【為替本日の注目点】3月会合でも0.5ポイントの利上げ観測浮上

ドル円は朝方134円46銭まで買われる場面があったものの、その後じり安の展開。株式と債券が大きく売られ、金利は上昇したものの、利益確定の売りが優勢と見られた。ユーロドルは上値を重くしながらも、1.06台半ばがサポートに。株式市場は3指数が大きく下落。ブラード・セントルイス連銀総裁のコメントが伝わり、引けにかけて大きく売られる。債券も続落。長期金利は3.86%台と、一段と上昇。金は反発し、原油はほぼ横ばい。
1月住宅着工件数 → 130.9万件
1月建設許可件数 → 133.9万件
2月フィラデルフィア連銀景況指数 → -24.3
1月生産者物価指数 → 0.7%
新規失業保険申請件数 → 19.4万件
【本日の注目イベント】
欧 12月経常収支
欧 ミュンヘン安全保障会議(19日まで)
英 1月小売売上高
米 1月輸入物価指数
米 1月輸出物価指数
米 1月景気先行指標総合指数
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
米 ブレイナード・副議長、討論に参加
「雇用統計ショック」、「CPIショック」に続き、小売売上高の上振れなど、米景気の底堅さを示唆する指標が相次いだことで、債券が売られ、金利が上昇したことでドル円は134円台まで反発したのが、今週の動きでした。ただそんな中でもNY株式市場は底堅い動きを見せており、やや違和感を覚えていましたが、やっぱりと言うか、当然と言ったらいいのか、昨日のNY株式市場では株価が大きく売られています。
きっかけは、やはりこの人でした。セントルイス連銀のブラード総裁が、「3月会合での0.5ポイントの利上げの可能性も排除しない」と発言したことで株式と債券が大きく売られています。ブラード総裁は、「インフレとの闘いは長期戦になるというのが、私の大まかな判断だ。2023年を通じてインフレと闘う決意を示し続ける必要があるだろう。政策金利を出来るだけ早期に5.375%に引き上げるのが望ましい」と述べ、今月のFOMC会合で0.5ポイントの利上げを支持したことも明らかにし、「金融政策の前倒しを私は一貫して主張している。前回会合でもそれを続けられたと思う」と話しています。
また、クリーブランド連銀のメスター総裁も16日のイベントで、「現時点において、入手するデータを受けての私の見解は変っていない。フェデラルファンド(FF)金利を5%超に引き上げ、その水準でしばらく維持する必要がある」と指摘し、「2週間前の会合で、金融市場参加者の期待とは関係なく、私としては50ベーシスポイント引き上げる説得力ある経済的論拠を見出していた。50bpの利上げであれば、FF金利誘導目標レンジの上限は5%となっていた」とブラード総裁に近い発言を行いました。前回会合では市場予想通り、0.25ポイントの利上げ幅を決め、パウエル議長は記者会見で、「われわれは大きく進展したと考えている」としながらも、「それでも、さらなる仕事が残されている」と述べ、物価圧力に関する最新の指標は心強い内容だとしながらも、「勝利宣言するのは極めて時期尚早だ」と述べていました。政策決定後ドル円は「ハト派的」だったとして128円台半ばまで売られました。筆者は、1月の雇用統計発表後に、3月会合での0.5ポイントの利上げ観測も浮上すると予想しましたが、ただ現実には3月会合までには2月の雇用統計をはじめ、CPIやその他の主要経済指標も多く確認できることから同利上げ幅のハードルは相当高いとみています。同時に、これまで順調に低下してきた米国のインフレが再び上昇に転じるかどうかの「踊り場」に差しかかってきた可能性が高いとみています。この日発表された1月の生産者物価指数(PPI)も市場予想を上回る0.7%前年同月比では6.0%)と、根強いインフレ圧力があることを浮き彫りにしており、今後さらに米インフレ指標からは目が離せない状況です。
本日ドイツでは「ミュンヘン安全保障会議」が開かれます。ここでブリンケン国務長官が中国の外交トップの王毅氏と会談するのかどうかは、現時点でも未定のようです。中国からの気球撃墜問題を巡る両国の主張が壁になっています。そんな中、バイデン大統領は同問題を巡る中国との緊張の緩和を目指し、習近平主席と会談する意向を示しています。バイデン氏はホワイトハウスで、中国の気球以外に3つの飛行物体が外国による偵察用のものであることを示す兆候はないものの、米領空の安全確保に向け新たな基準を設けることを明言しています。そして「われわれは新たな冷戦を招くつもりはないが、私は謝罪をしない。われわれは競争するつもりだ」と述べています。習氏との会談の日程などについては明らかになっていません。(ブルームバーグ)
ドル円は米金利が一段と上昇しましたが、利益確定の売りに押された格好で下げました。日足では一目均衡表の雲に入り、雲は「抵抗帯」であることから売りが出易いレベルに入っています。また年初来のドル高水準にも接近しています。さらにこの上方には昨年10月の高値からの下落幅の「38.2%戻し」(136円67銭)や200日移動平均線(136円90銭)も控えており、テクニカル的には一旦下押しされてもおかしくはない水準です。ただ米長期金利の上昇傾向がドル円を下支えすることにはなります。上値では抵抗されますが、底堅い動きになりそうです。
予想レンジは133円~135円といったところでしょうか。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は朝方134円46銭まで買われる場面があったものの、その後じり安の展開。株式と債券が大きく売られ、金利は上昇したものの、利益確定の売りが優勢と見られた。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-02-17 10:00