【為替本日の注目点】米4月のCPIは4.9%に低下

東京時間夕方には135円47銭まで買われたドル円は米CPIを受け急落。総合CPIが予想を下回ったことで134円12銭前後までドル安に。ユーロドルは1.10台を回復。米金利の低下もあり、ドル売りが優勢な中、1.1007までユーロ高が進む。株式市場はCPIの発表後上昇したが、米債務上限問題が足かせとなり、ダウは続落。ナスダックとS&P500は反発。債券価格はCPIの低下を好感し上昇。長期金利は3.44%台へと低下。金は3日ぶりに反落。原油も4日ぶりに下げる。
4月消費者物価指数 → 4.9%(前年同月比)
4月財政収支 → 176.2b
ドル/円 134.12 ~ 135.42
ユーロ/ドル 1.0940 ~ 1.1007
ユーロ/円 147.04 ~ 148.20
NYダウ -30.48 → 33,531.33ドル
GOLD -5.80 → 2,037.10ドル
WTI -1.15 → 72.56ドル
米10年国債 -0.076 → 3.443%
【本日の注目イベント】
日 3月国際収支・貿易収支
日 4月景気ウオッチャー調査
日 日銀金融政策決定会合における主な意見(4月27、28日分)
日 G7財務相・中央銀行総裁会議(13日まで、新潟市)
日 イエレン財務長官、記者会見
中 4月消費者物価指数
中 4月生産者物価指数
中東 OPEC月報
英 1-3月期GDP(速報値)
英 3月鉱工業生産
英 3月貿易収支
英 BOE金融政策発表
英 BOE金融政策委員会(MPC)議事録
米 新規失業保険申請件数
米 4月生産者物価指数
米 ウォラー・FRB理事講演
今後のFRBの政策スタンスを予想する上で極めて重要な指標である「米4月のCPI」は、前月比では総合CPIが「-0.4%」と市場予想と一致しましたが、前年同月比では「4.9%」と、市場予想の「5.0%」を下回る結果でした。わずか「0.1ポイントの差」でしたが、発表直後ドル円は大きく売られ、市場は債券高、株高で反応しました。総合CPIは約2年ぶりに「5%」を切り、コア指数も若干ですが、鈍化しています。米金融当局が注視する狭義のサービス価格は、前月比での上昇率がもっと顕著に減速し、2022年半ば以来の低い伸びでした。
予想を下回るCPIの結果を受け、6月会合での政策金利据え置きの可能性は高まったと思われます。この先、「PCEデータ」や「5月の雇用統計」など、政策決定に影響を与える指標発表もありますが、昨日のコメントでも述べたように、金融市場を取り巻く外部環境が極めて悪いことを考慮すれば、「利上げ見送り」の可能性は一段と高まったと予想しています。パウエル議長にとっては、「ホット」一息つけた1日であったことでしょう。インフレ退治に全力を傾注し続けてきたパウエル議長にとって、シリコンバレー銀行など、米地銀3行の破綻は想定外のことでした。しかし、信用収縮などの影響はありましたが大事には至らず、これまで乗り越えてきました。「一難去ってまた一難」・・・。今度は「債務上限問題」が浮上してきました。
バイデン大統領はホワイトハウスでマッカーシー下院議長と会談し、着地点を模索しましたが、結局進展はなく物別れに終わっています。マッカーシー下院議長は、債務上限を引き上げると同時に財政改善に向けた歳出削減を求めているようですが、バイデン政権はその主張を受け入れないようです。ただ、早ければ6月1日にも政府資金が底をつく可能性もあり、残された時間が限られていることから、バイデン大統領が19日から開催される「G7広島サミット」への参加を取りやめる可能性も浮上しています。両者は今後も協議を続ける意向であることから、米債務上限問題は最後の最後には上限引き上げが行われるとは思いますが、ヘッジファンドPGIMワドワニの創業者であるワドワニ氏は、「米議員らに行動を促すには2011年と同等またはそれよりもひどい市場の衝撃が必要だ」と述べ、米議会が合意するためには、相当の市場混乱が必要だとの認識をブルームバーグ・テレビジョンの番組で述べています。G7財務相・中央銀行総裁会議に出席するために来日しているイエレン財務長官は、本日会見が予定されており、会見では債務上限問への言及があると思われます。
ドル円は、結局先週2日に記録した137円78銭を上回ることなく下落してきました。日足チャートでは3月8日に付けた137円92銭とともに、「ダブルトップ」の形状を見せています。ひとまず、米インフレ懸念は後退しつつある中、債務上限問題や米景気のリセッション懸念を材料に株式市場が大きく下げるようだと、「リスクオフ」の流れが強まり円を買う動きにつながることも想定されます。その際、下値のメドとなるのは132円台半ば辺りと見ています。
本日のドル円は133円50銭~135円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
東京時間夕方には135円47銭まで買われたドル円は米CPIを受け急落。総合CPIが予想を下回ったことで134円12銭前後までドル安に。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-05-11 10:00