鴻池運輸は自律調整一巡してIPO直後の高値目指す
総合物流の鴻池運輸 <9025> の株価は、2月安値圏から急反発した反動で上げ一服の形だが、指標面の割安感も支援材料であり、自律調整が一巡してIPO直後の13年3月高値を目指す展開だろう。5月9日予定の決算発表に向けて期待感が高まる可能性もありそうだ。
1880年創業、1945年設立の総合物流企業で、13年3月東証1部市場に新規上場した。環境関連、医療関連、定温物流など、強みを持つ10分野を中心に構内作業・流通加工・輸送などを組み合わせた総合ソリューションを提供している。
前々期(13年3月期)のセグメント別売上構成比は複合ソリューション事業64.8%、国内物流事業22.3%、国際物流事業12.9%だった。分野別売上構成比は鉄鋼関連24.0%、食品関連26.8%、生活関連(生活業務、空港業務、メディカル業務、流通・アパレル業務)29.0%、定温関連7.9%、海外関連12.3%だった。
中期経営計画では、基軸分野の鉄鋼関連と食品関連、および次世代中核事業として医療関連、ファッション&アパレル関連、空港関連、定温物流を強化する方針を打ち出し、目標数値として18年3月期売上高3000億円、営業利益150億円、ROE8.7%、そして創業140周年の21年3月期売上高3500億円、営業利益200億円、ROE9.6%を掲げている。
14年3月に九州産交運輸の子会社化(5月1日予定)を発表した。九州産交運輸の持つ医薬品輸送の技術および実績と、当社の院内物流や医療機器物流を組み合わせて、重点分野の医療関連事業を強化する方針だ。九州産交運輸の特別積み合わせ貨物運送事業は会社分割して、トールエクスプレスジャパンに承継される。
海外は米州、中南米、そしてアジアでは中国、インド、バングラディシュ、メコン・ベンガル地域(ベトナム、タイ、ミャンマー、カンボジア)での拠点整備を加速している。14年3月のメキシコ現地法人設立、14年4月のタイ合弁会社設立完了で、グループの海外拠点は31拠点(海外法人23社、駐在員事務所8事務所)となった。
また4月15日には、子会社コウノイケ・シッピングと共同で、ベトナムの冷凍冷蔵倉庫事業会社であるAnpha-AG社の全株式を取得し、子会社化(株式取得は関係当局の許認可等を前提として5月~6月の予定)すると発表した。成長市場であるベトナムでの事業展開を加速させる方針だ。
前期(14年3月期)連結業績見通し(13年11月7日公表)は売上高が前々期比0.1%増の2279億円、営業利益が同0.1%増の77億円、経常利益が同0.8%増の76億円、純利益が同3.1%増の41億円としている。車両・ドライバー不足による外注費の増加、燃料価格の高止まり、新センター立ち上げに係る費用の増加、電気料金値上げに伴う冷凍・冷蔵倉庫運営コストの上昇などで不透明感が強いとしている。
ただし会社計画はやや保守的のようだ。第3四半期累計(4月~12月)の利益進捗率は高水準であり、第4四半期(1月~3月)が消費増税前の駆け込み需要などで国内物流量が増加したことも考慮すれば、通期上振れの可能性が高いだろう。
株価の動きを見ると、2月25日の直近安値1353円から急反発して4月4日の1674円まで上伸した。その後は利益確定売りや全般地合い悪化などで上げ一服の形となったが、概ね1550円~1600円近辺で堅調に推移している。
4月28日の終値1546円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS144円11銭で算出)は10~11倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.9%近辺、実績PBR(前々期実績の連結BPS2435円25銭で算出)は0.6倍近辺である。週足チャートで見ると戻り高値圏から一旦反落したが、26週移動平均線がサポートラインの形だ。指標面の割安感も支援材料であり、自律調整が一巡してIPO直後の13年3月高値1778円を目指す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
総合物流の鴻池運輸<9025>(東1)の株価は、2月安値圏から急反発した反動で上げ一服の形だが、指標面の割安感も支援材料であり、自律調整が一巡してIPO直後の13年3月高値を目指す展開だろう。
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2014-04-30 08:45