【為替本日の注目点】米長期金利1カ月ぶりに3.67%台まで低下

ドル円は140円台まで値を戻すも、欧州やNYでは反落。米長期金利が3.7%を割る水準まで低下したことで139円05銭までドル売りが進む。ユーロドルは引き続き堅調に推移し、高値は1.0423近辺。株式市場は小売売上高など、一部の経済指標が良好だったことで大幅利上げ修正観測が後退。3指数は揃って下げ、ナスダックは174ポイントの下落。債券は続伸し、長期金利はおよそ1カ月ぶりに3.67%台まで低下。金は小動き。原油は反落し85ドル台に。
10月小売売上高 → 1.3%
10月輸入物価指数 → 4.2%
10月鉱工業生産 → -0.1%
10月設備稼働率 → 79.9%
11月NAHB住宅市場指数 → 33
ドル/円 139.05 ~ 140.05
ユーロ/ドル 1.0355 ~ 1.0423
ユーロ/円 144.58 ~ 145.50
NYダウ -39.09 → 33,553.83ドル
GOLD -1.00 → 1,775.80ドル
WTI -1.33 → 85.59ドル
米10年国債 -0.080 → 3.690%
本日の注目イベント
豪 10月雇用統計
日 10月貿易統計
欧 ユーロ圏10月消費者物価指数(改定値)
米 新規失業保険申請件数
米 10月住宅着工件数
米 10月建設許可件数
米 11月フィラデルフィア連銀景況指数
米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
米 ジェファーソン・FRB理事、カシュカリ・ミネアポリス連銀パネル討論に参加
米 ボウマン・FRB理事講演
ドル円は東京時間には140円台前半まで上昇する場面があり、前日のNYでは137円台半ばまでドルが急落したものの、やはり135-137円台は底堅いとの印象がありましたが、140円台を維持することは難しかったようです。米長期金利が3.67%台まで低下し、約1カ月ぶりの低水準を付けたことがドルの上値を抑えた格好でした。
10月の小売売上高が市場予想以上の伸びを示し、8カ月ぶりの高水準でした。高インフレ下でも財への需要が堅調であることが示され、その背景になっているのが好調な労働市場に支えられている賃金上昇です。個人消費の伸びが加速したことは、今後のFRBの大幅利上げ見直し議論にとって「逆風」とも言えます。一方で10月の鉱工業生産指数では、製造業の生産指数が前月比0.1%上昇と、予想を下回り、全米ホームビルダー協会(NAHB)が発表した11月の住宅市場指数は、コロナ禍に陥った直後を除き、10年ぶりの低水準でした。強弱入り混ざった結果は今後も予想され、株、債券、為替も一方方向には動きそうもない気配も感じます。それでも大手米銀などは来年には「米景気が緩やかな景気後退に入る」との見立てを崩しておらず、米国のインフレがピークアウトを示唆するデータに加え、リセッション入りの可能性がさらに高まると、それ自体がドル売り材料として意識されるようになるかもしれません。
SFシスコ連銀のデーリー総裁は16日CNBCとのインタビューで、「次回の会合を迎える上で、頭に入れておくべき水準としては4.75-5.25%程度が妥当と思われる」と述べ、「利上げの一時停止は現在のところ選択肢にはない。議論すらされていない。現時点での議論はペースの減速であり、それが妥当だ」と語っています。また、ウォラーFRB理事もアリゾナ州フェニクスでのイベントで講演を行い、「この数週間のデータで0.5ポイントの利上げ幅縮小を検討する違和感は弱まった」とし、「しかし、さらなるデータを見るまでは判断を下さないつもりだ」(ブルームバーグ)と述べ、直ちに大幅利上げを見直すことには慎重な姿勢を維持しています。米金融当局者から出て来る発言としては、前のめりになりがちな市場をけん制するという意味で、想定通りの内容でした。今後も12月会合まではこの様な発言が多く出て来ると予想していますが、それでもFOMCメンバーの中で意見の違いが出て来ることも想定されますが、これも驚きではありません。「Data depends」(データ次第)の基本姿勢は変わりません。
前日ポーランドに着弾し、2人の死亡者が出たミサイル発射について、バイデン大統領は「軌道を考えれば、ロシアから発射された可能性は低い」と語っています。またNATOのストルテンベルグ事務総長も「ロシアの巡航ミサイル攻撃から領土を守るためにウクライナが発射した迎撃ミサイルが原因だった公算が大きい」と述べ、「意図的な攻撃の結果だったことを示唆するものは何もない」と説明しています。ポーランドのドゥダ大統領も「不幸な事故だった可能性が高い」として、ロシアからのミサイルではないことを認めている模様です。
予想されていた通り、昨日フロリダ州にあるトランプ氏自身が所有する高級リゾート地「マール・ア・ラーゴ」で、トランプ氏は2024年の大統領選に出馬することを宣言しました。ただ、次回の大統領選は前回のそれよりもハードルが高いように思います。予備選挙で先ずは共和党での代表候補を勝ち取らなければなりませんが、噂ではペンス前副大統領やフロリダ州のデサンティス知事が出馬するとの声もあります。今回の中間選挙では共和党の議席が思ったほど伸びず、その責任を問う声も大きくなっています。下院の議席がまだ最終的に決まっていませんが、今朝の時点ではNBCとCNNが「共和党が僅差で多数派の地位を確保した」と報じています。
本日もFOMCメンバーの講演が多くあります。個人的にはブラード・セントルイス連銀総裁の講演内容に注目しています。本日のドル円は138円~140円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は140円台まで値を戻すも、欧州やNYでは反落。米長期金利が3.7%を割る水準まで低下したことで139円05銭までドル売りが進む。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2022-11-17 10:45