ティー・ワイ・オーは下値固め完了して出直り、収益拡大基調や高配当利回りを評価
TV-CM制作大手のティー・ワイ・オー <4358> の株価は、1月高値から反落して上値を切り下げたが、3月の直近安値から切り返して下値固め完了感を強めている。収益拡大基調や高配当利回りを評価して出直り展開だろう。
広告代理店向けのTV-CM企画・制作事業を主力として、WEB広告やプロモーションメディア広告の企画・制作などマーケティング・コミュニケーション事業も展開している。不採算事業の縮小・撤退などによって事業構造改革を推進し、13年5月にはマーケティング・コミュニケーション事業内で不採算だったテオーリア事業部を譲渡した。
今期(14年7月期)の連結業績見通し(13年9月12日公表)は売上高が前期比6.0%増の265億円、営業利益が同13.8%増の17億円、経常利益が同10.8%増の15億40百万円、純利益が同10.1%増の8億90百万円としている。
主力のTV-CM事業は自動車、電気・情報通信、飲料、衣料業界向けを中心に好調が続いている。大型案件の増加、大口広告主からの直接受注の増加に加えて、コスト面で利益管理を徹底する売上原価と販管費の削減、人件費の先行投資一巡なども寄与する。マーケティング・コミュニケーション事業も堅調であり、営業外での上場関連費用などを吸収して増収増益見込みだ。
第2四半期累計(13年8月~14年1月)は減収減益となり計画未達だったが、顧客側の要望で消費者マインド喚起に向けてTV-CMを4月の消費増税前後に先送りする傾向が強まり、第2四半期(13年11月~14年1月)に予定していた一部大型案件の検収が第3四半期(14年2月~4月)にズレ込んだことが主因だ。第2四半期累計時点の受注残高は74億23百万円で、前期第2四半期累計時点の61億16百万円に比べて13億07百万円増加している。売上計上の期ズレのため特にネガティブ要因とはならないだろう。
広告市場は拡大基調であり、国内のTV-CM制作業界では当社を含む大手制作3社による寡占化傾向を強めているようだ。国内景気回復や20年東京夏季五輪開催も追い風となるため、事業環境は中期的に良好だろう。
13年9月に発表した新中期経営計画では、目標数値として16年7月期売上高320億円、営業利益21億50百万円を掲げ、株主還元として配当性向25%以上と株主優待の継続的実施の方針を示している。海外展開は「ASEAN+インド」でのクリエイティブ企業のネットワーク構築を目指し、現地の独立系エージェンシーに対するM&Aを検討しているようだ。なお4月28日に記念株主優待(オリジナルキャラクター制作)の応募が終了したと発表している。
株価の動き(13年10月25日付でJASDAQ市場から東証2部市場に市場変更、14年1月30日付で東証2部市場から東証1部市場に指定替え)を見ると、東証1部市場への指定替え発表を好感した1月高値209円から反落し、全般地合い悪化も影響して上値を切り下げる展開となった。3月27日には149円まで下押す場面があった。ただし素早く切り返しの動きとなり、足元は概ね160円台で推移している。下値固めが完了したようだ。
4月28日の終値162円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS14円90銭で算出)は11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は3.7%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS70円01銭で算出)は2.3倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を突破した。また週足チャートで見ると、下値を切り上げて26週移動平均線突破の動きを強めている。強基調へ転換する動きのようだ。高配当利回りも評価して出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
TV-CM制作大手のティー・ワイ・オー<4358>(東1)の株価は、1月高値から反落して上値を切り下げたが、3月の直近安値から切り返して下値固め完了感を強めている。
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2014-04-30 08:00