【為替本日の注目点】米長期金利急低下

ドル円は東京時間では底堅く、137円台後半を試す場面もあったが、NYでは米長期金利が急低下しドル売りが優勢に。136円23銭までドルが売られ、前日の水準に。ユーロドルはやや水準を切り上げたものの、依然として.1.05を挟んでもみ合いが続く。株式市場は前日比プラス、マイナスを繰り返す動きを見せたが、主要3指数はまちまち。ダウはプラス圏で引けたが、他の2指数は小幅安。米景気がリセッション入りする可能性の高いことが重荷に。債券価格は大幅に上昇。米景気のリセッション入りの可能性や、プーチン氏が核戦争の可能性に言及したことから「安全資産」の債券に金が流れた。長期金利は急低下。金は大幅に続伸。原油は4日続落し、一時は71ドル台まで下落。
10月消費者信用残高 → 27.078b
ドル/円 136.23 ~ 137.24
ユーロ/ドル 1.0488 ~ 1.0550
ユーロ/円 143.26 ~ 144.55
NYダウ +1.59 → 33,597.92ドル
GOLD +15.60 → 1,798.00ドル
WTI -2.24 → 72.01ドル
米10年国債 -0.111 → 3.420%
【本日の注目イベント】
豪 10月貿易収支
日 7-9月GDP(改定値)
日 10月貿易収支
日 10月国際収支
日 10月景気ウオッチャー調査
欧 ラガルド・ECB総裁講演
米 新規失業保険申請件数
ドル円は昨日の東京時間では堅調に推移し、137円台を回復。午後にはドルが一段と買われ、137円86銭まで上昇する場面もありました。欧州市場でも137円台半ばで推移しましたが、NYでは再び136円台に押し戻されています。
「リスク回避」の流れが強まり、安全資産の米国債に資金が流れ、債券価格が急上昇。長期金利は9月以来、およそ3カ月ぶりに3.40%台まで低下し、ドル売りを誘いました。米景気のリセッション入りの可能性が高いことに加え、プーチン氏が核戦争の可能性に言及したことが債券高につながっています。
プーチン氏は7日、テレビ中継された大統領府の人権評議会の会合で、米国と同盟国が核で脅していると批判し、「われわれは核をカミソリのように振り回して世界を走り回るようなことはしないが、当然ながら核兵器があるという事実に則して進む。これは必然的に抑止要因で、紛争拡大を引き起こすのではなく抑止するものだ。誰もがこれを理解していることを望む」と語り、自国と同盟国を防衛するためには「あらゆる必要な手段」を用いると強調しました。(ブルームバーグ)ロシアがウクライナへ侵攻を開始してからすでに10カ月になろうとしていますが、このところ前線ではロシアが劣勢に立たされています。今週5日と6日には、ロシア南部のジャギレボ空軍基地と、エンゲリス空軍基地がドローンによる攻撃を受け、死者3人を含む大きな被害が出ています。
この攻撃は、無差別なミサイル攻撃を受けたウクライナによる報復と見られていますが、ウクライナ側は正式には認めていません。ロシア軍は、侵略の長期化で兵器が枯渇しているとみられ、国民の間では多数の死傷者が出たことや、予備役兵の動員で、戦争への忌避感情が増しています。「そこにウクライナ国内からのドローン攻撃という新たな悪材料が加わり、厭戦(えんせん)機運が一段と強まってきた」(日経新聞)とみられます。このような状況からプーチン氏は今回の核使用の可能性に言及したのではないかとも推測されています。これまでも、「国家が危機にさらされた場合には、核兵器の使用もあり得る」と発言してきたプーチン氏。追い詰められれば、追い詰められるほど「核リスク」は高まります。
米10年債はこの発言を受けて急騰し、長期金利は一時3.40%台まで低下しました。これにより、2年債との「逆イールド」はさらに広がり、投資家が米景気のリセッションの可能性を一段と意識させることにつながっています。因みに2年債の利回りは「4.26%」で引けており、その差は0.84ポイントまで拡大しています。2年債の利回りが、より長い10年債の利回りを上回ると景気後退に陥ることは、過去の歴史が物語っており、米景気は2023年春先にもリセッションに入る可能性が非常に高いとみられています。
ドル円は先週末に133円61銭まで売られたことで、10月21日の高値からは短期間で、「18円33銭」下落したことになります。結構な値幅と言えます。足下では、その下落幅を埋めている状況ですが、ここでフィボナッチ・リトレースメントを用いて戻りのメドをみると、「23.6%」戻しが「137円94銭」と導き出され、昨日の午後東京市場で付けた「137円86銭」は、この水準が意識された可能性もあります。因みに、この水準を抜けた場合に次のメドとなる「38.2%」は、「140円61銭前後」になります。米金利との相関がさらに強まっている印象のドル円ですが、今後は「米景気のリセッション入りの可能性」がドル売り材料として前面に出て来るかもしれません。
本日のドル円は135円~137円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間では底堅く、137円台後半を試す場面もあったが、NYでは米長期金利が急低下しドル売りが優勢に。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-12-08 09:45