【為替本日の注目点】米1月CPI、ドル円押し上げる

米1月のCPIを受けてドル円は続伸。一時は133円30銭までドル高が進み、1月6日以来約6週間ぶりのドル高を付ける。ユーロドルは朝方に約10日ぶりとなる1.08台に乗せたが、その後反落。株式市場はまちまち。ナスダックはプラスで取引を終えたものの、ダウは156ドル安。S&P500はほぼ横ばい。債券は反落。長期金利は3.74%台に上昇。金は小反発し、原油は反落。
1月消費者物価指数 → 6.4%(前年同月比)
ドル/円 131.50 ~ 133.30
ユーロ/ドル 1.0707 ~ 1.0805
ユーロ/円 141.89 ~ 142.94
NYダウ -156.66 → 34,089.27ドル
GOLD +1.90 → 1,865.40ドル
WTI -1.08 → 79.06ドル
米10年国債 +0.042 → 3.743%
【本日の注目イベント】
欧 ユーロ圏12月貿易収支
欧 ユーロ圏12月鉱工業生産
欧 ラガルド・ECB総裁講演
英 1月消費者物価指数
米 1月小売売上高
米 2月NY連銀製造業景況指数
米 1月鉱工業生産
米 1月設備稼働率
米 2月NAHB住宅市場指数
加 1月住宅建設許可件数
注目された米1月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で「6.4%」と発表され、昨年12月の「6.5%」からは鈍化してはいたものの、市場予想の「6.2%」を上回り、今後一段の利上げ観測を強める結果でした。瞬間風速として位置付けられる前月比では「0.5%」と、市場予想と一致していました。また、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数では前同月比で「5.6%」と、こちらも市場予想の「5.5%」を上回り、前月比では予想通りでした。項目別に見ると、医療費や航空運賃などが大きく下がったものの、光熱費や被服費などが大きく上昇しています。米消費者の支出傾向をより的確に反映させるため、1月の統計から新たな加重方法が採用され、住居関連は全体のCPIに占める割合が一段と大きくなった一方、中古車の比率が下がっています。居住費はサービス分野で最大の寄与度となっており、総合CPIの3分の1を占めています。今回のCPIで、前年同月比では総合、コアともに市場予想を上回ったことで、これまで順調に低下傾向を示してきた米国のインフレの鈍化傾向も「踊り場」に差しかかってきた可能性があります。
1月のCPIの結果を受けFOMCメンバーの発言も予想通りタカ派寄りのものが多くみられましたが、一部にはモデレートな発言もありました。リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「インフレは正常化しつつあるが、鈍化のペースは緩慢だ」と述べ、「根強いインフレが続いた場合、一段の利上げを選択するかもしれないが、そうしない可能性もある。状況を見守る必要がある」と語りながらも、「インフレが当局目標を大きく上回る水準が続いた場合は、さらなる行動が必要になるかもしれない」と説明しています。またダラス連銀のローガン総裁は政策金利について、「インフレ率を確実に低下させるために、金融当局の従来予想よりも高い水準に引き上げる必要があるかもしれない」と述べています。さらにNY連銀のウイリアムズ総裁も、「労働市場の強さを考えると、インフレが予想よりも長くより高い水準にとどまるリスクがあることは明らかであり、それより高く金利を引き上げる必要があるかもしれない」と話しています。一方、よりモデレートで中立的な発言を行ったのはフィラデルフィア連銀のハーカー総裁です。ハーカー総裁は、「私の考えでは、まだ終わっていないが、もう一息と思われる」と述べ、「年内のある時点で政策金利は十分に景気抑制的になると見込んでいる。そうなれば金利を据え置いて金融政策それ自体に仕事を任せることになる」と指摘していました。(ブルームバーグ)
CPIの結果を受け、ドル円は直後に乱高下しましたが、今後もFRBは利上げを継続せざるを得ないとの見方から、ドル円は133円30銭まで上昇しています。今週に入って、「発表されるインフレ率は低下するが、下がり方が緩慢になるのでは」といった見方が広がり、ドル円は129円台から132円台に乗せましたが、結局その見方が正鵠を射ていたことになります。金利スワップ市場では、3月と5月のFOMCで0.25ポイントずつ政策金利を引き上げた場合、6月会合でも0.25ポイントの利上げがある確率を「五分五分」と織り込んできました。
昨日のレポートでも述べましたが、これで目先のレジスタゾーンであった132円90銭~133円を上抜けしたわけです。短期的にはドルが底堅く推移し、場合によっては135円テストもないとは言えない状況になったとみるのが順当でしょう。ただそれでもこの短期トレンドは、一つの経済データや一つの発言で簡単に変化します。決め打ちは避けて、引き続き柔軟な対応が求められます。言えることは、まだ当分市場の最大のテーマは「米国のインフレ動向」であることは間違いないところでしょう。
本日のドル円は132円~134円程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
米1月のCPIを受けてドル円は続伸。一時は133円30銭までドル高が進み、1月6日以来約6週間ぶりのドル高を付ける。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2023-02-15 10:15