【為替本日の注目点】ECB2会合連続で0.75ポイントの利上げ

上値を徐々に重くしているドル円は、東京時間夕方に145円10銭近辺まで急落。その後欧州市場にかけては値を戻し、NYでは146円台後半まで上昇したが、米長期金利の低下に146円を割る場面も。ECBが市場予想通り0.75ポイントの利上げを決定したが、ユーロドルは1.0052まで上昇後軟調に推移。株式市場はまちまち。GDPの上振れを受けダウは上昇したが、大手ハイテク株の下げがきつく、ナスダックとS&P500は続落。債券は続伸。長期金利は3.91%台まで低下。金は3日ぶりに下げ、原油は続伸。
新規失業保険申請件数 → 21.7万件
7-9月GDP(速報値) → 2.6%
9月耐久財受注 → 0.4%
ドル/円 145.68 ~ 146.93
ユーロ/ドル 0.9958 ~ 1.0052
ユーロ/円 145.53 ~ 147.42
NYダウ +194.17 → 32,033.28ドル
GOLD -3.60 → 1,665.60ドル
WTI +1.17 → 89.08ドル
米10年国債 -0.084 → 3.919%
【本日の注目イベント】
豪 第3四半期生産者物価指数
日 日銀金融政策決定会合
日 黒田日銀総裁記者会見
日 10月東京都区部消費者物価指数
独 7-9月期GDP(速報値)
独 10月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏10月消費者信頼感指数
欧 ユーロ圏10月景況感指数
米 9月個人所得
米 9月個人支出
米 9月PCEデフレータ(前月比)
米 9月PCEデフレータ(前年比)
米 9月PCEコアデフレータ(前月比)
米 9月PCEコアデフレータ(前年比)
米 7-9月雇用コスト指数
米 10月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
米 9月中古住宅販売成約件数
米 企業決算 → エクソンモービル
ECBは27日の理事会で、市場が予想した通り0.75ポイントの利上げを決定しました。一部には、景気減速が鮮明なことから、このままではリセッション入りの可能性が高いこともあり、0.5ポイントの利上げを予想する向きもありましたが、ECBは景気よりもインフレ抑制を優先した形になりました。今回の大幅利上げで、2会合連続で0.75ポイントの利上げを行ったこととなり、中銀預金金利も1.5%に引き上げられました。ECBは声明で、「インフレ率は引き続きあまりにも高く、長期にわたって目標を上回り続ける見込みだ。委員会は一段の利上げを想定している」と表明しています。ユーロ圏の9月の消費者物価指数(CPI)は「9.9%」と、米国のそれを上回り過去最高を更新中です。ラガルド総裁は会見で、「ユーロ圏の経済活動は第3四半期に著しく減速した公算が大きい。今年の残り期間と来年序盤にかけて一段と軟化すると予想している」と語り、金利見通しに関する質問にラガルド氏は、「正確な道筋は会合ごとに決定する。今後数回の会合での利上げの可能性は十分にある」と述べ、「金利の正常化はまだ完了しておらず、まだしなければならないことがある」と語っています。(ブルームバーグ)ユーロドルは大幅利上げを決めたものの上昇せず、1.00台半ばから軟調な動きとなっています。利上げは本来、当該通貨の買いにつながるケースが多いものの、ユーロ圏では今後も景気の一段の減速が意識され、「金利か景気か」といった選択につながっています。
米第3四半期GDPは速報値で年率「2.6%」と、3四半期ぶりにプラス成長となりました。ただ、内訳を見ると、GDPの7割を占める個人消費は「1.4%」増加していましたが、第2四半期の「2.0%」からは鈍化しています。また住宅投資のGDPに対する寄与度はマイナスでしたが、輸出が大きく伸びGDPを押し上げた格好になっています。3四半期ぶりにプラス成長を記録しましたが、多くのエコノミストは、米経済は今後1年以内にリセッション入りするとの見方は維持しているようです。GDPの上振れにもかかわらず米債券市場では債券が続伸し、長期金利は4%を割り込んでいます。来週のFOMC会合では大幅利上げの是非を議論するといった観測が根強く、債券に買いが入っています。株式市場では大型ハイテク株の下落が大きく、決算が予想に届かなかったアマゾンは引け後の取引きでは一時21%下落する場面もあったようです。また予想を上回ったアップルでも株価は下げています。
本日は日銀が金融政策決定会合の結果を発表しますが、変更はないものと予想されます。注目は午後3時半から行われる黒田総裁の会見ですが、9月の会見では自身の発言で円安が加速し、24年ぶりの市場介入を決断させる一因につながった経緯もあり、慎重に言葉を選ぶかもしれません。これまでのように「粘り強く大規模な金融緩和政策を続けていく」という発言を繰り返すようなら、再び円が売られる可能性もあるかもしれません。
NY時間には個人消費支出の発表もあります。金曜日ということもあり、注意してください。本日のドル円は145円~148円程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
上値を徐々に重くしているドル円は、東京時間夕方に145円10銭近辺まで急落。その後欧州市場にかけては値を戻し、NYでは146円台後半まで上昇したが、米長期金利の低下に146円を割る場面も。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-10-28 10:00