【為替本日の注目点】米債務上限問題進展なし

ドル円は小売売上高発表直後に135円68銭まで売られたがその後は反発。米長期金利が上昇したことを受け136円69銭までドルが買い戻される。ユーロドルは小動きの中、1.08台半ばから後半で推移。株式市場は再び3指数が売られる。債務上限問題に進展が見られないことや、小売売上高が予想を下回ったことで売りが優勢に。特にダウの下げがきつく、336ドルの下落。債券は3日続落。長期金利は3.53%台に上昇。金は大幅に下げ2000ドルを割り込む。原油も小幅に反落。
4月小売売上高 → 0.4%
4月鉱工業生産 → 0.5%
4月設備稼働率 → 79.7%
5月NAHB住宅市場指数 → 50
ドル/円 135.68 ~ 136.69
ユーロ/ドル 1.0855 ~ 1.0890
ユーロ/円 147.56 ~ 148.50
NYダウ -336.46 → 33,012.14ドル
GOLD -29.70 → 1,993.00ドル
WTI -0.25 → 70.86ドル
米10年国債 +0.032 → 3.534%
【本日の注目イベント】
日 1-3月GDP(速報値)
日 3月鉱工業生産(確定値)
欧 4月消費者物価指数(改定値)
米 4月住宅着工件数
米 4月建設許可件数
米債務上限問題を巡り、バイデン大統領はマッカーシー下院議長ら議会指導者と今月2回目となる会談を行いましたが、依然として「合意」には至っていません。会談後マッカーシー下院議長は、「やるべきことは多い。今週末までに合意に至ることは可能だ。合意に至るのはそれほど難しいことではない」と話す一方で、「合意にはほど遠い」と語ったとも報じられています。バイデン大統領は「わが国は過去デフォルトを経験したことはなく、今後も決してない」と、会談後に話しています。協議は今後も続けられる見通しですが、バイデン大統領は17日に日本に向け出発するものの、「G7広島サミット」閉幕後の21日には、出席を予定していたオーストラリアとパプアニューギニア訪問を取りやめ米国に戻り、債務上限問題を巡る協議に臨むとブルームバーグは伝えています。筆者も含めて多くの市場関係者は、債務上限問題では「最後には合意する」と、楽観的な見方を維持していますが、時間が限られている中、最悪の事態も頭をよぎります。イエレン財務長官は16日、上限引き上げで妥協できず経済的大惨事に見舞われる事態を回避するための「時間は失われつつある」と再度警告を発しています。
FOMCメンバーの発言が昨日も相次いでいます。タカ派寄りで知られているクリーブランド連銀のメスター総裁はダブリンで行われた講演で、「金融政策は経済の長期的な成長率に影響を与えることはできないが、経済を物価安定の状態に戻すことで役割を果たすことは可能であり、それは労働市場や金融システム、経済全体のより長期的な健全性のために必要だ」と述べ、タカ派色は見せていませんでした。リッチモンド連銀のバーキン総裁はややタカ派寄りの発言で、「インフレ鎮静化に成功したとの証はまだ得ていない」とし、「さらなる利上げが必要であれば、そうすることに異論はない」と述べています。ともに米債務上限問題には触れていません。
ホワイトハウスでの協議はこのまま「合意」に至らないことはないと思いますが、6月1日が「Xデー」とすれば残された時間はあと2週間です。このまま「Xデー」に近づくようだと、株と債券が売られ、金が買われると予想されます。その際、「リスク回避の円買い」が進むかどうかは微妙です。債券が売られることによって米金利が上昇し、そちらの方に引っ張られる可能性があるからです。昨日までの動きは、そちらの方向で動いており、債務上限問題が進展しない中、「リスク回避の円買い」はなりを潜める形でドル高が進んでいます。ということは、もし「合意」に達することになれば、株と債券が買われ、金利低下に伴いドルが売られる事態も想定されます。少なくとも、頭の片隅にはそういった事態もインプットしておく構えは必要かと思います。
ドル円は136円69銭まで買われましたが、この所の傾向はNYでは米金利の上昇に一段高となりますが、東京時間では小動きの中でも上値が重い展開が続いています。日経平均株価が予想外の上昇を見せており、「やや米国離れ」をして「独り立ち」の気配があります。今日にも3万円の大台を達成する可能性がありそうですが、その割には「リスクオンの円売り」が顕著に見られる状況にはなっていません。「米国では急激な利上げがある一方、日本は金融緩和継続」、当然と言えば当然の動きと捉えています。
本日のドル円は135円30銭~137円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小売売上高発表直後に135円68銭まで売られたがその後は反発。米長期金利が上昇したことを受け136円69銭までドルが買い戻される。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-05-17 10:15