【為替本日の注目点】ドル円、薄商いの中142円に

 東京時間には、株価の大幅下落にもかかわらずドル円は底堅く推移。欧州時間朝方には142円に載せる場面もあり、堅調に推移。ユーロドルはやや水準を切り下げるも1.09台は維持。ECBの利上げも終盤に入ったとの声も。 6月NAHB住宅市場指数 → 55 ドル/円 141.66 ~ 142.01 ユーロ/ドル 1.0907 ~ 1.0939 ユーロ/円  154.68 ~ 155.15 NYダウ ------ → 34,299.12ドル GOLD ------ → 1,971.20ドル WTI ------ → 71.78ドル 米10年国債 ------ → 3.761% 【本日の注目イベント】 豪 RBA議事録 日 4月鉱工業生産(確定値) 独 5月生産者物価指数 欧 ユーロ圏4月経常収支 米 5月住宅着工件数 米 5月建設許可件数 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演  NY市場が休場のため大きな値動きは見られませんでしたが、ドル円は欧州時間の朝方には142円台に載せる場面がありました。特段材料もない中、中銀による金融政策の方向性の違いが重しとなり円売りの流れが続いています。ただ、今朝の欧州からの報道の中には、ECBの一連の利上げもFRB同様、終盤に入ったとの声も出てきました。ECBの政策委員会のメンバーでもあるギリシャ中銀のストゥルナラス総裁は19日、「われわれは金利上昇サイクルの終わりに近づいているが、まだそこには至っていない」としながらも、「金融の安定を確保し、経済をリセッションに追いやることを避けながら、インフレを抑制する必要がある」と述べていました。現時点での市場のコンセンサスは、FRBはあと1回の利上げで、ECBはあと2回必要との見方が有力となっているようです。  中国を訪問中のブリンケン国務長官は、秦剛同国外相との会談を終えてから立て続けに同国要人との会談を行いました。中国外交トップの王毅氏との会談の後、習近平主席とも会談を行っています。昨日の夜のニュースでもその様子が放映されており、目立った成果はありませんでしたが、それでも中国高官の早期のワシントン訪問と、それに次ぐ米中首脳会談の可能性は残されたようで、米中関係に「前向きな一歩」があったとの印象です。ブリンケン氏は、「両国の今後のより良いコミュニケーションと関与が可能になることが私の望みであり期待だ」と述べています。習氏も「幾つかの点で進展し合意に達した」と述べているようです。  ただ一方でブリンケン氏は、「この関係の難しさについて幻想を抱いてはいけない」とし、「双方の考えが深く異なり強く相反する問題も多い」と語っています。また中国側も国営テレビが同国外務省の楊濤氏の発言を伝えています。それによると、楊氏は「中国と米国の関係は両国の外交関係が築かれて以来最悪のレベルだ」とし、「現在の問題は米国側の中国に対する誤った理解と、誤った対中政策が原因だ」と批判し、ブリンケン氏に対しても「中国が脅威だとの主張を米国はやめるべきだ」としたほか、「対中制裁は違法であり、終わらせるべきだ」と指摘。また、「中国の技術発展の抑制や中国の内政への干渉をやめるよう伝えた」としています。最後に、「習近平主席がブリンケン氏と面会したのは『儀礼』にのっとったものだ」とも発言しています。(ブルームバーグ)今朝のブルームバーグは、今回の一連の会談を「矛盾」といった大きな見出しを付して伝えていました。今回の会談では、米国が先に動いた印象です。「対話か対決か」の選択を迫られている状況の中、このままでは不測の事態も想定される現状を、米国としても修正の糸口を探るため国務長官訪中という「ボール」を中国側に投げ、中国側がそのボールをどのように投げ返してくるのかを探ったのだと思われます。台湾問題を中心に、中国は決して妥協することはないと思われ、米中トップ会談の実現はそう簡単ではないのかもしれません。  米財務省は半期ごとに公表している「外国為替報告書」を16日に発表し、日本が2016年以降で初めて「監視対象国指定リスト」から除外されたことが判明しました。米国財務省が公表している「為替操作国」として判断する基準は3つあります。 1. 対米経常黒字額が国内総生産(GDP)比2%以上 2. 対米経常黒字額が年間200億ドル(約2兆8400億円)以上 3. 為替市場介入の総額がGDP比2%以上 となっています。財務省の神田財務官は昨日、監視対象から外れたことに対して、「歓迎する。当局同士で緊密な意思疎通を図ってきたことが評価されたところもあると思う」と述べています。昨年、円が大幅安に振れた段階では145円と151円台などで3回も市場介入を行っており、今回の決定を見ると、それらの介入には米国側の理解が示されたとも受け止められます。ただ介入を頻繁に行うようだと、再び「為替操作国」に逆戻りするリスクはあります。足下では142円台まで円安が進んできており、財務省・日銀にとっても今回の決定が今後さらに円安が進んだ場合の介入姿勢に若干追い風になるかもしれません。もし昨年に続いて介入があるとすれば、その水準は145円前後かと考えています。  本日のドル円は141円~142円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
東京時間には、株価の大幅下落にもかかわらずドル円は底堅く推移。欧州時間朝方には142円に載せる場面もあり、堅調に推移。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-06-20 10:00