【為替本日の注目点】WTI原油価格一時73ドル台に下落

ドル円は東京時間に137円台を回復し、137円43銭近辺まで上昇したが欧州では下落。NYでは再び底堅い動きを見せたものの、金利低下もあり上値は限定的であった。ユーロドルは1.05を挟む動きとなったが、値幅は伸びず。株式市場は大幅続落。大手米銀CEOの相次ぐ景気悲観論を嫌気してS&P500は4日続落。ダウも350ドル下げ、ここ2日間で800ドルを超える下落に。債券は反発。長期金利は3.53%台に低下。金は3日ぶりに反発。原油は大幅に続落し、一時はおよそ1年ぶりとなる73ドル台を記録。米国の利上げ継続観測と景気悪化の見方が重荷に。
10月貿易収支 → 78.2b
ドル/円 136.12 ~ 137.07
ユーロ/ドル 1.0460 ~ 1.0528
ユーロ/円 143.14 ~ 143.62
NYダウ -350.76 → 33,596.34ドル
GOLD +1.10 → 1,782.40ドル
WTI -2.68 → 74.25ドル
米10年国債 -0.042 → 3.531%
【本日の注目イベント】
豪 7-9月期GDP
日 10月景気一致指数
中 11月貿易収支
中 11月外貨準備高
独 10月鉱工業生産
欧 ユーロ圏7-9月期GDP(確定値)
米 10月消費者信用残高
加 中銀政策金利発表
ドル円は昨日の東京時間では底堅い動きを見せ、夕方には前日のNY市場の高値を大きく上回る137円43銭近辺までドル高が進みましたが、NYでは米長期金利の低下がドルの上値を抑える格好となり、136円台後半で取り引きを終えています。先週末には133円台半ばまでドルが売られたことを考えると、戻しとしてはひとまず適切な水準かと思われます。
米株式市場のセンチメントがなかなか改善しません。昨日も米大手銀行のCEOが相次いで景気に対して厳しい見方を示したことが嫌気されました。ゴールドマンのソロモンCEOは経済に対して暗い見通しを示し、「ボーナス減額や人員削減が実施されたとしても意外なことではない」と述べ、バンクオブアメリカのモイニハン氏は、「個人消費の減速を理由に採用活動を鈍化させた」と発言しています。また、JPモルガンのダイモン氏も、「経済を取り巻く暗雲は、ハリケーンかもしれない」と述べ、「来年は軽度から重度なリセッションに陥る恐れがある」と警告しています。このような景気に対するネガティブな見方が「リスク回避」の流れにつながり、株式を売り、安全資産の債券に資金が流れ、金利低下がドルの上値を重くしていました。原油価格も、中国の「ゼロコロナ」を巡る規制が緩和されたといった好材料はあるものの、米景気のリセッション入りの可能性が高まっていることから下落基調が続いています。
来週13-14日のFOMCを控え、すでにブラックアウト期間に入っているため、FOMCメンバーの発言は封じられていますが、利上げ幅は0.5ポイントで決まりかと思われ、焦点は来年に向けた利上げスタンスに移っています。その利上げスタンスについても、パウエル議長の講演では急速にハト派観測が強まり、そうかと思ったら、雇用統計やISM非製造業景況指数の上振れによりタカ派観測が一気に高まるといった「乱高下」が続いています。ドル円が大きく乱高下するのも、「むべなるかな」といった状況と言えます。今年最後の重要イベントである、13日の消費者物価指数(CPI)と翌日のFOMCでも、相場は大きな動きを見せると予想されます。
半導体大手の台湾のTSMCが米アリゾナ州に、400億ドル(約5兆4460億円)の巨額を投じ、最先端の半導体製造工場を新設すると発表しました。工場では3ナノと呼ぶ製品を製造し、主にアップルに供給する模様です。バイデン大統領とアップルのクックCEOは6日にも同工場を訪れる予定になっています。TSMCは今回の投資で、これまでよりさらに米国寄りに舵を切り、台湾海峡での不安な動きもある中、米国への安定的な半導体供給に踏み切ることになります。これに対する中国側の反応は、今のところないようです。
オーストラリア準備銀行(RBA)は6日、市場予想通り政策金利であるキャッシュ・レートの誘導目標を0.25ポイント引き上げ、3.1%にすることを決めました。これで8会合連続の利上げとなり、政策金利は2012年11月以来の高水準になりました。RBAのロウ総裁は声明で、「政策委員会は今後さらなる利上げを見込んでいるが、規定のコース上にはない」と説明し、「将来の利上げ幅とタイミングは引き続き今後のデータで決まる」と述べています。今回の利上げで打ち止めになる可能性があると、市場では予想していますが、ロウ総裁はデータ次第ではさらなる利上げ余地の可能性を残していました。
136円台後半で推移しているドル円は、短期的な動きを示す「1時間足」では雲の上限(135円29銭前後)を大きく上回って推移しています。しかしながら、市場のドル売りセンチメントは継続されていると見られ、まだ上値の重い展開が維持されそうです。本日のドル円は135円50銭~137円80銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間に137円台を回復し、137円43銭近辺まで上昇したが欧州では下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-12-07 09:45