【為替本日の注目点】米1-3月期GDPは1.1%

欧州市場では上値が重く133円台前半まで売られたドル円はNYでは反発。株価が大きく上昇し、金利高もあり134円20銭までドルが買われた。ユーロドルは小幅に反落。ドル高の流れが強まり、ユーロ売りが優勢となり1.1を割り込む。株式市場は3指数が久しぶりに揃って大幅高に。ハイテク銘柄の決算が好調だったことがセンチメントを一変。ダウは524ドル上げ、ナスダックは287ポイント上昇。債券は続落。長期金利は3.52%台に上昇。金と原油は小幅に買われる。
1-3月GDP(速報値) → 1.1%
新規失業保険申請件数 → 23.0万件
3月中古住宅販売成約件数 → -5.2%
ドル/円 133.20 ~ 134.20
ユーロ/ドル 1.0992 ~ 1.1060
ユーロ/円 147.13 ~ 147.79
NYダウ +524.19 → 33,826.16ドル
GOLD +3.00 → 1,999.00ドル
WTI +0.46 → 74.76ドル
米10年国債 +0.072 → 3.520%
【本日の注目イベント】
豪 第1四半期生産者物価指数
日 日銀金融政策決定会合
日 植田日銀総裁記者会見
日 3月失業率
日 4月東京都区部消費者物価指数
日 3月鉱工業生産
独 4月失業率
独 1-3月期GDP(速報値)
独 4月消費者物価指数(速報値)
欧 1-3月期GDP(速報値)
米 1-3月雇用コスト指数
米 3月個人所得
米 3月個人支出
米 3月PCEデフレータ(前月比)
米 3月PCEデフレータ(前年比)
米 3月PCEコアデフレータ(前月比)
米 3月PCEコアデフレータ(前年比)
米 4月シカゴ購買部協会景気指数
米 4月ミシガン大学消費者マインド(確報値)
米 企業決算 → エクソンモービル、シェブロン
米国の第一四半期GDP速報値は前期比年率「1.1%」増と、前期の「2.6%」から伸びが大きく減速していました。ただGDPの7割を占めると言われる個人消費は好調で、前期の「1.0%」から「3.7%」と伸びが増加しており、インフレに対する強弱の結果が示されました。来週の会合で0.25ポイントの利上げを行うという見方は動きませんが、パウエル議長にとっては「綱わたり」の状況が続き、難しい判断が迫られます。ドル円は上値が重く、東京から欧州市場にかけてじり安が続きましたが、NYでは「リスクオン」が強まり流れが一変。133円台前半から134円20銭までドルが買われ、約1円ドル高が進みました。経済指標では利上げ継続と、据え置きといった結果が示されましたが、NY株の大幅高が「リスクオン」のドライバーとなり円を売る動きが加速しました。NY株式市場ではアマゾンなどのハイテク株の決算が好調だったことで、市場全体のセンチメントを好転させ、全面高で取引を終えています。ドル円は結局上も下も抜け切れない形で、短期的なレンジ内の動きに収まり、本日の日銀決定会合を迎えることになりました。
その決定会合ですが、イールドカーブ・コントロール(YCC)を含む現行の金融緩和政策の継続が決定されると見込まれています。議論の紛糾もないと思われるため、早ければ10時半過ぎに、遅くとも午前中には結果が発表されると予想しています。今回の「植田執行部」の初会合では政策の修正、変更は見込まれていませんが、多くのエコノミストはそう遠くないタイミングで「何らかの動き」はあると予想しています。ブルームバーグがエコノミスト45人に行った調査では、「政策金利のフォワードガイダンスの修正」が62%、「YCCの廃止」が53%、「長期金利の許容変動幅の再拡大」が49%と上位を占め、「短期金利の引き上げ」は24%(複数回答可)と、今後修正、変更があったとしても最も可能性が低い分野と予想されています。日本のインフレ率もピークから下がったとはいえ、足元では「3.2%」です。黒田前総裁は昨年、「インフレは夏場までに1.5%程度まで低下する」と明言していました。植田総裁も今週国会で、「輸入物価の前年比もプラス幅が着実に縮小しております。そのためこうしたコストプッシュ要因の影響が減衰していくというふうにみております。こうしたもとで、消費者物価も前年比は今年度後半にかけて、2%を下回る水準までプラス幅が縮小していくというふうに、現在見てございます」と述べており、これが金融緩和を直ぐに止めない理由の一つになっています。日本の実質金利はマイナス3%ほどと、国民の生活には「強力な逆風」が吹いているのが現状です。今春闘では大幅な賃上げが予想されてはいますが、それも政府の要請を受けた大企業止まりの印象があります。この調査結果を見る限り、預金金利が大きく上がるのはまだまだ先のようです。
今朝8時半に発表された「4月東京都区部消費者物価指数」は「3.5%」と、市場予想の「3.3%」を上回り、3月の「3.3%」をも上回っていました。またコア指数も「3.5%」と、コアコアでも「3.8%」と、いずれも予想を上回っていました。全国のCPIは5月19日に発表されますが、ひょっとしたら3月の「3.2%」を上回る上昇に向かい、植田日銀が「外堀を埋められる」可能性もないとは言えません。
本日のドル円は132円50銭~134円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
欧州市場では上値が重く133円台前半まで売られたドル円はNYでは反発。株価が大きく上昇し、金利高もあり134円20銭までドルが買われた。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-04-28 10:15