【為替本日の注目点】ユーロ円146円に接近

 ドル円は小動きながら堅調に推移。今夜の米3月のCPIを見極めたいとする雰囲気の中、133円81銭までドルが買われる。ユーロドルはやや水準を切り上げ、再び1.09を挟む展開に。S&P500は横ばいとなり、ダウは4日続伸するなど株式市場はまちまちの動き。債券もほぼ横ばい。長期金利は3.42%台で推移。金と原油は揃って上昇。 ドル/円 133.06 ~ 133.81 ユーロ/ドル 1.0897 ~ 1.0928 ユーロ/円 145.16 ~ 145.96 NYダウ +98.27 → 33,684.79ドル GOLD +15.20 → 2,019.00ドル WTI +1.79 → 81.53ドル 米10年国債 +0.009 → 3.426% 【本日の注目イベント】 英 米英首脳会議(ベルファスト) 米 3月消費者物価指数 米 3月財政収支 米 FOMC議事録(3月21-22日分) 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、会議で挨拶 米 G20財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、13日まで) 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、討論会に参加(オンライン) 米 ベイリー・BOE総裁講演(ワシントン) 加 カナダ中銀政策金利発表  IMFは11日、世界経済見通し(WEO)を発表しました。世界の成長率は今年「2.8%」、来年「3.0%」と見込み、1月時点の予測からそれぞれ0.1ポイント引き下げました。IMFのグランシャ・チーフエコノミストは「過去1カ月半の金融混乱の結果、リスクは多くの部分で下方方向に傾いている。今は制御下にあるが、金融環境が大幅に悪化するようならば、より急激で深い景気下降につながることを懸念している」と説明し、「シリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャーバンクの先月の予想外の破綻および、クレディスイス・グループの救済は市場を揺るがし、金融安定への懸念に火を付けた。経済成長と銀行システムの健全性を維持しながらインフレを鎮静化させる中央銀行の取り組みが複雑さを増した」と指摘しています。一方この日ワシントンで講演したイエレン財務長官は、IMFの見解とはやや異なり、2月に自身が表現していた、世界経済は「昨秋に大方が予想していたよりも良好な状況だ」との見方を振り返り、「その基本的な状況は概ね変わっていない。インフレは高止まりしているが、インフレが鈍化したことを示す歓迎すべき兆候が過去半年に見られた」と述べ、やや楽観的な見方を維持していました。(ブルームバーグ)  今後のFRBによる金融政策の方向性についても、NY連銀のウイリアムズ総裁はインタビューで、「インフレを確実に押し下げるために必要なことを行わなければならない」とし、「インフレは低下しつつあるものの、依然として米金融当局が目指す2%を大きく上回っている。あと1回の利上げは妥当な出発点だ」との見解を示しています。またシカゴ連銀のグールズビー総裁も講演で金融政策に触れ、「金融面での向い風について不透明感が強いことを踏まえると、われわれは慎重姿勢でいる必要がある」と発言し、「インフレを押し下げる上でこの逆風がどの程度作用するのかが分かるまで、さらなるデータを集め、過度な利上げは慎重であるべきだ」とハト派寄りの見方を示しています。グールズビー総裁は、今年のFOMCでの投票権を持っています。また、NY連銀のウイリアムズ総裁については「別格」であるため、常に投票権は付与されています。  今夜発表の「3月の消費者物価指数(CPI)」を前に、昨日の金融市場は「様子見」の雰囲気が強く、大きな動きは見られませんでした。そのような中でも、ドル円は堅調に推移し、クロス円ではユーロ円が146円近くまで上昇するなど、前日の植田日銀総裁の会見が尾を引いているのか、円が売られる展開は変っていません。もっとも、今夜のCPI次第ではその勢いが加速する可能性もあるし、一変する可能性もあります。CPIの市場予想については、10日付けの「今週のレンジ予想」で記した通りです。蓋を開けてみなければ分かりませんが、インフレ率の鈍化傾向が見られるのではないかと個人的には予想しています。また、政策金利据え置きの予想が強まっていた中、0.25ポイントの利上げを決めた「3月会合の議事要旨」にも注目しておきたいと思います。同会合後の会見でパウエル議長は、「利上げの一時停止も検討した」と述べながらも、「これまでの大幅な累積的な利上げでも、今後銀行システムの安全性には問題はなく、銀行危機をこれ以上深刻化させることはない」といった自信を示していました。インフレ抑制を優先し、0.25ポイントの利上げに踏み切ったことを考えると、タカ派的な議論が多かったのではないかと推測します。  本日のドル円は131円50銭~134円50銭程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小動きながら堅調に推移。今夜の米3月のCPIを見極めたいとする雰囲気の中、133円81銭までドルが買われる。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-04-12 10:00