【為替本日の注目点】NY株4日続落

ドル円はアジア、欧州市場からは反発。長期金利が大幅に上昇したことを受け、137円15銭までドルが買われる。ユーロドルは水準をやや切り下げたものの、1.06を挟んだもみ合いに。株式市場は3指数が4日続落。FRBが利上げを継続するとの見方が依然として重しとなり、ダウは下げ幅を縮めたものの、162ドル安。債券は大幅に下落。英国債の下げも影響し、長期金利は3.58%台まで上昇。金は続落し、原油は小幅に反発。
12月NAHB住宅市場指数 → 31
ドル/円 136.38 ~ 137.15
ユーロ/ドル 1.0576 ~ 1.0630
ユーロ/円 144.63 ~ 145.49
NYダウ -162.92 → 32,757.54ドル
GOLD -2.50 → 1,797.70ドル
WTI +0.90 → 75.19ドル
米10年国債 +0.102 → 3.585%
本日の注目イベント
豪 RBA議事録
日 日銀金融政策決定会合
日 黒田日銀総裁記者会見
独 11月生産者物価指数
欧 ユーロ圏11月経常収支
欧 ユーロ圏12月消費者信頼感指数
米 11月住宅着工件数
米 11月建設許可件数
加 10月小売売上高
ドル円は一進一退の動きが続いています。昨日の東京では早朝に、「岸田政権が政府と日銀の役割を定めた共同声明を初めて改定する方針を固めた」との共同通信社の報道を受け、ドル円は135円台後半までドル売りが進みました。その後は値ごろ感から買いが優勢となり136円台後半まで値を戻しましたが、欧州市場の朝方にかけては再び136円を割り込みましたが、NYでは株価の下落はあったものの、債券も大きく売られ、金利が上昇したこともあり137円15銭近辺までドルが買われています。米国債は本日の日銀決定会合と英国債が売られた影響から大きく値を崩していますが、いまいち、決定的な売り材料を探すのが困難な状況かと思います。
ただNY株の下げには厳しいものがあります。ダウは引け値では下げ幅を縮小していますが、一時は300ドルを超える下げを見せ、依然としてFRBによる利上げ継続に対する懸念が重荷になっています。今後の株価やインフレの見方についても投資家の間では意見が異なっており、世界最大の資産運用会社ブラックロックのストラテジストは、インフレ率について、「2023年末にかけて3.50%にしか鈍化しない」と予想し、「根強い労働者不足や賃金上昇、在庫減少などがその理由だ」とし、インフレ率が米金融当局の2%目標に向って下がるとのコンセンサスには賛同しない姿勢を見せています。同社のストラテジストは、「CPIの数字のボラティリティーを市場は想定しておかなければならない。月間ベースの数字を予想するのは難しくなるだろう。しかし、7%から5%に下がる方が、5%から3%になるより恐らく容易だろう」と述べ、来年度の国債のショートを推奨しています。一方、投資会社大手のKKRは来年の米インフレ率見通しを3.9%と、従来の4.8%から引き下げ、米国のインフレがピークに達し、リセッション懸念が以前ほど強くないとして、「投資家は来年、賢明な判断の下でリスクを一段と取る必要がある」と指摘しています。
米下院特別委員会は、トランプ前大統領の支持者らが昨年1月に連邦議会議事堂を襲撃した事件で、襲撃での役割を巡りトランプ氏の刑事訴追を司法省に勧告する決定を下しました。トランプ氏を内乱罪などで刑事訴追するよう司法省に付託する案は全会一致で可決されています。ラスキン下院議員は「トランプ氏が有罪となれば公職就任の資格を失うだろう」と述べています。「特別委員会の付託決定は、司法省は正式な法的影響を及ぼさず、司法省はトランプ氏の刑事訴追を義務付けられないが、連邦・州の検察当局や世論にとって大きな意味をもつだろう」とブルームバーグは伝えています。今後の成り行きによっては、2024年の大統領選に出馬出来ない可能性もあるようです。
ウクライナの首都キーウで19日早朝に爆発音があり、市当局はロシア軍のイラン製ドローン(無人機)9機を撃墜したと発表しています。これに先立ち、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は、ロシアが再び大量動員を実施して冬季に攻撃を仕掛け、軍事行動をエスカレートさせる可能性があると警告しています。前線での劣勢が続いているロシアは、昼間でも零度を上回ることがない日もあるウクライナでインフラを中心に攻撃を強めており、市民を暖房から孤立させる作戦に出ている模様です。武器弾薬なども枯渇していると見られるロシアが「冬を武器」にしようとしていることは明らかのようです。
本日は日銀決定会合後の黒田総裁の会見に注意が必要です。会見では、政府・日銀の共同声明改定に関する報道を巡る質問も出ると思われます。松野官房長官は同報道を否定していましたが、質問があった場合、どのように答えるのか注目されます。また昨日発表されたように、9月末現在では、日銀が保有する国債の残高は536兆円に達し、発行残高1066兆円の実に「50.26%」と、初めて50%を超えたことが明らかになっています。足下の残高はさらに増えているとみられますが、今後大規模金融緩和策を終える際、金利上昇圧力になるのは衆目の一致するところです。すでに天文学的な評価損を抱えていますが、当の日銀は「償還まで保有するため、問題はない」としていますが、同時に保有するETFとともに、金融市場に大きな影響を与える不気味な存在であることは確かです。本日のドル円は135円50銭~137円50銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円はアジア、欧州市場からは反発。長期金利が大幅に上昇したことを受け、137円15銭までドルが買われる。ユーロドルは水準をやや切り下げたものの、1.06を挟んだもみ合いに。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-12-20 10:15