【為替本日の注目点】日銀新総裁に植田氏で固まる

ドル円は次期日銀総裁に植田氏で調整との報道により、先週末の東京時間夕方には129銭80銭近辺まで下落。NYでは、同氏が当面現行の政策を維持するとの見方からドル円は一転して上昇。131円60銭までドル高が進む。ユーロドルも欧州時間には1.07台半ばまで買われたがNYではドル高が進んだことから1.0666まで売られる。株式市場は金利上昇からナスダックは下落したが、ダウとS&P500は上昇して引ける。債券は売られ、長期金利は3.73%台に上昇。金は続落し、原油は反発。
ドル/円 130.58 ~ 131.60
ユーロ/ドル 1.0666 ~ 1.0707
ユーロ/円 139.82 ~ 140.43
NYダウ +169.82 → 33,869.27ドル
GOLD -4.00 → 1,874.50ドル
WTI +1.66 → 79.72ドル
米10年国債 +0.070 → 3.732%
【本日の注目イベント】
欧 ユーロ圏財務相会合
米 日米韓外務次官協議(ワシントン)
市場は再び「日銀サプライズ」に翻弄されています。先週日経新聞が電子版で「次期日銀総裁に雨宮氏を打診」との報道で、ドル円は買われ、131円台までドル高が進みました。現職の副総裁が昇格するということで、「当面現行のYCCが維持される」といった観測からドル高に振れたものです。大規模金融緩和政策が続くことで日本の低金利が維持され、「日米金利差の縮小要因にはならない」といった見立てです。ところが先週金曜日の夕方には「次期総裁は経済学者の植田氏で固まる」との報道で、今度はドル売りで反応し、ドル円はその日の夕方には129円80銭前後まで売られました。今回の混乱はこれでは終わらず、NYでは一転してドルが買われ、ドル円は131円60銭を付けています。植田氏が「現状では金融緩和が必要だ」とのコメントを述べたことが伝わり、直ぐに現行の政策変更はないといった見方がドルを押し上げたようです。今回の人事で筆者は、「雨宮副総裁が、何故総裁就任を固辞したのか」その真意の方により興味があるという思いです。黒田総裁とともに異次元の金融緩和策を推進してきた、いわば「中心人物の一人」で、仮に自身が総裁に就任し政策変更を行ったら、「自己否定」につながるおそれもあると考えたのではないかと推測したら、うがち過ぎでしょうか?
サマーズ元財務長官はブルームバーグ・テレビジョンの番組で、植田氏について、「バーナンキ元FRB議長とほぼ同じ時期にMITで学び、論文の指導者も同じだった」と指摘し、「金融経済の同じような分野を専門とし、穏やかな学問的話し合いをするが、決断力もある」と評価しています。バーナンキ氏、サマーズ氏、さらにECBのドラギ前総裁もMITでフィッシャー教授の教え子で、その人脈はオーストラリア準備銀行(RBA)のロウ総裁やイングランド銀行(BOE)のキング元総裁にもつながっているとブルームバーグは伝えています。主要国中銀総裁やその経験者と強いネットワークを持っているようで、このまま就任が決まるとしたら、今後の手腕に期待したいと思います。
今朝の報道で、米軍は中西部ミシガン州のヒューロン湖上空で未確認物体を撃墜したと発表したとあります。11日には、カナダ上空でも米軍の戦闘機が未確認物体を撃墜しており、これでここ8日間で4つ目になります。カナダのアナンド国防相は、飛行物体を飛ばした国について憶測を避け、断定は時期尚早だとしながらも、「中国をしっかりと注視する必要がある」と述べています。
明日14日には米1月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。バークレーズ証券は「All eyes on US CPI」と報じ、非常に注目されていると伝えています。現時点では1月の総合CPIは、前月よりもさらに鈍化しているとみられていますが、ブルームバーグは「実際の伸びは市場予想よりも大きくなる可能性に投資家は身構えている」と伝え、結果の上振れに対する警戒が必要かもしれないとしています。日足チャートを見ても分かるように、ドル円はここ1カ月以上、底堅い動きを見せる一方、131円台半ばで上値が抑えられている状況が続いています。言い換えれば、何かのきっかけでこの水準を抜ければ、ドルのもう一段の上昇も見込めるかもしれません。明日のCPIがそのきっかけになるかもしれません。2月3日の「雇用統計サプライズ」に次ぐ「CPIサプライズ」になる可能性もありそうです。
本日のドル円は130円50銭~132円50銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は次期日銀総裁に植田氏で調整との報道により、先週末の東京時間夕方には129銭80銭近辺まで下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-02-13 10:15