SBIGAMの23年3月期通期決算は11期連続増収・14期連続増益、新NISAで最も高い成長めざす

 SBIグローバルアセットマネジメント <4765> は5月9日、2023年3月期通期決算を発表した。売上高は81.23億円で前期比7.7%増となり11期連続の増収、4期連続で過去最高を更新した。また、経常利益は21.29億円で同2.3%増となり14期連続の増益、12期連続で過去最高益を更新した。「モーニングスター」のブランド使用権を米モーニングスターに返却後の最初の決算発表となったが、社名変更に伴ってグループ再編も実施した結果、ブランド返却のマイナス要素をアワードの未実施など一部にとどめ、全体的な収益の水準を保った決算になった。当日、決算説明会を開催し、同社代表取締役社長の朝倉智也氏は、「収益の8割を占めるアセットマネジメント事業がNISA拡大の影響等によって順調に成長している。投信窓販用のサポートツールである『ウエルスアドバイザー』は金融機関で使われるプラットフォームとして今後の存在価値が高まることが期待され、事業ポートフォリオとして様々な環境変化に対応できる体制になった。2024年にスタートする新NISAで最も成長性の高い企業になりたい」と語った。  サービス別の売上高では、SBIアセットマネジメントを軸とする国内のアセットマネジメント事業が横ばいで、アメリカ子会社のCARRET Assetが5.3%増収になり、アセットマネジメント事業全体での増収になった。一方、新たに「ウエルスアドバイザー」のブランドで展開しているファイナンシャル・サービス事業は、セミナー関連が前期比35.1%減、WEB広告が同66%減と大きく落ち込んだものの、タブレット端末向けのデータが同8.3%増、スマートフォン・PC向けのデータが同28.4%増と伸びたことで、事業全体の収入は横ばいだった。朝倉氏は、「『モーニングスター』のブランド返却などによってアワードの選定を見送ることになったが、投信評価そのものは継続的に行っておりアワードの復活も検討している。また、コロナ禍で大きく落ち込んだセミナーは、コロナが5類に分類変更され、これからコロナ以前のように復調してくると考えている」と、今期落ち込んだ事業についても巻き返すことが可能と語った。  今後の展望として、主力のアセットマネジメント事業は、つみたてNISAで利用者が急増したインデックスファンドが、2024年にスタートする「新NISA」でも引き続き市場のけん引役になるとして、インデックスファンドの商品ラインナップの拡充を実施するとした。1つは、「SBI・V」シリーズで「新興国株式」、「世界小型株式(除く米国)」、「先進国株式(除く米国)」、「米国小型株式」、「米国増配株式」など株式ファンドのラインナップ拡充。もう一つは、「SBI・iシェアーズ」シリーズで「純金(為替ヘッジあり・為替ヘッジなし)」、「米国ハイイールド債」、「米国総合債券」、「米国短期国債」、「米国適格社債」など債券インデックスのラインナップを揃える。それぞれの資産クラクにおいて圧倒的にコストの低いファンドとして投資家のニーズに応えたいとした。  また、販売会社向けにオリジナル「ファンドラップ」の提供を支援するビジネスを展開する他、「新NISA」で生まれるであろう新たな運用ニーズに積極的に応えていくとした。さらに、『モーニングスター』ブランドの売却で得た80億円と合わせると100億円程度のキャッシュが用意できたとし、欧米の運用会社の買収によって「CARRET」のような海外市場で成長する運用会社を傘下に置く計画もあるとした。それらの取り組みの結果として、現在約4.7兆円のグループの運用残高を3年後に10兆円、5年後に20兆円をめざして拡大していきたいと語った。  一方、ファイナンシャル・サービス事業については、2023年3月末時点で519社に採用され、合計11万5645台普及しているタブレット端末アプリ「Wealth Advisor」を金融機関マーケットのインフラとして活用し、運用会社と金融機関との接点として有効に活用していきたいとした。また、販売金融機関のゴールベースアプローチを支援するツールとして「Wealth Advisor」に搭載できる「ライフプランシミュレーション」の導入の拡大をめざすなど、アプリの付加価値を向上することによって事業収益の拡大を図るとした。「『ライフプランシミュレーション』は新NISAで新しい顧客にリスク商品を提供するにあたっても有効なツールといえ、23年3月末現在で導入企業が16社にとどまっているところ、25年3月末には100社への導入を目指して積極的に採用を働きかけたい」とした。  また、セミナーの開催については、すでに7月に「新しいNISA」をテーマに実施する計画を固め、10月には「投信EXPO2023」、24年1月に「新春カンファレンス2024」を計画。その他、地方銀行やメガバンク、信託銀行との共同開催でのセミナーも予定しているという。「販売会社からは、新NISAに向けて私どもと一緒にセミナーを開催したいという要望を多くいただいており、コロナ感染対策などで非常に制限した形で行ってきたセミナーが、今後は通常ペースで開催できるようになる」と事業の復調に手ごたえを感じていると語っていた。(写真は、決算説明会で見通しを語るSBIグローバルアセットマネジメント代表取締役社長の朝倉智也氏)
SBIグローバルアセットマネジメントは5月9日、2023年3月期通期決算を発表した。(写真は、決算説明会で見通しを語るSBIグローバルアセットマネジメント代表取締役社長の朝倉智也氏)
economic company
2023-05-09 20:15