【為替本日の注目点】米2月のJOLTS1000万件を割り込む

 NYの朝方には133円台を回復していたドル円は、2月の求人件数が予想を下回ったことで急落。131円53銭まで売られ、連日上げ下げがめまぐるしく変わる展開。ドル安が進み、ユーロドルも1.0973まで上昇。株式市場は米景気に対する悲観的な見方を理由に3指数が揃って下落。債券は3日続伸。長期金利は3.33%台へと急低下。金は大幅に続伸し、約1年ぶりに2043ドル台まで上昇。原油は小幅に続伸。 2月製造業受注 → -0.7% 2月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 → 993.1万件 ドル/円 131.53 ~ 133.06 ユーロ/ドル 1.0888 ~ 1.0973 ユーロ/円 143.90 ~ 145.05 NYダウ -198.77 → 33,402.30ドル GOLD +37.80 → 2,038.20ドル WTI +0.29 → 80.71ドル 米10年国債 -0.073 → 3.339% 【本日の注目イベント】 独 2月製造業新規受注 独 3月製造業PMI(改定値) 欧 3月サービス業PMI(改定値) 欧 3月総合PMI(改定値) 米 3月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) 米 3月S&Pグローバル総合PMI(改定値) 米 3月ADP雇用者数 米 2月貿易収支 米 3月ISM非製造業景況指数 加 2月貿易収支  NY州の大陪審に起訴されたトランプ前大統領は、NY州内の裁判所に出頭しました。米大統領経験者で初めて起訴されたトランプ氏は4日、同裁判所で罪状否認に臨み、起訴された34件の罪状に対して無罪を主張しました。検察側はトランプ氏の過去の扇動的な言動を取り上げ、同氏がこの件に関する文書をソーシャルメディアに投稿できないようにする裁判所命令を求めました。一方の弁護側は、依頼人がこの件について話すことを認めないのは「明らかに不公平だ」と述べています。判事は、検察側からの命令要請には判断を下しませんでしたが、「暴力や市民の暴動をあおる可能性のある発言を控えるよう」依頼人に伝えるよう弁護士らに指示しています。共和党の大統領候補選にどのような影響が出るのか、見守る必要があります。  スイス大手の金融機関、クレディスイスの経営危機はUBSによる買収で一応信用不安拡大を防ぐことができましたが、金融当局主導による「買収劇」を巡っては、この先も訴訟にまで発展する可能性がありそうです。クレディスイス・グループは4日チューリッヒで定時株主総会を開きました。同行のレーマン会長は冒頭、「長年かけて蓄積された不信感に歯止めがかけられなかったことをおわびする」と陳謝しましたが、買収額等を巡り株主から訴訟を起こされるリスクもありそうです。レーマン会長がいみじくも口にした「長年かけて蓄積された不信感」という言葉に、これまで同行が放漫経営や法ギリギリのオペレーションを行ってきたことなど、コンプライアンス上の問題が長年放置されてきたことを物語っていると感じました。スイス国立銀行のシュレーゲル副総裁は前日、「クレディスイス・グループがUBSグループに買収されていなければ、『翌営業日』には経営破綻し、世界的な金融危機を招いていただろう」と述べており、買収がまとまっていなければ、「スイスや世界中で金融危機が起きていた可能性が高い」と話しています。同行の買収には当初UBS側はしぶっていましたが、金融当局の強い要請と、万が一買収を行ったことでUBS側に損出が生じた場合、最初の50億スイスフラン(約7300億円)はUBSが負担するものの、さらに損出が膨らんだ場合は政府が90憶スイスフランを保証するといった破格の条件も付与されています。買収前には約1兆円あったクレディスイスの時価総額は、買収後には半分以下の4200億円程に減少し、株主がこの損を受け入れることになります。筆者の記憶が正しければ、たしか、このレーマン会長も、元UBSの経営幹部だったはずですが・・・。  ドル円は133円台から一気に131円台半ばまで売られました。2月の求人件数(JOLTS)が市場予想の「1051万件」から「993.1万件」に減少しており、2021年5月以来の低水準でした。好調な米労働市場にも変化が出て来そうといった見方が広がり、米景気そのものへの悲観論につながったようです。また2月の「製造業受注」も予想より悪化していました。この結果を受け、債券が買われ長期金利は3.3%台前半まで低下し、ドル円の売りを誘いました。  鍵を握るのは今週末の「3月の雇用統計」ですが、人手不足が解消されず、好調さを維持してきた雇用にもやや陰りが見えてきたようです。FRBとすれば、できれば5月会合では「利上げ見送り」といった選択をしたいところですが、そのためには目の前のデータが景気の鈍化を示すことが必要です。金融市場、とりわけ株式市場にとっては、これまで「悪い数字は良いこと」でしたが、今後は「悪い数字は、悪いこと」になるのかもしれません。オーストラリア準備銀行(RBA)は昨日、政策金利を3.6%で据え置くことを決めました。RBAは昨年5月以降、10会合連続で利上げを実施してきましたが、「これまでの利上げの効果を見極める」ということで引き上げを見送っています。  本日のドル円は130円50銭~132円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
NYの朝方には133円台を回復していたドル円は、2月の求人件数が予想を下回ったことで急落。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-04-05 10:00