【為替本日の注目点】ドル円2カ月ぶりに136円台半ばに

 ドル円は続伸。個人消費支出(PCE)価格指数が予想を上回る伸びとなったことでドル買いが広がり、一時136円52銭と、昨年12月20日以来となるドル高水準を付ける。ユーロドルもドル高に押され1.0536まで売られる。ユーロは対円では144円まで上昇。株式市場は3指数が揃って大幅下落。インフレデータが上振れしたことでハイテク株を中心に大きく売られる。ダウは336ドル下げ、ナスダックは195ポイントの下落。債券は反落。長期金利は3.94%台に上昇。ドル高が続き金は5日続落。原油は続伸。 1月個人所得 → 0.6% 1月個人支出 → 1.8% 1月PCEデフレータ(前月比) → 0.6% 1月PCEデフレータ(前年比) → 5.4% 1月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.6% 1月PCEコアデフレータ(前年比) → 4.7% 1月新築住宅販売件数 → 67万件 2月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 67.0 ドル/円 135.20 ~ 136.52 ユーロ/ドル 1.0536 ~ 1.0576 ユーロ/円 143.12 ~ 144.00 NYダウ -336.90 → 32,816.92ドル GOLD -9.70 → 1,817.10ドル WTI +0.93 → 76.32ドル 米10年国債 +0.056 → 3.943% 【本日の注目イベント】 日 12月景気先行指数(CI)(改定値) 日 日銀総裁候補の植田氏への所信聴取と質疑(13:10参議院) 欧 ユーロ圏2月消費者信頼感(確定値) 欧 ユーロ圏2月景況感指数 米 1月耐久財受注 米 1月中古住宅販売成約件数 加 10-12月期経常収支  ドル円は続伸し、NYでは約2カ月ぶりとなる136円52銭までドル高が進みました。1月の個人消費支出(PCE)か価格指数が予想を上回ったことや、先週末の国会で、植田次期日銀総裁候補が金融緩和を継続する姿勢を見せたことで円売りが加速しました。  1月のPCE価格指数は、総合で「5.4%」と、市場予想の「5.0%」を大きく上回り、コア指数でも「4.7%」と、予想の「4.3%」を上回りました。(いずれも前年同月比)これらの数字は持続的な高インフレリスクを浮き彫りにしており、先に発表された1月の消費者物価指数(CPI)とも整合しています。FRBはPCE価格指数をより重視していると言われており、同指数の上振れで、FRBが3月会合以降も利上げを継続せざるを得ないといった見方が広がり、ドル買いにつながっています。また先週末の衆院議員運営委員会で植田氏は、「物価2%の持続的、安定的な実現が見通せる状況になれば、現在採用しているさまざまな強い緩和措置を平時に戻していく」としながらも、「足元の金融政策運営は現在の政策継続が望ましい」との考えを示しています。インフレ率については、上昇率は4%(1月のCPIは4.2%でした)と目標の2%を上回っているが、「輸入物価上昇によるコストプッシュが主因で、来年度半ばにかけて2%を下回る水準に低下していく」との認識を示しています。予想されたように、植田氏の発言は「中庸」で、現行の政策を維持し、その副作用を検証した上で、必要であれば政策を変更していくというものでした。  1月のPCE価格指数の結果を受けて、クリーブランド連銀のメスター総裁は、「こうしたインフレ関連の数値は依然としてわれわれが欲する水準にはない」と述べ、「インフレ率押し下げに向け、金融当局は政策金利を巡りもう少し行動する必要があるという事実と合致するものだ」と語っています。また、ジェファーソンFRB理事はNYでの会合で、「労働需給の不均衡が続いていることに、労働コストの大部分がサービスセクターであるということが相まって、高インフレ率は緩やかなペースでしか低下しない可能性が示唆されている」と指摘しています。同理事の発言は、シカゴ大学ブース経営大学院がNYで開いた「金融政策フォーラム」に参加した際に述べられたものですが、同フォーラムに参加したブランダイス大学のチェケッテイ教授ら5人のエコノミストは「軽度のリセッションを起さずに経済をソフトランディングに導き、その過程でインフレを2025年末までに2%目標に戻す能力が、FOMCにあるのか疑わしいというのがわれわれの分析だ」(ブルームバーグ)と手厳しい批判を行っています。  ドル円は136円台半ばまで上昇したことで、日足ではついに雲抜けを達成しています。日足チャートでローソク足が雲の上に出るのは、昨年11月10日以来のこととなります。「相場の基本は日足にある」という言葉があるように、ドル円は日足で雲抜けしたことで、目先は底堅く推移する可能性が高まったようです。米インフレが再び上昇に転じるのか、また、「植田日銀」が今後どのタイミングでYCCの修正に踏み切るのか注意は必要ですが、いましばらくドルが上昇する可能性はあろうかと思います。日本の10年国債は売り圧力を受けながら、上限の0.5%を超えてきています。この動きにも目配りが必要です。  本日のドル円は135円30銭~137円30銭程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続伸。個人消費支出(PCE)価格指数が予想を上回る伸びとなったことでドル買いが広がり、一時136円52銭と、昨年12月20日以来となるドル高水準を付ける。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-02-27 10:00