【為替本日の注目点】ドル円続伸し133円に迫る

次期日銀総裁人事に関する報道で132円台半ばまで買われたドル円は、アジア時間では上値が重く、131円台に押し戻されたが、NYでは一段と上昇。米長期金利が上昇したことで132円90銭までドル高が進む。ユーロドルは続落。ドルが買われたことでユーロ売りが加速し、1.0709前後まで下落。株式市場は先週末の雇用統計の大幅な上振れの影響が残り、3指数が続落。債券も続落し、長期金利は3.64%台まで急伸。金と原油は小幅に反発。
ドル/円 132.05 ~ 132.90
ユーロ/ドル 1.0709 ~ 1.0777
ユーロ/円 142.11 ~ 142.66
NYダウ -34.99 → 33,891.02ドル
GOLD +2.90 → 1,879.50ドル
WTI +0.72 → 74.11ドル
米10年国債 +0.115 → 3.640%
本日の注目イベント
豪 豪12月貿易収支
豪 RBA、キャッシュターゲット
日 12月景気先行指数(CI)(速報値)
日 為替介入実績(日次ベース、10-12月)
中 中国 1月外貨準備高
独 独12月鉱工業生産
米 12月貿易収支
米 12月消費者信用残高
米 米大統領、一般教書演説
米 パウエル・FRB議長講演
加 カナダ12月貿易収支
次期日銀総裁に現職の雨宮副総裁が就任する可能性が報じられ、異次元緩和の修正が遅れるとの見方からドル円は132円台半ばまで買われましたが、昨日の東京時間では、先週末には128円台半ばで推移していたこともあり、上値が重い展開でした。NYでは果たしてこのニュースにどのような反応を見せるのか注目していましたが、ドル円はさらに上値を追い、132円90銭までドル高が進みました。もっとも、ドル高が進んだ要因は、日銀人事というよりも、先週末のサプライズだった雇用統計の余韻が残り、債券が売られ、金利が大きく上昇したことが大きかったと思われます。
128円台から雇用統計を受けて131円台までドル高が進み、さらに日銀人事に関わる報道で132円台まで押し上げられたドル円は「1日天下」では終わらなかったということです。日足チャートではローソク足が急伸していることが見て取れ、雲の下限が迫っています。現時点での雲の下限は133円68銭近辺にあり、仮にこのままドル円がもう一段上昇しても、この水準では一旦は上昇が抑えられるでしょう。
昨日のコメントで、今後FOMCメンバーである地区連銀総裁の講演などでは、タカ派寄りの発言が多くなり、インフレの鈍化にはより慎重な姿勢が見られるのではないかと書きましたが、さっそくその動きが出ています。アトランタ連銀のポスティック総裁はブルームバーグとの電話インタビューで、経済予想よりより強い状況が続けば、「われわれにはもう少しやるべき行動があることを意味するだろう」と述べ、「それは私の今の予想よりも大きく利上げすることにつながると予想する」と語っています。大きく上振れした1月の雇用統計を受け、金融当局が政策金利のピークを従来予測よりも高めに引き上げる可能性が強まったとの認識を示しています。
今回の雇用統計について、イエレン財務長官もコメントしています。イエレン氏は、景気モメンタムの証左として力強い雇用統計を挙げ、「50万人の雇用があり、失業率が50年ぶり低水準となっているときに、リセッションは起こらない」と述べ、「米経済は力強く、底堅い」との認識を示しました。鈍化傾向にあるインフレ率については、「依然として高すぎる。これを引き下げることがバイデン大統領の最優先事項だ」と話しています。本日はパウエル議長の講演が予定されています。1月の雇用統計を受け、どのような発言を行うのか、すでに市場の関心を集めています。インフレ率の鈍化傾向については、より慎重な姿勢を示すと予想しますが、3月会合でも大幅利上げの可能性があるといったような内容になると、ドル円はさらに上昇することになるかもしれません。基本は今後のデータ次第だといった認識を示しながらも、タカ派寄りの内容になるのではないかと思っています。
本日はバイデン大統領の一般教書演説があります。ホワイトハウスは、この中で企業の自社株買いへの課税を4倍にする案や、超富裕層にミニマム課税を課する、いわゆる「ビリオネア税」法案の成立を呼び掛けると発表しています。下院では、中国の偵察気球を撃墜したことに関して、共和党はバイデン大統領の行動を「遅きに失した」と非難している様です。撃墜された気球の一部がすでに米軍により回収されており、中国側が主張している「民間の気象研究用だった」のかどうかが、まもなく判明してくるとみられます。
本日のドル円は131円~133円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
次期日銀総裁人事に関する報道で132円台半ばまで買われたドル円は、アジア時間では上値が重く、131円台に押し戻されたが、NYでは一段と上昇。米長期金利が上昇したことで132円90銭までドル高が進む。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-02-07 10:00