【為替本日の注目点】米長期金利およそ4カ月ぶりに4%台に

欧州時間には135円台前半まで売られたドル円はNYで再び136円34銭まで上昇。米長期金利が4%台に乗せたことが材料に。ユーロドルは底堅く推移し、1.0691まで上昇。ECBによる利上げ観測が支えとなり、対円でも145円台前半まで買われる。株式市場はまちまち。金利上昇を嫌気してナスダックは76ポイント下げたが、ダウは小幅に上昇。債券は続落し、長期金利はおよそ4カ月ぶりに4%の大台に。金と原油は続伸。
2月ISM製造業景況指数 → 47.7
2月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 47.3
2月自動車販売台数 → 1489万台(年換算)
ドル/円 135.40 ~ 136.34
ユーロ/ドル 1.0643 ~ 1.0691
ユーロ/円 144.70 ~ 145.29
NYダウ +5.l4 → 32,661.84ドル
GOLD +8.70 → 1,845.40ドル
WTI +0.64 → 77.69ドル
米10年国債 +0.072 → 3.992%
【本日の注目イベント】
豪 1月住宅建設許可件数
欧 ユーロ圏1月失業率
欧 ECB議事要旨(2月24日会合分)
欧 ユーロ圏2月消費者物価指数(速報値)
米 新規失業保険申請件数
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
米 ウォラーFRB理事、オンラインイベントで講演
2月から続く米経済指標の上振れで、米金融当局の利上げが長期にわたって継続されるとの観測が徐々に強まり、これがドル円を支える展開が続いています。昨日は東京時間の夕方にはドル円が上値を重くし、136円台を割り込む動きを見せました。NYがオープンする前には135円25銭近辺までドル安が進みましたが、2月のISM製造業景況指数を材料に再びドルが上昇し、136円34銭まで買われています。同総合指数は製造活動の拡大・縮小の境目である「50」は下回ったものの、6カ月ぶりに上昇しています。市場は特に仕入れ価格指数に注目したようです。同指数は「51.3」と、昨年9月以来となる「50」を超えており、コスト上昇を示唆しています。米インフレが再び上昇するとの懸念から、株と債券が売られ、長期金利はおよそ4カ月ぶりに節目の4%台に乗せました。
加えて、この日は2人のFOMCメンバーがタカ派的な発言を行ったことも債券売り、ドル買いにつながっています。相次ぐ米経済指標の上振れが発表される中、FOMCメンバーがタカ派的な発言を行う可能性が高いというのは想定内ですが、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はサウスダコタ州でのイベントで、「25ベーシスポイントか50bpかについて、現時点ではオープンマインドでいる。私にとっては、当局の金利予想分布図(ドットプロット)で示唆する内容の方が、25bpか50かどうかよりも重要だ」と述べ、「利上げがサービス部門の減速につながっている兆しがまだあまり見られず、それが気掛かりだ」と語っています。また、アトランタ連銀のポスティック総裁も、「フェデラルファンド(FF)金利を5-5.25%に引き上げ、2024年もしばらくその水準で維持する必要がある」との認識を示しています。このような発言が米長期金利を4%台に押し上げ、金利スワップ市場では政策金利が9月に5.5%でピークに達するとの見方を織り込みつつあります。次回FOMCは今月21-22日に開催されますが、それまでに発表される雇用統計やCPIの結果次第では50bpの利上げの可能性もありそうです。またそれまでに予想されるFOMCメンバーによるタカ派発言にも注意が必要です。利上げ幅が拡大され、利下げのタイミングが徐々に先に延びている印象ですが、現時点ではまだ0.25ポイントの利上げと、2024年第1四半期には利下げに向うとの見方は維持されていると考えます。
ドル円は今週に入り、日足チャートでは完全に「雲抜け」を完成させています。ドル円はもうしばらく上昇する余地はありそうですが、この「雲抜け」は形としてはあまり良くありません。相場が勢いよく上昇して雲を抜けたというよりも、雲そのものが右下に下がってきたことで、結果として「雲抜け」が完成した形になっています。また、「38.2%戻し」の水準を一旦は抜けましたが、まだ抵抗されている印象も残ります。再び上昇して139円50銭~140円の壁に挑むのかどうか、もうしばらくは発表されるデータを確認する必要があります。
本日のドル円のレンジ予想は135円~137円と変わりません。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
欧州時間には135円台前半まで売られたドル円はNYで再び136円34銭まで上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-03-02 09:45