【為替本日の注目点】ドル円7カ月半ぶりに127円台半ばまで下落

ドル円は続落。128円を割り込み一時は127円46銭と、昨年5月30日以来となるドル安を記録。日銀の金融緩和修正観測が円買いにつながる。ユーロドルもドル安の流れから買われたが、前日の水準には届かず、1.0837どまり。株式市場は3指数が揃って続伸。ダウは4日続伸し、ナスダックは6日続伸。債券は反落。長期金利は3.5%台に上昇。金は続伸し、1921ドル台に。原油も7日続伸。
12月輸入物価指数 → 0.4%
1月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 64.6
ドル/円 127.46 ~ 128.62
ユーロ/ドル 1.0781 ~ 1.0837
ユーロ/円 137.97 ~ 139.08
NYダウ +112.64 → 34,302.61ドル
GOLD +22.90 → 1,921.70ドル
WTI +1.47 → 79.86ドル
米10年国債 +0.064 → 3.504%
【本日の注目イベント】
米 株式、債券市場休場(キング牧師生誕記念日)
欧 世界経済フォーラム(WEF)年次総会(スイス、ダボス、20日まで)
ドル円の下げは止まらず、先週末のNYでは128円を割り込み、127円46銭までドル安が進んでいます。予想していた以上にドル安の進行が速い印象ですが、これは、日銀の緩和政策で、イールドカーブ・コントロール(YCC)が再び修正されるとの観測が広がっていることが最大の理由かと思います。
ご存知のように、日銀は昨年12月の会合で長期金利の誘導目標をそれまでの「0.25%」から「0.5%」に拡大し、ドル円はその日だけでも6円を超える円高に振れ、「黒田ショック」とも呼ばれました。先週末の円の債券市場では債券の売り圧力がさらに増し、長期金利は一時「0.545%」まで上昇する場面がありました。昨年12月の会合から1カ月もたたないうちに上限の「0.5%」を超えたことで、今月の会合で再び何らかの政策修正が行われるという見方も債券売りに拍車をかけたようです。その布石となったのが、読売新聞が12日の記事で、「日銀は17、18日の会合で大規模緩和の副作用を点検し、必要な場合は追加の政策修正を行う」と報じたことでした。先週金曜日の長期金利は、日銀の大量の買い支えもあり、引けでは0.5%前後に戻ったようですが、この日の日銀オペによる長期債の買い入れ額は5兆83億円に上り、1日の買い入れ額としては2日連続で「過去最大」を記録しています。日銀は今日の臨時オペを事前に通知しており、債券市場の動き次第では再び買いオペを実施する可能性があるとみられています。債券市場のイールドカーブの「ゆがみ」を突いた投機筋の空売りに、どこまで日銀が買い向かっていくのか、今日の債券市場の動きもドル円を見る上で重要です。長期金利が0.5%を大きく超えて上昇するようだと、ドル円に下落圧力がかかります。
「米債務上限問題」が再び材料になりつつあります。やや恒例行事化しているようにも思えますが、米財務省は債務残高の上限を回避するため、今月19日から会計上の特別措置を講じる意向だと、イエレン財務長官が超党派の議会首脳部に宛てた書簡で明らかにしています。イエレン氏は、「特別措置の有効期間は様々な要素による著しい不確実性に左右される。向こう数カ月、米財政収支を予想することが難しい点などが影響する」とし、「6月上旬より早い時点に賃金と特別措置を使い切ることになるとは考えにくい」としながらも、債務不履行という事態を避けるため、早期の上限引き上げを議会に求めています。米国では何年か前の債務上限問題では、議会での議論が紛糾し、上限引き上げが決められず、公務員給与の遅延が起きています。一部公務員は自宅待機を余儀なくされ、通関などの業務が停止したこともありました。最終的には議会で合意をみるとみられますが、下院では「ねじれ議会」となっていることもあり、合意までは時間がかかるかもしれません。米国のリセッション入りの可能性も含めて、「ドル売り材料」と受け止められます。
予想通りと言いますか、やはりと言いますか、中国国家衛生健康委員会は14日、昨年12月8日から今年1月12日までに本土の医療機関で5万9938人が新型コロナウイルス関連で死亡したと発表しました。中国当局はコロナ感染の日次データの公表を中止したり、コロナ感染による死亡の定義を狭めたりしましたが、多くの専門家からは「余りにも多い数字のため公表できないのでは」と推測されていました。ただこの6万人という数字は、在宅での死者は含んでいないため、実際の死者数ははるかに多いのではとみられています。「英医療調査会社エアフィニティは12月以降の累計死者数が34万人を超えたと予測。米保険指標評価研究所(IHME)は死者数が23年中に100万人を超えるとみており、6万人はなお少ないとの見方もある」と日経新聞は伝えています。
ドル円は昨年1月の113円47銭を底値に上昇したとすれば、すでに上昇分の半値戻しは達成し、61.8%戻し(128円17銭)さえクリアしています。当面は戻り売りのスタンスかと思います。
本日のドル円は126円50銭~129円50銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続落。128円を割り込み一時は127円46銭と、昨年5月30日以来となるドル安を記録。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2023-01-16 10:00