【為替本日の注目点】ドル円、欧州市場で135円台を付ける

底堅く推移するドル円は東京時間に134円台後半まで買われ、欧州時間には135円13銭までドル高が進む。英3月のCPIが依然2桁の伸びだったことからFRBの利上げ継続観測が台頭。ドルを押し上げたがNYでは反落。ユーロドルは1.09台で推移。英CPIの高止まりからユーロも底堅く推移。NY株式市場は3指数の明暗が前日と真逆となり、ダウとS&P500は下げ、ナスダックが上昇。債券は小幅に反落し、長期金利は3.59%台に。金と原油は揃って下落。
ドル/円 134.29 ~ 134.85
ユーロ/ドル 1.0928 ~ 1.0979
ユーロ/円 147.07 ~ 147.73
NYダウ -79.62 → 33,897.01ドル
GOLD -12.40 → 2,007.30ドル
WTI -1.70 → 79.16ドル
米10年国債 +0.015 → 3.591%
本日の注目イベント
日 3月貿易統計
独 独3月生産者物価指数
欧 ユーロ圏4月消費者信頼感指数
欧 ECB議事要旨(3月会合分)
米 新規失業保険申請件数
米 4月フィラデルフィア連銀景況指数
米 3月中古住宅販売件数
米 3月景気先行指標総合指数
米 ウォラーFRB理事講演
米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
米 ボウマン・FRB理事、イベントで挨拶
米 企業決算 →アメックス、AT&T、ブラックストーン
前日のNYで133円台後半まで売られたドル円は、昨日の東京市場では底堅く推移し134円台後半まで上昇。欧州市場では英国の3月の消費者物価指数(CPI)が「10.1%」と、先月よりは鈍化していたものの、依然として2桁の伸びを示したことで、「米国のインフレも今後順調には鈍化しない」との見方にもつながりドル買いを促しました。「英国のインフレの高止まりは、世界的なインフレの根強さを示唆している」といった声も聞かれました。英国の3月のCPIは市場予想の「9.8%」を超え、2桁台まで上昇しており、特に食品は40年ぶりの大幅な上昇でした。イングランド銀行(BOE)が急ピッチで進めてきた利上げサイクルはまだ続き、追加利上げを継続するとの見方が高まり、これが米国にも波及した格好です。ドル円は3月10日以来となる135円13銭まで上昇しました。ただNYでは株価が下げたこともありドル売りが優勢となって、134円台前半まで売られており、荒っぽい動きとなっています。
もう一つドル円を押し上げた理由として考えられるのが、植田新執行部が来週27-28日に開催する政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策を修正することへの慎重な意見が行内で広がっているといった記事をブルームバーグが配信したことも挙げられそうです。植田総裁は4月10日の就任会見では、これまでの大規模な金融緩和の「副作用」を認めつつも、「イールドカーブ・コントロール(YCC)政策と、マイナス金利政策は、いずれも継続が適当」との考えを示しました。しかし、それでも市場は「7月会合辺りまでには何らか修正が行われる」との観測が根強く、これがドル円の上値を抑えることに一役かっていた可能性もあります。ブルームバーグによると「足元では米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻に端を発した米欧の金融不安を背景に海外経済の不確実性が増しており、副作用への対応でもYCC政策を修正するリスクは大きいといった見方が日銀内で多い」とその理由を挙げています。ドル円は10日の植田総裁の「適当」発言でも、132円台前から133円台後半までドル高が進んだ経緯があり、来週の会合で金融政策の修正がさらに後ずれするような印象を残すようだと、もう一段ドル高が進む可能性もないとは言えません。
地区連銀経済報告(ベージュブック)が公開されました。今回のベージュブックは、SVBが破綻し金融セクター全体に悪影響が広がるとの懸念が強まって以来、初めての「ベージュブック」であったことからその内容が注目されていました。今回の報告では12地区連銀が4月10日までに集めた情報をリッチモンド連銀がまとめたものだそうです。報告では、「全体的な経済活動はここ数週間にほとんど変わらなかった。不確実性の高まりと流動性を巡る懸念を背景に、銀行が融資基準を厳格化したと指摘する地区連銀が数行あった」と記述されています。さらに、「この期間に全体的な物価水準は緩やかに上昇したが、物価上昇率は鈍化したようだ」と分析しています。個人消費については「総じて横ばい、ないし若干減少」とし、労働市場については「逼迫緩和の兆候を示した」としています。
ドル円は135円13銭まで上昇したことで、日足では一旦は「雲」を上抜けしたものの、その後134円台前半まで戻されているため、抜けたかどうかの判断は微妙な状況です。またこの先「雲」が右下方に移動することから、さらにドル高が進まずとも、足元の水準が維持されるだけで「雲抜け」が完成しますが、形としては不完全といえるでしょう。仮に再度ドルが上昇して135円台を固める動きになれば、次のターゲットは137円17銭前後とみています。
本日のドル円は134円~135円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
底堅く推移するドル円は東京時間に134円台後半まで買われ、欧州時間には135円13銭までドル高が進む。英3月のCPIが依然2桁の伸びだったことからFRBの利上げ継続観測が台頭。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-04-20 11:30