【為替本日の注目点】ドル円植田総裁の会見を受け133円台後半まで上昇

ドル円は東京時間から底堅く推移し132円80銭まで上昇。欧州では植田新総裁の会見を受け133円台に乗せ、NYでは133円87銭までドル高が進む。ユーロドルは小幅に反落。1.0832まで売られる。米金利の上昇にナスダックは下げたものの、ダウとS&P500は上昇。債券は続落。長期金利は3.41%台に上昇。金と原油は続落。
ドル/円 132.86 ~ 133.87
ユーロ/ドル 1.0832 ~ 1.0891
ユーロ/円 144.48 ~ 145.15
NYダウ +101.23 → 33,586.52ドル
GOLD -22.60 → 2,003.80ドル
WTI -0.96 → 79.74ドル
米10年国債 +0.026 → 3.417%
【本日の注目イベント】
豪 4月ウエストパック消費者信頼感指数
豪 3月NAB企業景況感指数
中 3月消費者物価指数
中 3月生産者物価指数
欧 2月小売売上高
米 グールズビー・シカゴ連銀総裁講演
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に参加
米 バイデン大統領、英国とアイルランドを訪問(14日まで)
ドル円は東京時間から底堅い動きを見せ、植田氏の日銀総裁就任会見があることで、その会見の内容を予見したかのような動きを見せていました。植田氏は会見で、これまでの大規模な金融緩和の「副作用」を認めつつも、「イールドカーブ・コントロール(YCC)政策と、マイナス金利政策は、いずれも継続が適当」との考えを示しました。ドル円は会見が始まった20時前後から上げ足を強め、NYでは一時133円87銭まで大幅なドル高が進みました。植田氏はまた、「副作用に配慮しつつ、より持続的な金融緩和の枠組みは何かということを探っていく」と語る一方で、2%の物価目標の達成は「簡単ではない」と述べ、(達成期限の)「強い見通しは言えない」と、達成期限については明言を避け、「2年で2%の物価目標を達成する」と高々と述べた黒田前総裁とは対照的に慎重な物言いでした。植田氏は国会での所信聴取の際にも同様の発言を行っていたため、この種の発言は予想されてはいたものの、市場は想定以上に円売りで反応した印象です。また就任会見に先立ち、岸田首相と官邸で初めて会談した植田氏は、政府と日銀の2013年の共同声明について、「考え方は適切であって、直ちに見直す必要はないという点で一致した」と述べています。
ドル円の上値は限定的との相場観は維持していますが、短期的なテクニカルではドルの上昇を示唆しています。日足チャートでは雲の上限を試す動きを見せており、134円42銭前後にある上限を明確に抜ければ、135円を目指す可能性も出て来そうです。個人的にはドルが下落するイメージを予想していますが、昨日の底堅いドル円の動きを見て、「ドル円が今夜のNYで133円50銭を超えて上昇するようだと、短期的には135円方向を目指す可能性も出くるかもしれません」と、警戒感は維持していました。(参照:4月10日付け「今週の予想レンジ」)昨日の金利スワップ市場では、次回5月のFOMC会合で0.25ポイントの利上げを行う確率を80%程度まで織り込んできましたが、現時点ではFRBによる金融引き締め政策の終了は近いと思われます。そのような状況下でも、昨日は植田氏の会見にドルショートが「あぶり出された」との見方もあります。今後は日米金利差の縮小が見込まれると思われますが、思ったほど金利差が縮小せず、ドルが買われ137円台半ばを抜ける上昇が見られるようだと、ドル高トレンドに回帰する可能性もあります。137円20銭辺りには、比較的長期のトレンドを示唆する「200日移動平均線」があります。いずれにしても断定的な相場観は避ける必要があります。
その方向性を決める大きな材料となるのが、明日発表の「3月の消費者物価指数(CPI)」です。予想では総合CPIは前月比、前年比ともに伸びが鈍化すると見込まれており、コアCPIでは前年比で若干伸びが前月を上まわると予想されています。これらの結果と同時に、FOMCメンバーの発言にも注意したいところです。
IMFは最新の経済見通しで、景気の加速も減速も招かない「中立金利」と呼ばれるインフレ調整後の短期金利について、向こう数十年に米国では1%を優に下回るとの見解を発表しています。人口の高齢化や緩慢な生産性の伸びを背景に、新型コロナウイルスのパンデミック前に定着していた超低水準に戻るとの見方を示し、サマーズ元財務長官の見方とは異なる見解を見せています。サマーズ氏は、国防費の増加やグリーン経済への移行で政府が借り入れを増やすことを一因として、1.5~2.0%のレンジに入る可能性があると主張していました。
本日のドル円は132円50銭~134円程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間から底堅く推移し132円80銭まで上昇。欧州では植田新総裁の会見を受け133円台に乗せ、NYでは133円87銭までドル高が進む。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-04-11 10:45