【為替本日の注目点】米長期金利2週間ぶりに4.2%台まで上昇

ドル円は147円台を維持できず下落。NYでは終始146円台で推移し、朝方の146円73銭から146円10銭まで下げる。CPIを前にポジション調整との声も。ユーロドルは続伸。ユーロは再びパリティを超え、1.0035まで買われる。株式市場は大幅に続伸。取引終盤にかけて買われ、ダウは423ドル高、S&P500も36ポイントの上昇。債券は続落。長期金利は2週間ぶりに4.2%台まで上昇。金は小幅ながら続伸、原油は反落。
9月消費者信用残高 → 24.976b
ドル/円 146.10 ~ 146.73
ユーロ/ドル 0.9976 ~ 1.0035
ユーロ/円 146.03 ~ 146.90
NYダウ +423.78 → 32,827.00ドル
GOLD +3.90 → 1,680.50ドル
WTI -0.82 → 91.79ドル
米10年国債 +0.055 → 4.214%
本日の注目イベント
豪 11月ウエストパック消費者信頼感指数
豪 10月NAB企業景況感指数
欧 ユーロ圏9月小売売上高
米 中間選挙
東京時間夕方には147円台半ばまで買われたドル円でしたが、147円台は維持できず、NYでは146円10銭前後まで売られる場面もありました。NY株式市場では株価が続伸し、ダウは先週末に続いて400ドルを超える上昇を見せ、リスクオンの流れから債券は売られ、10年債利回りは2週間ぶりに4.2%台まで上昇しています。このパターンは、これまででは明らかにドル高が進むケースが多かったのですが、昨日はドル安の流れとなり、ユーロドルでもユーロ高が見られました。金利高とドル円が相関しなかったわけですが、目立った理由もなく、NYからはCPIの発表を前にした「ポジション調整」といった声が聞かれるだけでした。
昨日の調整は、もしかしたら「中間選挙」を意識した調整もあったかもしれません。米国では本日、連邦議会と州知事の投開票が行われます。引き続き下院では共和党優勢との調査が目立ちますが、仮に共和党が上下院で勝利を収めた場合、市場にどのような影響が出るのか、なかなか読みにくい状況です。今朝のブルームバーグは、「共和党の全面勝利なら、財政支出が凍結され歴史的高水準にある財政赤字が縮小する可能性が大きく高まる。10年債利回りが低下し、これが株式相場の上昇を支えるだろう」と分析しています。財政支出を抑えることで債券の発行額が減少し、これが債券高、株高につながり、金利が低下することで、これは「ドル安要因」というストーリーが描けそうです。ただ、この辺りの読みは不確実性も伴います。今回の選挙で仮に共和党が勝利しても、大統領が変わるわけではありません。ねじれ議会となり、法案の成立が困難になるといった影響はあるでしょうが、調査によると、有権者は連邦議会選挙と州知事選挙で、異なる政党に属する候補者を選ぼうとしていることが明らかになったと伝えられています。激戦州の大半で、無党派や共和党の有権者への訴えが目立つ民主党の上院候補は、同党の州知事よりも高い支持を集めているそうです。そんな中、何かと話題の多いイーロン・マスク氏は1億人を超えるフォロワーに共和党議員候補への投票を呼び掛けています。
昨日の本欄ではサマーズ元財務長官が「フェデラル・ファンド(FF)金利が最終的に6%を超えても驚かない」といった、やや衝撃的なコメントを紹介しましたが、SFシスコ連銀の調査が興味深い結果を示しています。同連銀が、フォワードガイダンスとバランスシートを考慮に入れた最新の代理指標を算出したところによると、FF金利の誘導目標レンジが3-3.25%だった9月時点の金融状況は、政策金利が5.25%に引き上げられた場合に相当する引き締まりの程度だったとリポートしています。実際の金融市場では、政策金利が示すよりも引き締め状態になっているということのようです。同調査とは直接関係ありませんが、米モルガンスタンレーは、FRBは2023年12月に「利下げを開始する」との見方を発表しており、「米経済がリセッション入りし、金融当局が1ポイント以上の大幅利下げを検討するようになれば、さらに金融引き締めは早期に終了する可能性もある」と予想しています。さらにゴールドマンは米経済のリセッションに関して、「米金融当局の積極的な引き締め策と地政学的な不確実性にもかかわらず、米経済はなおリセッション回避に向けた『非常に妥当と考えられる』道筋が残されている」との見方を示しています。また「COP27」に出席しているIMFのゲオルギエワ専務理事は「データを入手する前に判断を急ぐつもりはないが、世界のインフレはピークに達しつつある可能性は非常に高い」と、楽観的な認識を示しています。(ブルームバーグ)
ここに来て、金融機関や投資家からFRBの積極的な利上げを「行き過ぎ」と、諫める声も増えてきた印象です。先週にも述べましたが、FRB、ECB、BOEの3中銀が「0.75ポイント」という大幅利上げを決定しましたが、これが最後の大幅利上げになる可能性も高まってきたのかもしれません。本日のドル円は145円50銭~147円50銭程度を予想しています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は147円台を維持できず下落。NYでは終始146円台で推移し、朝方の146円73銭から146円10銭まで下げる。CPIを前にポジション調整との声も。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-11-08 10:00