【為替本日の注目点】金融当局者のタカ派発言相次ぐ

130円台半ばまで下げたドル円は上昇し131円台半ばに。相次ぐFOMCメンバーによるタカ派的な発言に金利先高観測が高まりドルが買われた。前日1.06台まで売られたユーロドルは反発したが、終始1.07台で推移。株式市場は続落。金融当局者のタカ派発言に、ハイテク株を中心に売りが広がる。S&P500は46ポイント下げ、ナスダックも203ポイントの大幅下落。債券は反発。長期金利は3.61%台に低下。金と原油は3日続伸。
ドル/円 131.05 ~ 131.54
ユーロ/ドル 1.0710 ~ 1.0743
ユーロ/円 140.66 ~ 141.03
NYダウ -207.08 → 33,949.01ドル
GOLD +5.90 → 1,890.70ドル
WTI +1.33 → 78.47ドル
米10年国債 -0.064 → 3.610%
本日の注目イベント
英 ベイリー・BOE総裁講演
米 新規失業保険申請件数
FOMCメンバーの相次ぐ「タカ派寄り」の発言から、あと1回か2回程度とみられている利上げがさらに継続されるとの観測が強まり、ドル円は再び131円台半ばまでドルが買われています。このレポートでも何度か述べたように、先週末の雇用統計の「ビッグサプライズ」を受けた、タカ派的な金融当局者の発言がドルを押し上げています。昨日の夕方には130円台半ばまで売られたドル円は、ちょうど1円程上昇したことになります。
NY連銀のウイリアムズ総裁はウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のイベントで、「今年の金利動向を見通す上で昨年12月のFOMC予測は依然良好な指針だ」と述べながらも、「インフレを鈍化させるため、数年間は金利を景気抑制的な水準に維持する必要があるかもしれない」と語っています。また、FRBのクック理事もワシントンで行われたイベントで、「インフレを当局目標に戻すことを決意している」と述べ、「従って、利上げはまだ終わっておらず、金利を十分に景気抑制的な水準に維持する必要があると考える」と話し、「今は比較的小幅なステップで行動している。これにより、われわれは景気に対して速いペースで行った行動の効果を見極める時間が得られる」と発言しています。
さらに、FRBのウォラー理事はアーカンソー州立大学の講演で、「努力が実を結び始めている様子が見て取れるが、行き先はまだ長い」と述べ、「金利が一部で現在想定されているより高い水準でより長く維持され、長い闘いになる可能性がある」と指摘しています。(ブルームバーグ)前日行ったミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も含め、多くの金融当局者がタカ派的な発言に終始したことは、先週末に発表された雇用統計の上振れの影響を受けていることは明らかです。今朝のブルームバーグは「第六感」というタイトルで、「米政策金利に対するセンチンメントの変化が、金利オプションの取引きで表面化しつつある。今週に入り複数の大口ポジションがFF金利6%到達に賭けており、現在の市場コンセンサスより1ポイント近い高い水準を予想していることがうかがわれる」と伝えています。政策金利のターミナルレートは5.0%~5.25%と予想されていますが、万が一この先インフレが再燃し、金利が上昇した際の「ヘッジ」であるとみられます。通貨オプション取引で、「140円のコール」を買うのと同様なポジションです。
イギリス空軍機でロンドンを訪れたウクライナのゼレンスキー大統領はウエストミンスター寺院で演説を行い、「ロンドンは戦争初日からキーウに味方し続けている。ロシアは敗北する」と述べ、スナク首相との会談では長距離ミサイルの供与を要請しました。ゼレンスキー氏はこの後パリに移動し、マクロン大統領とも会談する予定です。予想されるロシアの大規模な攻撃の前に、欧州各国にさらなる強力な武器の提供を要請しています。
バイデン大統領は7日、一般教書演説を行い、中国の脅威から「米国を守る」と強調しました。大統領は、「米国の利益を増進し、世界に恩恵を与えることができる分野で中国と協力する決意だ」とする一方、「だが勘違いしてはいけない。先週はっきりさせたように、中国がわれわれの主権を脅かすなら、わが国を守る行動に出る。そしてわれわれはそうした」と述べ、自身の命令で、中国の偵察気球を撃墜したことにも触れました。さらに、専制政治は世界中で弱体化していると述べるとともに、事前に準備した演説テキストから離れ、「誰もが中国主導者の仕事を望んでいない」と発言。習近平国家主席と立場を交換したい指導者が世界にいるなら「名前を挙げてほしい」と強い口調で述べていました。
本日のドル円は130円50銭~132円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
130円台半ばまで下げたドル円は上昇し131円台半ばに。相次ぐFOMCメンバーによるタカ派的な発言に金利先高観測が高まりドルが買われた。前日1.06台まで売られたユーロドルは反発したが、(イメージ写真提供:123RF)
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2023-02-09 10:00