【為替本日の注目点】FOMC、11会合ぶりに利上げ見送りを決定

ドル円はNYでは、米金利の低下を受け寄り付き直後から売られ139円29銭まで下落。午後にはFOMCでの予想通りの結果を受けドルは買い戻され、140円17銭まで上昇。高値圏で引ける。ユーロドルは買われ、およそ1カ月ぶりに1.0865まで上昇。株式市場はまちまち。ダウは232ドル売られたが、ナスダックは53ポイント上昇し、S&P500はほぼ横ばい。債券は買われ、長期金利は3.78%台に低下。金は反発し、原油は在庫が予想より増加していたことから反落。
5月生産者物価指数 → 1.1%(前年同月比)
ドル/円 139.29 ~ 140.17
ユーロ/ドル 1.0802 ~ 1.0865
ユーロ/円 150.88 ~ 151.78
NYダウ -232.79 → 33,979.33ドル
GOLD +10.30 → 1,968.90ドル
WTI -1.15 → 68.27ドル
米10年国債 -0.027 → 3.786%
【本日の注目イベント】
豪 5月雇用統計
日 5月貿易統計
中 5月小売売上高
中 5月鉱工業生産
欧 ECB政策金利発表
欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
欧 ユーロ圏4月貿易収支
米 新規失業保険申請件数
米 5月輸入物価指数
米 5月輸出物価指数
米 6月NY連銀製造業景況指数
米 5月小売売上高
米 6月フィラデルフィア連銀景況指数
米 5月鉱工業生産
FRBは今朝の会合で昨年3月に利上げを決めて以来、11会合目にして、ようやく利上げ見送りの決定を行いました。予想通りの結果です。ただインフレ鎮静化に向けて引き締めを再開する可能性が高いとのシグナルも発しており、市場の見通しよりも多い追加利上げが予想されます。声明文では、「最近の複数の指標は、経済活動が緩慢なペースで拡大を続けていることを示唆する。雇用の伸びはここ数カ月堅調で、失業率はまだ低い。インフレは依然として高水準にある」とし、「委員会はより長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。これらの目標実現を支えるため、委員会はフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標のレンジを5-5.25%に据え置くことを決めた。委員会は金融政策の累積的な引き締めや、金融政策が経済活動とインフレに与える影響の遅行性、経済や金融の情勢を考慮する」と述べています。
パウエル議長は会見で、「インフレを鈍化させるためには2023年中に幾分かの追加利上げが適切になると、ほぼ全ての政策当局者が予想している」と説明しています。また議長は、「インフレ圧力は高い状態が続いており、インフレ率を2%に戻すプロセスにはまだ長い道のりが残されている」と語っています。この辺りのコメントがやはり「タカ派寄り」と思われ、想定通りでした。議長はさらに、これまで連続で5%もの大幅利上げを行ったことを踏まえて、「FOMCは今会合で金利を据え置くことが賢明と判断した」とし、「われわれの政策は広い領域をカバーしたが、引き締めの十分な効果はまだ実感されていない」とも述べています。7月会合では追加利上げがあり得るかどうかは明言を避けていますが、結局これまで通り、これも今後のデータ次第ということです。同時に発表されたFOMC参加者による最新の経済・金利予測では、中央値で政策金利が年末までに「5.6%」に上昇すると予想されていることが示されています。これは前回の予想「5.1%」から、0.5ポイント上昇したことになります。現在の水準から0.25ポイントの利上げが2回実施されることが示唆されていますが、FOMC会合は次回7月会合を含め年内はあと4回予定されています。どの会合で利上げが行われるのか、また都合0.5ポイントの利上げがあるのかどうかも、やはり今後のデータ次第ということです。
NYでは朝方には139円台前半までドルが売られましたが、このドット・プロットとパウエル議長の「タカ派寄り」の発言が効いたのか、その後140円台まで値を戻しています。ただ、今回は注目されていたほど、大きな値動きにはつながらなかった印象です。
国防情報の意図的な保持や不正な文書隠蔽、司法妨害の共謀、虚偽の説明など7つの罪に問われ、37件の個別事案で起訴されたトランプ前大統領は、フロリダ州マイアミの連邦地裁に出廷し、全て無罪を主張しました。トランプ氏はその後、ニュージャージー州にある自身のゴルフリゾートで演説を行い、「今日は不名誉な日になるだろう」と語り、「私は法に従ってきた人物だ。バイデン氏と同氏の腐敗した司法省は法を免れている」とバイデン政権を批判し、「私にはこれら文書を保有するあらゆる権利があった。個人的な資料を大統領の記録と分ける決定は、大統領がその任期中に大統領の単独の裁量で行うものだ」と主張し、「彼らはこの案件を直ちに取り消すべきだ」と論じていました。(ブルームバーグ)裁判の結果が出るには時間がかかりますが、トランプ氏自身が言うように、今回の起訴で同氏への支持率は上がっているようですが、それは共和党の支持者の話であって、無党派層の支持率は下がっていると見られます。今後裁判の結果次第では、共和党候補者への資格そのものが剥奪される可能性もあります。
2大イベントを終えて、ドル円はこれまでのレンジである139円―141円前後の壁を破ることはありませんでした。これでやや材料不足になることも予想され、動きも緩慢になるかもしれません。
本日のドル円は139円20銭~140円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円はNYでは、米金利の低下を受け寄り付き直後から売られ139円29銭まで下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-06-15 10:00