【為替本日の注目点】米長期金利半年ぶりの低水準に

ドル円は続落し、一時は130円64銭まで下落。米景気への懸念が強まり、長期金利が低下したことでドル売りが加速。ユーロドルは前日の水準と変わらず、ほぼ1.09台で推移。株式市場では、ダウは80ドル反発したがナスダックとS&P500は続落。米景気のリセッション入りが高まったとの観測が背景。債券は続伸し、長期金利は一時3.26%台まで低下。金の上昇は一服。原油も小幅に下げる。
3月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 52.6
3月S&Pグローバル総合PMI(改定値) → 52.3
3月ADP雇用者数 → 14.5万人
2月貿易収支 → -70.5b
3月ISM非製造業景況指数 → 51.2
ドル/円 130.64 ~ 131.50
ユーロ/ドル 1.0892 ~ 1.0967
ユーロ/円 142.67 ~ 143.81
NYダウ +80.34 → 33,482.72ドル
GOLD -2.60 → 2,035.60ドル
WTI -0.10 → 80.60ドル
米10年国債 -0.028 → 3.311%
本日の注目イベント
豪 豪2月貿易収支
中 3月財新サービス業PMI
中 3月財新コンポジットPMI
独 独2月鉱工業生産
米 新規失業保険申請件数
米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
加 カナダ3月就業者数
加 カナダ3月失業率
ドル円は下値を切り下げ、1週間ぶりに130円台半ばまでドル安が進みました。3月のADP雇用者数など、経済指標に予想を下回る結果が多くみられ、米景気そのものへの悲観的な見方から「避難通貨としての円」が再び見直されているようです。ドル円で円高が進んだことで、ユーロ円などクロス円もほぼ水準を切り下げる展開でした。
3月のADP雇用者数は市場予想の「21万人」を大きく下回る「14.5万人」でした。業種別では、娯楽、ホスピタリティや、貿易、運輸などで雇用が増えていたものの、製造業や金融などでは減少しています。また賃金の伸びも鈍化しており、ADPのチーフ・エコノミストは、「この3月の雇用データは景気が減速しつつあることを示唆する複数のシグナルのうちの一つだ。雇用主は1年に及んだ採用強化の動きを後退させている。賃金の伸びは3カ月にわたって頭打ちとなった後で減速している」と説明しています。(ブルームバーグ)
この日発表された3月のISM非製造業景況指数を見ても、総合指数そのものは引き続き活動が拡大しているものの、前月からは低下し、予想も大きく下回っており、新規受注の減速が目立っていました。「労働市場のひっ迫は弱まりつつあり、米景気のリセッション入りリスクは高まっている」との声も出ていました。クリーブランド連銀のメスター総裁はブルームバーグ・テレビジョンの番組で、「政策金利は今の水準からもう少し高いところに引き上げる必要があるだろう」と話し、「とはいえ、インフレ目標を達成するまで利上げを継続するということではない」とし、「今年は物価圧力の抑制で、ある程度目に見える進展を予想している」と語っています。またその水準を問われたメスター総裁は、「年末までに重要物価指数が3.75%に下がるとみている。しかし、目標水準に低下するのは2025年以降になるだろう」との見方を示していました。
台湾の蔡英文総統は5日、訪問中のカリフォルニア州南部でマッカーシー下院議長と会談を行いました。マッカーシー氏は、「私が生まれてこの方、米台の結びつきがこれほど強まったことはなかったと思う」と話し、蔡氏は、「平和と民主主義が前例のない難題に直面していることは周知の事実だ。台湾は孤立していない。われわれは一人ではない」と米国との関係を強調していました。中国側はいつものようにこれに反対し、「断固たる措置を取る」と述べています。台湾国防部(国防省)によると、中国海軍の航空母艦「山東」が5日台湾南方のバシー海峡を通過して台湾南東沖を航行、初の西太平洋航行演習を始めたようです。
軟調な経済指標の発表を受け、景気減速懸念を理由に債券は買われています。昨日はほぼ全ての年限で金利が低下し、10年債ではおよそ半年ぶりとなる3.26%台まで低下し、ドル円下落の要因になっています。シリコンバレー銀行(SVB)の予想だしにしなかった破綻で、ドル円は133円台から一気に130円割れまで売られました。その後は米金融当局の素早い対応によりリスクオンが広がり133円台後半まで値を戻しましたが、足元では再び下落傾向を見せています。今回の下落の背景は、これまで何度も言われてきた「米景気のリセッション入り」の可能性が高まってきたことです。岩盤の強さを誇った「米雇用」が変化の兆しを見せてきたことから、このセクターでもいよいよ軟調な軌道を辿るのかどうかが焦点になります。明日の雇用統計がその試金石になりそうな気もしますが、どうでしょう。
本日のドル円は130円~131円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続落し、一時は130円64銭まで下落。米景気への懸念が強まり、長期金利が低下したことでドル売りが加速。ユーロドルは前日の水準と変わらず、ほぼ1.09台で推移。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-04-06 09:30