【為替本日の注目点】米中間選挙上院は接戦

ドル円は東京時間の145円台前半から大きく反発。146円79銭までドルが買い戻され、中間選挙の開票状況とインフレ率の高止まり観測がドルを支える。ユーロドルは小幅ながら4日ぶりに反落。株式市場は大幅に反落。CPI前のポジション調整に加え、低調な企業決算や仮想通貨の急落がセンチメントを悪化させた。ダウは646ドル下げ、他の2指数も大幅安。債券は続伸。長期金利は4.1%を割り込む。金と原油は売られる。
ドル/円 145.80 ~ 146.79
ユーロ/ドル 0.9993 ~ 1.0087
ユーロ/円 146.32 ~ 147.11
NYダウ -646.89 → 32,513.94ドル
GOLD -2.30 → 1,713.70ドル
WTI -3.08 → 85.83ドル
米10年国債 -0.031 → 4.092%
本日の注目イベント
欧 ECB経済報告
米 10月消費者物価指数
米 新規失業保険申請件数
米 10月財政収支
米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
米 ウォラーFRB理事講演(豪、ブリスベン)
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、座談会に参加
ドルの上値が徐々に重くはなっているものの、一方でドル円は145円台では底堅い動きを見せています。昨日も朝方には145円19銭近辺までドル売りが進みましたが、145円割れは回避し、その後も昼頃と夕方に同水準まで売られる場面がありましたが、同じように底堅い動きを見せ、その後のNYではドルが大きく反発し、146円台後半まで上昇しています。もっともNYでのドル反発は、米中間選挙で事前予想以上に民主党が健闘していることも背景になっているようです。
8日に投開票が行われた米中間選挙では、下院では事前調査通り共和党が過半数議席に向け議席数を伸ばしていますが、予想よりも僅差の闘いになっています。一方上院では今朝6時の時点でも「48対48」と接戦が続いており、残り4議席を巡る闘いは予断を許さない状況です。中でも激戦州の一つであるジョージア州の上院選挙では、民主党の現職ウォーノック議員と共和党ウォーカー議員の両候補とも、過半数の50%以上の票を獲得できなかったことから「決選投票」が行われることが決まっています。また、フロリダ州では共和党のデサンティス知事が勝利したことで、2024年大統領選の共和党候補者指名争いでは、トランプ氏の対抗馬になる可能性が高まってきました。
日本時間今夜10時半に発表される米10月の消費者物価指数(CPI)を前に、市場は神経質になっているようで、多くの市場で「ポジション調整」と見られる動きがありました。株式市場では連日上昇していたNYダウが大きく売られ、前日比646ドル下げています。直近は上昇が続いていたことからある程度予想された動きとも言えます。WTI原油先物市場では、先週92ドル台まで上昇した原油価格が85ドル台まで値を下げています。一方金価格の方は、昨日は若干売られたものの、約1カ月ぶりとなる1700ドル台を維持しています。いずれも、今後の米政策金利の引き上げペースと中国のゼロコロナ政策の行方をにらんでの動きとみられます。
その米利上げペースについてシカゴ連銀のエバンス総裁は9日、「今後数カ月のインフレデータが予想外の上振れが続いたとしても、これまで既にどれほど高く金利を引き上げてきたかを考えれば、FRBが猛烈な利上げペースを落とし始める時期が訪れた」との認識を示しました。FOMCメンバーがこのように明確に利上げペースの減速に言及したのは、これが初めてのように思います。エバンス総裁はインタビューで、「政策金利をさらに大幅に高くすれば、リセッションリスクを高め、FRBの雇用に関するマンデート(責務)を脅かしかねない」と警告しています。また、NY連銀のウイリアムズ総裁は、金融政策や米経済に関して自身の見通しに触れることはなかったものの、「ニュースは総じて良いものだ」と述べ、「米国の長期インフレ期待は米金融当局の目標におおむね一致した水準で際立って安定した状態が続いている」と語っています。講演後の質疑応答では、「インフレ率は明らかに当局の長期的目標を大きく上回っている。FRBがインフレ率を2%に戻す責務を遂行することが、非常に重要だ」とも述べています。一方、リッチモンド連銀のバーキン総裁はタカ派姿勢を崩さず、「インフレ悪化やインフレ期待の上昇を金融当局は放置できない。景気悪化を恐れて手を緩めれば、インフレはかえって勢いを増して戻ってきて、より一層の抑制が必要になる。状況が落ち着くのを待っているわけにはいかないのはこのためだ。インフレが痛みを伴い、誰もがそれを嫌うのは承知している」(ブルームバーグ)と、これまでパウエル議長を始め、多くのFOMCメンバーが口にしてきた言葉を繰り返しています。
今夜の米CPIは上昇率が若干鈍化しているとみられていますが、仮に予想を上回った場合、ドルが買われますが、それでも150円に届くのは簡単ではないと予想しています。予想を上振れたとしても、「12月会合でも0.75ポイントの利上げ」とは単純に結びつかないのではと思っています。一方予想を下回る好結果が出た場合、ドル売りが加速するとは思いますが、それでも現時点では「12月会合では0.5ポイントの利上げ」というスタンスは変わらないのではないかと思われます。インフレがピークに近いとは思いますが、まだしばらくは高水準でのインフレが続くのではないでしょうか。
本日のドル円は144円50銭~148円程度とみますが、予想を下回るインフレ率が示された場合、上述のように下値では底堅い145円台を割り込むのかどうかにも注目しています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間の145円台前半から大きく反発。146円79銭までドルが買い戻され、中間選挙の開票状況とインフレ率の高止まり観測がドルを支える。ユーロドルは小幅ながら4日ぶりに反落。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-11-10 10:15