【為替本日の注目点】トルコ大統領選、決選投票不可避か

 ドル円は続伸し、136円台前半まで上昇。債務上限問題に楽観的な見方が出た上、米長期金利が上昇したことで、136円23銭までドル高が進む。ロンドン市場では136円33銭まで上昇する場面も。ユーロドルは小幅に反発したが、1.09台には届かず。株式市場は小幅ながら3指数が揃って上昇。ダウは6日ぶりに反発し47ドル高。債券は続落。長期金利は3.50%台に上昇。金と原油はともに反発。 5月NY連銀製造業景況指数 → -31.8 ドル/円 135.72 ~ 136.23 ユーロ/ドル 1.0864 ~ 1.0890 ユーロ/円 147.61 ~ 148.17 NYダウ +47.98 → 33,348.60ドル GOLD +2.90 → 2,022.70ドル WTI +1.07 → 71.11ドル 米10年国債 +0.039 → 3.502% 【本日の注目イベント】 豪 5月ウエストパック消費者信頼感指数 豪 RBA議事録 中 4月小売売上高 中 4月鉱工業生産 独 5月ZEW景気期待指数 欧 1-3月期GDP(改定値) 欧 3月貿易収支 英 ILO失業率(1-3月) 英 メスター・クリーブランド連銀総裁、ダブリンで講演 英 4月失業率 米 4月小売売上高 米 4月鉱工業生産 米 4月設備稼働率 米 5月NAHB住宅市場指数 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、グールズビー・シカゴ連銀総、会合で公開討論 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで公開討論  14日開票の「トルコ大統領選」では開票率99%の段階で、再選を目指すエルドアン大統領の得票率が49.4%と、50%には届いていません。過半数の票を獲得する候補者がいなければ、今月28日に上位2人による決選投票が行われることになります。国営アナドル通信によると、主要野党統一候補のクルチダルオール候補の得票率は45.6%と接戦となっていましたが、いずれの候補も過半数には届いていないようです。エルドアン氏はアンカラで演説し、自分がクルチダルオール氏を大差でリードしていると主張し、決選投票になるかどうかは不透明だと述べています。大統領として20年トルコに君臨してきたエルドアン氏ですが、長期政権に対する批判の声も多く、高インフレが続く中、利上げを行ってきたことで通貨リラは下落の一途。通貨安が再びインフレにつながるという「悪循環」が続いていることも国民の信頼を失っています。また度々、自分の意に沿わない中銀総裁を更迭するなど、その強権ぶりも世界から批判の声が出ています。さらに今年2月の大地震への対応が不十分だったことも人気凋落に拍車をかけており、支持率が伸びない理由になっているようです。エルドアン氏の勝利が決まらず、決選投票になるとの観測から、トルコリラは荒っぽい動きとなり、一時は6円台前半まで下げる場面もありました。  NY株式市場では、久しぶりに主要3指数が揃って上昇しました。債務上限問題を巡る観測がやや好転していることが背景ですが、「合意」できるとするバイデン大統領に対してマッカーシー下院議長は「われわれは結論到達に程遠い」と語り、スタッフレベルの協議は「全く生産的にはなく、まだ何事についても合意に達していない」と述べるなど、バイデン氏とは認識を異にしています。バイデン氏は明日17日には「G7広島サミット」に向け出発する予定になっています。2週間前にも警告を発しているイエレン財務長官は15日にも議会指導者に書簡を宛てており、その中で、「議会が6月初めまでに債務上限を引き上げるか適用を停止する措置を講じなければ、財務省が政府の支払い義務全てを履行することができなくなる公算が大きいと、引き続き予側される。早ければ6月1日の可能性もある」と伝えています。(ブルームバーグ)政治的なかけひきもある中、本日バイデン氏とマッカーシー氏が再度会談する予定です。果たして「合意」に達すのかどうか注目されます。  米インフレに対するFOMCメンバーの発言が相次いでいますが、今後の利上げに対する認識に違いがあることも明らかになっています。アトランタ連銀のポスティック総裁はCNBCのインタビューで、「2024年に入ってしばらくするまでわれわれが実際に利下げを検討することはない、というのが私の基本シナリオだ」とし、「インフレ指標の大半は、依然とし当局目標の2倍だ。つまり、残された道のりはまだ長いということだ」と述べています。また、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁もイベントで、「労働市場は依然として過熱状態にあり、あまり軟化していない。つまり、インフレ鈍化にはまだ長い道のりが残されているということだ。インフレ鈍化のため、われわれ金融当局としてなすべき仕事が恐らくさらにあるだろう」と、ポスティック総裁と同じような見解を示しています。一方、シカゴ連銀のグールズビー総裁はややハト派的な発言を行い「これまでの急速利上げによる影響の多くが、いまだ経済に浸透しつつあるところだ」と述べ、「FOMCは次の一手を判断する上で注意が必要になる」との見解を示しています。「6月13-14日に開かれるFOMCで当局者がどうすべきか述べるのは時期尚早だ」としつつ、5月会合で利上げを支持した自身の判断は、「銀行セクターで起きている混乱を考え、五分五分だった」とも述べています。(ブルームバーグ)  本日もFOMCメンバーによる発言の機会が幾つかあります。政策当局者の発言と債務上限問題に進展があるかどうか、さらには個人消費の動向を見る上で「小売売上高」にも注目です。  本日のドル円は135-137円程度のレンジを予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続伸し、136円台前半まで上昇。債務上限問題に楽観的な見方が出た上、米長期金利が上昇したことで、136円23銭までドル高が進む。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-05-16 10:30