【為替本日の注目点】円、売られ易い地合いが続く

 ドル円は小幅に続伸し132円96銭まで買われたが、133円には届かず。引き続きリスクオンの流れが優勢で円が売られ易い。ドイツの3月のCPIが上振れしたことで、ECBの利上げが継続するとの見方からユーロドルは続伸。1.0926まで買われ、対円でも145円台を示現。株式市場は3指数が揃って続伸。ナスダッックは87ポイント上昇し、1万2000の大台を回復。債券は小幅に上昇。長期金利は3.54%台に低下。金と原油は反発。 新規失業保険申請件数 → 19.8万件 10-12月GDP(確定値) → 2.6% ドル/円 132.32 ~ 132.96 ユーロ/ドル 1.0879 ~ 1.0926 ユーロ/円 144.13 ~ 145.07 NYダウ +141.43 → 32,859.03ドル GOLD +13.20 → 1,997.70ドル WTI +1.40 → 74.37ドル 米10年国債 -0.015 → 3.549% 【本日の注目イベント】 日 2月失業率 日 2月鉱工業生産 中 3月中国製造業PMI 中 3月中国サービス業PMI 独 3月雇用統計 英 10-12月期GDP(改定値) 欧 2月失業率 欧 3月消費者物価指数(速報値) 欧 ラガルド・ECB総裁講演 米 2月個人所得 米 2月個人支出 米 2月PCEデフレータ(前月比) 米 2月PCEデフレータ(前年比) 米 2月PCEコアデフレータ(前月比) 米 2月PCEコアデフレータ(前年比) 米 3月シカゴ購買部協会景気指数 米 3月ミシガン大学消費者マインド(確定値) 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演 米 クック・FRB理事講演  ドル円は引き続き底堅い動きが続き、日米の株価が持ち直していることもあり、円が売られ易い展開となっています。円は対ユーロでも売られ、ユーロ円は約2週間ぶりに145円台まで上昇しています。ドイツの3月のCPIが予想の「0.7%」を上回る「0.8%」(前年同月比では7.4%)だったことで、ECBの利上げが継続されるといった観測からユーロ円を買う動きもあったようです。  予定されていたFOMCメンバーである3地区連銀総裁による講演では、概ねインフレに対する強い警戒感が維持されていたように思えます。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、「シリコンバレー銀行が米経済に影響を判断するには時期尚早だ」と述べ、「米金融当局はインフレ押し下げに注力する必要がある」との見解を示しました。ボストン連銀のコリンズ総裁は、「インフレ率は依然として高すぎる」と指摘し、「物価の安定を伴いつつインフレ率を目標の2%まで引き下げるにはまだ問題があるという私の見解を、最近の各指標が裏付けている」と述べています。さらに信用不安に関しても、「銀行システムは引き続き強固だが、最近の動向によって銀行がやや保守的になって貸し出し基準を引き締め、その結果、景気減速とインフレ圧力低下に寄与する可能性がある。こうした動きが追加利上げの必要性を部分的に相殺するかもしれない」と語っています。  さらにリッチモンド連銀のバーキン総裁は、「インフレとの闘いで性急に手を緩めればインフレは勢いを増して戻ってくる。金融当局はさらなる措置をこうじなければならなくなり、そうなれば一層ひどいダメージを与える」とし、「インフレが高水準かつ広範囲で、根強いことを踏まえれば、私はそのリスクを冒したくない」と述べ、その上で「インフレが根強く続くようであれば、われわれは追加利上げで対応可能だ」と続けています。(ブルームバーグ)本レポートでも指摘したように、FOMCメンバーの発言は依然として「タカ派寄り」を維持しており、これがドル円を支える一助になっているとも考えられます。この日はイエレン財務長官の講演もありました。長官は、2008年の金融危機後に実施した規制強化の一部を緩和した取り組みについて、「その行き過ぎが最近の銀行危機につながった可能性がある」との見解を示しています。インフレ抑制を最優先課題として引き続き利上げを行うのか、あるいは金融システムの安定化を念頭に利上げを見送るかという点が焦点になります。次回のFOMC会合は、4月には開催されず5月2-3日になりますが、この会合での利上げの確率は、現時点では「五分五分」となっており、見方が分かれているのが現状です。  NY州マンハッタン地区の大陪審は、トランプ前大統領を起訴しました。大統領経験者が起訴されるのは初めてのことになりますが、トランプ氏は声明で、「これは歴史上、最高レベルでの政治的迫害と選挙介入だ」と主張しています。すでに2024年の大統領選への出馬宣言を行ったトランプ氏にとって、今後の選挙活動に大きな影響を与えそうです。共和党の大統領候補にはトランプ氏の他に、フロリダ州知事のデサンティス氏、前副大統領のペンス氏、さらに国連大使やサウスカロライナ州知事を務めたヘイリー氏が名乗りを上げており、激戦が予想されています。  本日は重要指標であるPCE価格指数が発表されます。結果次第では、まだ先の話ですが、5月会合での利上げ確率に影響を与えることにもなります。  本日のドル円は132円~134円程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小幅に続伸し132円96銭まで買われたが、133円には届かず。引き続きリスクオンの流れが優勢で円が売られ易い。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2023-03-31 10:15