インフレ時代の資産運用のカギは「リアル資産」、不動産やインフラ、自然資源や森林まで

世界的なインフレの波が、いよいよ日本にも波及している。資産運用においては、このインフレに対応する必要がある。これまでデフレ経済に慣れてきた日本の投資家にとっては、「インフレ時代の資産運用」は、まったく新しい経験となり、従来にない発想が必要になる。インベスコ・アセット・マネジメント代表取締役社長兼CEOの佐藤秀樹氏(写真)は、「リアル資産」という新しい資産クラスが、これから重要になってくると語った。
◆インフレ時代の資産運用とは
今から約50年前の1973年、皆さんは、どのようなことをしていましたか? 1973年は、「オイル・ショック」がありました。私は、ちょうどその頃、5歳でしたが、スーパーマーケットに行ってもトイレットペーパーが見つからないという時代でした。1973年のスーパーでは、トイレットペーパーに人々が殺到するということが、報道写真になって残っています。あれから50年が経過しました。
今、足元で、米国のインフレが数十年ぶりの高さになっています。8%以上(2022年8月時点、USCPI、前年比)のインフレ率です。過去50年間において、インフレ率が2%以上の期間は76%を占めていますので、米国で50年を振り返ると、基本的にインフレでなかった時期の方が少ないということが言えます。この事実を私たちは改めて考える必要があります。
そしてインフレは、米国だけの話ではありません。日本でもインフレが既に現実のものとなっています。調査によると2022年は、年内2万品目超の食品が値上げされます。この平均値上げ率は何%でしょうか? 米国のインフレ率は8%超でしたが、この2万品目の平均値上げ率は14%となります。他にも、全国高等学校野球選手権大会の入場券が今年値上げされましたが、値上げ率は50%(中央指定席)でした。私たちの目の前で、インフレがいよいよやってきています。
5年前、10年前にはインフレの話をしても、誰も興味を持ってくれませんでした。当社が本拠地を置く米国の仲間からは、「インフレに対応する必要がある」と、良く言われたのですが、日本では長いことデフレが続いていました。そのため、インフレに対応する資産運用を日本の投資家はまだ必要としていないのだと、何度も話しました。
今、「パラダイムシフト」が起こっています。2022年は投資家にとってもターニングポイントになる1年だと思います。これまで日本がずっと経験してきたデフレの歴史が、いよいよ終わりを告げようとしています。モノの値段が上がったということだけをみていてはいけません。今も続いている感染症で暮らし方が変わりました。
また、デジタル化で働き方が変わりました。当社でもオフィスに出社する人数がずいぶん少なくなりました。そして、紛争によって世界秩序の在り方が変わってきています。ロシアのウクライナ侵攻には、本当に驚きましたが、単にウクライナだけの問題だとは思えません。これは、もしかしたら、戦後の長いレジームであった「グローバリゼーション」の終わりなのかもしれません。もしかしたら、ここから世界の「ブロック化」のような現象が起こっていくのかもしれません。
このように考えていくと、単に「インフレ」ということだけを考えてはいけないのです。「パラダイムシフト」に対して、本当に私たちは、もう一度考え直さないといけないのではないでしょうか。つまり、2022年以降に来る、歴史的な大きな流れはなにか、それに対して私たちは、どういう風に取り組んでいかなければならないのか。そこで、私たちインベスコが、皆様に提供したい新しい価値があります。それが、「リアル資産」です。
◆パラダイムシフトで注目を集める「リアル資産」
「リアル資産」とは、新しい資産クラスです。これまであまり注目されてきませんでしたが、いよいよ現実的な話になり始めたと考えています。
インベスコが考える「リアル資産」とは、次の4つの分野をいいます。1番目は「不動産(REIT含む)」です。以前からREITはありますが、それだけではありません。新しいグリーンデータセンター、新しい物流センターなど進化したREITや不動産があります。もちろん、伝統的なオフィスや住居も含みます。
2番目は、社会を支える「インフラ」です。単なる道路などだけではなく、携帯電話の基地局など新しいインフラがどんどん生まれています。また、2033年には、日本の公共インフラの60%以上が築50年以上になると言われています。アメリカも日本も公共インフラが老朽化しています。
3番目の「自然資源」は、今回のウクライナ情勢でも問題になりました。単に貴金属や鉱業だけではないのです。農産物や肥料、農業オペレーションなども、もう一度見直す必要があります。なぜなら、今回の紛争で明らかになったのは、物流インフラの破壊によって農産物等の供給が遮断され、そこから価格が上昇することが起こったからです。
そして、最後に私たちの「生きる」を支えていく「森林」です。住宅建材だけでなく、紙製品などにも使われています。特に、このところのSDGsやESGの流れで、CO2を出さないことが重要になっていますので、CO2を吸収する森林や資材としての木材への需要が改めて高まっています。最近日本でも、ビルを木材で作ろうというプロジェクトがでて話題になりました。
このような、不動産やインフラ、自然資源や森林などを総じて「リアル資産」といいます。そして、「リアル資産」に関連する株式に投資していくような投資信託を私たちは作っています。「リアル資産」は、世界債券に対して良いパフォーマンスを出していますし、世界株式にも負けていません。また、「リアル資産」の面白いところは、インフレ期において高いリターンを出しているところです。
◆「インベスコ リアル資産成長ファンド」の今日性
「自然資産」や「インフラ」など高い期待リターンのある資産に個別に投資することも良いのですが、値動きはそれぞれ異なります。ですから、バランスよくリアル資産に投資することによって、これからインフレが来た時にも柔軟に対応できるだろうと考えています。「リアル資産」にバランスよく投資することが重要です。それを実現したのが「インベスコ リアル資産成長ファンド(毎月決算型)」です。
主として日本を含む世界のリアル資産関連株式に投資します。そして、1年に1回、予定する分配金の総額を提示し、それを1年間にわたって分配金として毎月お支払いする方針です。
いよいよ「リアル資産」の運用をご提供させていただきます。2022年という新たな転換点において、この先をみていくための大切なファンドになります。
最後に地球儀の写真を見て考えてみたいと思います。世界のGDPは今、100トリリオン(100兆米ドル)あるのですが、これを地球儀の形にしてGDPの割合で国ごとに区分けすると、中国は米国に並ぶ存在感があります。そして、2030年ではGDPで米国を抜くと言われています。
昔は、日本が米国に次ぐ2番手でしたが、今では片隅に追いやられてしまっています。これが、今、私たちが置かれている現状です。そして、未来には日本はもっと小さくなっていくと考えられています。
「パラダイムシフト」は、正に世界が変わり、私たちは今、大きな変化の真っただ中にいるということなのです。親愛なる偉大な個人投資家の皆様。それでも、投資は終わりません。私たちの未来を創るために、私たちは投資をし続けなければなりません。これからも皆様とともに、私たちインベスコは歩んでいきたいと思っています。
インベスコ・アセット・マネジメント代表取締役社長兼CEOの佐藤秀樹氏(写真)は、「リアル資産」という新しい資産クラスが、これから重要になってくると語った。
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2022-11-01 10:15