中国人社員を有効に活用するコツ
日本経営管理教育協会が見る中国 第304回--宮本邦夫(日本経営管理教育協会会長)
一向に修復の兆しが見えない厳しい日中関係に加え、中国の経済成長が鈍化しつつある現在、中国ビジネスが困難さを増している。中国ビジネスに携わっている企業では、このような状況に対応するためにいろいろな手を考えているが、その方策の1つとして、中国人社員の有効活用を企図しているところが少なくない。そこで、中国人社員を有効に活用するためのコツを整理してみよう。
1.状況を正確に説明する
中国人社員に対してまず行うべきことは、中国ビジネスの現状がどうなっているのかを正しく認識させることである。そのためには、中国ビジネスの実績が、過去どのように推移したか、現状がどうなっているかについて、具体的な数字を示して正確に説明することである。それと同時に、今後どうしたいのかについても、正直に話すことである。
2.役割・使命を明確に伝える
次に、中国人社員に対して、彼らの果たすべき役割・使命について、きちんと告げることである。果たすべき役割・使命を告げるということは、彼らに対して期待するものを示すということである。期待されるものが明確になると、彼らとしては何を行うべきかが明らかになるわけであるから、それを果たそうとする気持ち、意欲が湧いてくるというものである。
3.目標を設定させ任せる
役割・使命を明確にしたら、それを果たすために必要となるのが、権限の委譲である。この場合の権限委譲で重要なことは、目標の設定と実行を任せるということである。といっても、勝手に任せるのではなく、きちんと方向を示すことが肝心である。つまり、中国人社員に方針を明示し、その方針に基づいて目標を設定させ、実行させるということである。こうすれば、自主性・主体性が活かされることで、中国人社員は、さらに動機づけられるはずである。
4.成果を適正に評価する
中国人社員が自主性・主体性を発揮して目標を実行したら、その結果を適正に評価することである。実績を評価する場合には、中国人社員も納得できる評価基準でチェックする。納得できる評価基準で評価されれば、例え低い評価であっても、苦情は出ないものである。逆に、納得のできない曖昧な評価基準で評価すると、不平不満が出てきて、やる気を損ねる。
5.評価結果に応じた処遇をする
最後に、評価結果が出たら、それに応じた処遇をすることが重要である。処遇としては、昇給・昇進などの人事処遇と受け取られがちだが、こうしたもののほか心理的・精神的なものを考えることも大切である。例えば、良い成果を上げた人には、朝礼などの集会の際、みんなの前で褒めることである。こうした心理的報酬の効果・効用は、思いのほか大きいことを理解すべきである。
写真は中国の厦門大学。(執筆者:宮本邦夫・日本経営管理教育協会会長 編集担当:水野陽子)
一向に修復の兆しが見えない厳しい日中関係に加え、中国の経済成長が鈍化しつつある現在、中国ビジネスが困難さを増している。中国ビジネスに携わっている企業では、このような状況に対応するためにいろいろな手を考えているが、その方策の1つとして、中国人社員の有効活用を企図しているところが少なくない。そこで、中国人社員を有効に活用するためのコツを整理してみよう。
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2014-04-29 21:15