【為替本日の注目点】今度はクレディ・スイスか?

ドル円はNY時間朝方、2月のPPIやNY連銀製造業景況指数が下振れしたことを受け急落。132円21銭前後までドル売りが進んだが、その後133円台後半まで戻る荒っぽい動きに。クレディ・スイス(CS)の経営危機が表面化したことで、ユーロドルは大きく下落。1.0517まで売られ、対円でも139円台半ばまで下落。株式市場はまちまち。ダウとS&P500は下げたものの、ナスダックは小幅高。CS株の大幅安を受け、NYでも銀行株が大きく売られる。債券は急騰。長期金利は大きく低下し3.45%台に。金は反発。原油は一段と下げ、前日比3ドル72セント安。2021年12月以来、1年3カ月ぶりの安値を付ける。世界景気の鈍化を織り込む動きが続き、一時は65ドル台まで下げる。
2月小売売上高 → -0.4%
3月NY連銀製造業景況指数 → -24.6
2月生産者物価指数 → -0.1%
3月NAHB住宅市場指数屋 → 44
ドル/円 132.21 ~ 133.77
ユーロ/ドル 1.0517 ~ 1.0595
ユーロ/円 139.47 ~ 141.57
NYダウ -280.83 → 31,874.57ドル
GOLD +20.40 → 1,931.30ドル
WTI -3.72 → 67.61ドル
米10年国債 -0.234 → 3.455%
本日の注目イベント
豪 豪2月雇用統計
日 11月鉱工業生産(確定値)
日 2月貿易統計
日 尹韓国大統領が来日
欧 ECB政策金利発表
欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
米 新規失業保険申請件数
米 2月輸入物価指数
米 2月輸出物価指数
米 2月住宅着工件数
米 2月建設許可件数
米 3月フィラデルフィア連銀景況指数
米 イエレン財務長官、上院財政委員会で証言
クレディ・スイスよ、お前もか・・・・。
スイス大手銀行のクレディ・スイス(CS)が経営危機に陥っています。筆頭株主が追加出資の可能性を否定したことを受け、同行の株価は24%安と、過去最大の下落率を記録し、上場来安値を更新しました。CSはスイス中銀に同行に対する支援を公に示すことを要請し、スイス中銀も必要なら流動性を供給すると発表しています。もっとも、CSの経営危機が表面化したのは今に始まったことではなく、これまでにも何度もニュースに取り上げられています。もともとスイスでは、UBS、SBC、CSの「3大銀行」の時代が長く続いていましたが、その上位2行が合併し、現在のUBSが誕生しました。そのためUBSとCSとの差はさらに拡大し、スイス国内での地位も低下が歴然でした。同行は日本でも不祥事を起こしています。CSのプライベートバンクの日本支店に、当局の検査が入った際、証拠隠滅を図るため多くの書類を段ボール箱に入れて持ち出したことが発覚。結局、「銀行免許取り消し」という厳しい処分が下され、日本からの撤退を余儀なくされました。この処分に、スイスと日本の金融当局の関係が悪化する事態もありました。フランス最大の銀行BNPパリバは一部の顧客に対し、CSグループがカウンターパーティーのデリバティブ契約でBNPパリバに当事者交替を求める契約を今後受け付けないと通知しました。CSに対するカウンターパーティーリスクを削減する動きです。米財務省も、CSグループの状況を監視していると、同省報道官が述べています。エコノミストのルービニ氏は、「CSは、一部の基準からすると、大き過ぎてつぶせないが、大き過ぎて救済できないかもしれないという問題もある」と述べています。
米国の2行が破綻したタイミングで今度はCSの危機が一気に表面化し、金融市場では再び「リスク回避」の動きが強まってきました。代表的な安全資産である米国債は大きく買われ、長期金利は前日比で20ベーシスポイント以上も低下しています。1週間前は4%近かった同金利は3.45%まで一気に低下しており、この動きが続けばシリコンバレー銀行(SVB)も破綻せずに済んだ可能性もあり、皮肉な事態になっています。もっとも、債券が上昇した直接の原因は同行の破綻ですが・・・・。乱高下したのは米国債だけではなく、ドル円もNYの朝方には132円21銭前後まで売られ、その後133円台後半まで上昇し、前日144円台で推移していたユーロ円は139円台半ばまで急落しています。また、前日小幅安だった「金」は再び上昇を加速させ、2000ドルを目指しているとの声も出ています。WTI原油価格は連日大きく売られ、1年3カ月ぶりの安値を記録しています。世界景気の鈍化で原油消費量が減るといった見通しに加え、昨日は米国の原油在庫が拡大していたことや、国際エネルギー機関(IEA)が月報で、世界石油市場が供給過剰に見舞われていると指摘したことが下落に拍車をかけています。
米銀2行の破綻とCSの経営危機がここ1週間で一気に表面化してきました。「寝耳に水」といった印象でしたが、筆者はSVBの破綻の影響は限定的と見ていましたが、FRBの金融政策に与える影響は別の問題を提起しています。世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーターを創設したダリオ氏は、SVBの破綻は 『Canary in the Coal Mine』(炭鉱のカナリア)だ」と表現し、「もっと多くの問題が顕在化する可能性が高い。今はターニングポイントに近づいている」と指摘しています。(ブルームバーグ)
ドル円は何とも予想しづらい局面ですが、下値では132円20銭辺りがサポーとなっていると見られます。ここが抜けるかどうかが焦点です。日経平均は大きく下げると思われますが、その際に、ドル円がどのように動くのか。レンジは132円~135円といったところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円はNY時間朝方、2月のPPIやNY連銀製造業景況指数が下振れしたことを受け急落。132円21銭前後までドル売りが進んだが、その後133円台後半まで戻る荒っぽい動きに。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2023-03-16 10:15