【為替本日の注目点】米3月のPPIも鈍化傾向を示す

前日急落したドル円は133円台を回復し、NYの朝方には133円39銭を付けたが、そこを天井に大きく下落。インフレ鈍化の指標が相次いだこともあり、132円03銭まで売られる。ユーロドルは続伸。しっかりと1.1台に乗せ、およそ1年ぶりとなる1.1066までユーロ高に振れる。3月のPPIと失業保険申請件数がともにインフレの鈍化を示したことを好感し、3指数は大幅に上昇。ダウは383ドル上げ、3万4000ドルの大台を回復。債券は売られ、長期金利は3.44%台へと上昇。金は大幅に買われ、一時は2063ドル台に。1年1カ月ぶりの高値を付ける。原油は反落。
新規失業保険申請件数 → 23.9万件
3月生産者物価指数 → 2.7%(前年同月比)
ドル/円 132.03 ~ 133.39
ユーロ/ドル 1.1008 ~ 1.1068
ユーロ/円 146.07 ~ 146.86
NYダウ +383.19 → 34,029.69ドル
GOLD +30.40 → 2,055.30ドル
WTI -1.10 → 82.16ドル
米10年国債 +0.054 → 3.445%
【本日の注目イベント】
米 3月小売売上高
米 3月輸入物価指数
米 3月輸出物価指数
米 3月鉱工業生産
米 3月設備稼働率
米 4月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
米 ウォラーFRB理事講演
米 企業決算 → ウェルズファーゴ、JPモルガン、ブラックロック、シティグループ
前日の消費者物価指数(CPI)に続き、昨日発表された生産者物価指数(PPI)も前月比、全年同月比ともに予想を下回り、ドル円は133円台前半から1円以上も売られる展開でした。東京時間では底堅い動きを見せていたドル円でしたが、インフレ率の鈍化傾向が確認されたことで、金融当局の引き締め政策も最終段階に入るとの期待が高まってきたことで、日米金利差の縮小が意識されています。
3月のPPIは、前月比で「-0.5%」、前年同月比では「2.7%」と、過去2年余りで最も低い伸びとなりました。最大の要因はやはりガソリン価格の低下で、総合PPIで財価格の低下の80%をガソリン価格の低下が反映されています。ただ、足元では「OPECプラス」が減産体制を取っていることで原油価格は上昇傾向にあり、このままPPIが低下していくかどうかは不透明です。この日は、「週間失業保険申請件数」も発表されましたが、こちらも増加傾向が示され、FRBは来月の会合で0.25ポイントの利上げを行うことで、昨年3月から全ての会合で利上げを行った「金融引き締め政策」も、最終局面に来ているとの観測が高まっています。NY株式市場では、「リセッション入り」の可能性が指摘されている中でも主要3指数が大幅高を演じ、ダウは約2カ月ぶりに3万4000ドルの大台に乗せています。また、債券が買われ金利が低下したことでドル安が進み、ドルの代替としての側面を持つ「金」は大幅に続伸し、2022年3月以来、1年1カ月ぶりの高値を記録しました。
米国のインフレは昨年6月に「9.1%」まで上昇し、その後徐々に低下しています。「景気を犠牲にしてもインフレを止める」という強い意志のもと、FRBは2022年3月以降全ての会合で利上げを決め、6月会合からは通常の3倍に当たる0.75ポイントの利上げを4会合連続で決めています。パウエル議長の並々ならぬ決意の表れでした。インフレの高騰は米国だけではなく、日本を除く全ての主要国が大幅な利上げを余儀なくされています。そのインフレもようやく沈静化の兆しを見せてきました。今月に入りオーストラリア準備銀行(RBA)は政策金利の据え置きを決めています。RBAはFRBをも上回る「10会合連続利上げ」を行っていました。12日にはカナダの中央銀行であるカナダ中銀(BOC)も据え置きを決めました。いずれも、これまでの大幅利上げの効果を見極めるというものです。このような環境の中、FRBは5月会合では0.25ポイントの利上げを行う可能性が高いと予想しますが、その後は様子見に転じる可能性も高いとみています。もちろん、今後のインフレ動向次第というところはありますが、5月会合でのパウエル議長の会見は非常に重要で、「利上げ一旦停止」を示唆するのかどうか注目されます。
米国では企業決算の発表が本日のブラックロックや、JPモルガンを皮切りに始まります。コロナの影響からM&AやIPOは低水準でした。加えて、シリコンバレー銀行(SVB)などの破綻に端を発した信用不安もありました。市場のボラティリティーは高水準で推移しましたが、その波にうまく乗れたのかどうか。市場の見方は多くの企業決算に対してややネガティブです。予想以上に収益が下振れすれば、株価が下げ、債券が買われ、金利が低下することでドル安に振れるリスクもありそうです。企業決算の下振れそのものが「米国売り」につながる可能性もあります。まだ、ドルの上値は重いと見ておいた方がよさそうに思います。
本日のドル円は131円50銭~133円50銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
前日急落したドル円は133円台を回復し、NYの朝方には133円39銭を付けたが、そこを天井に大きく下落。インフレ鈍化の指標が相次いだこともあり、132円03銭まで売られる。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-04-14 10:00