなし等で5コース
加沢 「ダイワ・US-REIT・オープン」は、アメリカのREITに投資を行います。毎月決算型の「Aコース(為替ヘッジあり)」と「Bコース(為替ヘッジなし)」、そして、年1回決算型の「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」、さらに、「予想分配金提示型」の5つのコースがあります。お客様のご投資の目的、また、為替の影響のありなしを踏まえてご選択いただけるラインナップになっています。
当ファンドの運用は、コーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネジメント・インクが行います。REITの運用は、経済はもちろん、不動産の状況、さらには、物件ごとの判断が重要になるため、極めて高い専門性が必要になります。コーヘン&スティアーズ社は、米国最初のREIT運用の専門会社としてREITの運用では最大級の資産運用規模があり、ワールドワイドなリサーチ力を有しています。
板井 米国REIT投資は、「生活防衛投資」でもあると思います。現役の皆様には、物価が上がっているのに、なかなか給与が上がらないという悩みがあるかもしれません。また、年金を受給されている皆様には年金の受給額は変わらないけれど物価だけが上がっているという困った問題があります。年金の運用は必ずしも物価高に対抗できる運用になっていません。皆様の資産運用の一部に、ぜひ、「米国REIT」の運用をご検討いただき、インフレに負けないような資産づくりをしていただければと願っております。
大和アセットマネジメントのプロモーション戦略部の加沢有葉氏(写真:右)とコーヘン&スティアーズ社の日本法人 代表取締役社長 板井健氏(写真:左)が、インフレ期の運用対策について講演した。
economic,company
2022-10-26 08:15