【為替本日の注目点】米2月のPCE価格指数予想を下回る

ドル円は133円30銭まで上昇後、PCE価格指数が予想を下回ったことを受け売られた。132円台半ばまで下げ、132円70銭近辺で越週。ユーロドルは朝方に1.09台に乗せたが、その後はじり安の展開をたどり1.0837まで下げる。株式市場は3指数が揃って大きく続伸。PCEデータが予想を下回り、インフレ懸念がやや後退。ダウは415ドル買われ、3万3千ドルを回復。債券も買われ、長期金利は3.46%台に低下。金は反落し、原油は続伸。
2月個人所得 → 0.3%
2月個人支出 → 0.2%
2月PCEデフレータ(前月比) → 0.3%
2月PCEデフレータ(前年比) → 5.0%
2月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.3%
2月PCEコアデフレータ(前年比) → 4.6%
3月シカゴ購買部協会景気指数 → 43.8
3月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 62.0
ドル/円 132.62 ~ 133.30
ユーロ/ドル 1.0837 ~ 1.0901
ユーロ/円 143.88 ~ 145.00
NYダウ +415.12 → 33,274.15ドル
GOLD -11.50 → 1,986.20ドル
WTI +1.30 → 75.67ドル
米10年国債 -0.081 → 3.468%
【本日の注目イベント】
豪 2月住宅建設許可件数
日 1-3月期日銀短観
中 3月財新製造業PMI
独 3月サービス業PMI(改定値)
欧 3月サービス業PMI(改定値)
欧 3月総合PMI(改定値)
英 3月サービス業PMI(改定値)
米 3月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
米 3月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値)
米 3月ISM製造業景況指数
米 3月自動車販売台数
金融不安が後退し、「リスクオン」の流れが強まったのか、円が売られ、NY株式市場では連日の大幅高です。加えて、発表された2月のPCE価格指数では、個人所得も個人支出も市場予想を下回り、コアデフレータも「4.6%」(前年同月比)と予想を下回ったことで、5月のFOMC会合では利上げが見送られるといった観測も高まったようです。5月会合での利上げ確率はそれまで「五分五分」と、ほぼきっこうしていましたが、これで利上げ見送りの見方がやや優勢となったようです。ただ、4月にはFOMCが開催されないことから、5月会合までにはまだ重要経済指標は何度か発表されます。今回のデータだけで利上げ見送りと判断するのは「時期尚早」でしょう。今週末には早速、「3月の雇用統計」が発表されます。経済データの結果次第では、再び利上げ観測が高まるリスクもあります。利上げ観測の後退の割には、ドル円はそれほど売られていません。本来なら日米金利差の拡大に歯止めがかかるため、「ドル売り材料」ですが、NY株式市場で株価が大きく上昇していることで、「リスクオン」の高まりから円が売られたとみることができそうです。「金利差」よりも「リスクオン」にサヤ寄せされた格好です。また今朝のドル円の上昇は「OPECプラス」の影響かと思います。
NY連銀のウイリアムズ総裁は講演で、「景気の先行きは不透明であり、われわれの政策決定はデータと、最大限の雇用と物価の安定という責務の達成度合いに左右される」と発言し、その上で、「われわれの行動が、インフレを長期目標の2%に押し下げることに確信を持っている」と述べています。また、FRBのクック理事もクリーブランドで開かれた会議で、「最近の情勢による潜在的な逆風に対し、経済に勢いが強まる状況の意味合いを照らし合わせて考えている。賃金調達条件の引き締まりが景気を抑制する場合、政策金利の妥当な軌道は、そうでない場合よりも低くなる可能性がある」と語っています。(ブルームバーグ)FRBは先月の会合で0.25ポイントの利上げを決め、FOMC参加者の予測によれば、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標金利は「約5.1%」でした。この予測通りであれば、「あと1回0.25ポイントの利上げを実施」ということになり、市場はこの見方を織り込みつつあります。
OPECと非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は2日、5月から日量100万バレルを上回る減産を実施すると突然発表しました。「市場の安定を維持するために供給を据え置く」と、これまで約束していたため、協調減産は意表を突く格好となり、市場関係者には驚きの声が上がっています。発表ではサウジアラビアとロシアが日量50万バレル減産し、イラクが21万バレル、UAEが14万バレル減産とするようです。この発表を受け、先週末には「75ドル67セント」で取引を終えたNY原油先物市場では早朝に一時8%上昇し、8時23分時点でも「5ドル4セント」(6.6%)上昇しています。原油価格の上昇は、ほぼ全量を輸入に頼っている日本にとっては「輸入額の増加」につながり「ドル高材料」とみなされます。
本日のドル円は132円50銭~134円50銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は133円30銭まで上昇後、PCE価格指数が予想を下回ったことを受け売られた。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-04-03 09:45