【為替本日の注目点】パウエル議長の議会証言待ち

 底堅く推移するドル円は、昨日の東京時間朝方には142円25銭まで買われたがその後じり安の展開。NYでは米長期金利の低下もあり、141円台前半まで売られる。ユーロドルはやや水準を切り下げ1.08台後半まで下げる。株式市場は3指数が揃って続落。ナスダックはハイテク株の下げが限定的だったことから小幅安だったものの、ダウは245ドル下落。債券は反発。長期金利は3.72%台に低下。金と原油は揃って売られる。 5月住宅着工件数 → 163.1万件 5月建設許可件数 → 149.1万件 ドル/円 141.22 ~ 141.75 ユーロ/ドル 1.0891 ~ 1.0935 ユーロ/円 154.04 ~ 154.69 NYダウ -245.25 → 34,053.87ドル GOLD -23.50 → 1,947.70ドル WTI -1.28 → 70.50ドル 米10年国債 -0.041 → 3.721% 【本日の注目イベント】 日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(4月27日、28日分) 英 英5月消費者物価指数 米 パウエル・FRB議長、下院金融委員会で証言 米 グールズビー・シカゴ連銀総裁講演 加 カナダ4月小売売上高  141円台に入っても底堅い動きを見せていたドル円は、昨日の東京時間朝方には142円25銭まで「ドル高円安」が進みました。ただその直後には141円台半ばまで売られ、それでもその後戻す場面もありましたが、結局NYでもジリ安の展開に終始しています。この欄でも触れたように、この水準は昨年11月21日に記録した水準で、直近のドルの高値でした。レートも全く同じ142円25銭で、やはりこの水準が意識されたものと見られます。もっとも、この水準をしっかり抜ければ、昨年の最高値151円93銭までの間には抵抗らしい抵抗は見られず、ドルが一段と上昇する可能性もあります。直近の高値であったことと、すでに介入警戒水域に入っていることが、ちょっとしたきっかけでドル売りをあぶり出す雰囲気もあります。  今夜からパウエル議長の半期に一度の議会証言が始まります。先ずは下院の金融委員会で、議員の質問に答えることになります。「今年3月以降、シリコンバレー銀行(SVB)など一連の銀行破綻が相次ぎ、米金融当局はきびしい批判にさらされた。その後、最も深刻な金融面の緊張は和らいだものの、与信の引き締まりが米経済にどの程度の影響を及ぼし、それが金融政策運営にどのような意味を持つのか、民主・共和両党の議員を安心させることが課題となる」とブルームバーグは論じています。また、FOMCメンバーの金利予測分布図(ドット・プロット)では、政策金利の中央値が年末までに5.6%まで上昇するとの予想が示され、前回予測よりも0.5ポイント上昇したにもかかわらず、6月会合では利上げが見送られた経緯などにも質問が及びそうです。22日には上院銀行委員会での証言が続きます。パウエル議長は証言の中で、おそらくこれまでの累積である5%という「大幅利上げの効果を見極める段階だ」と説明するのではないかとみています。また、その効果の遅行性や時差についても言及があるかもしれません。  5月の住宅着工件数が予想を大きく上回る「163.1万件」(年換算)でした。これは2016年10月以来となる高水準です。米住宅市場は、昨年3月の利上げ開始以降減速傾向を示し、住宅ローン金利の上昇にほぼ連動する形で鈍化傾向を見せていました。今回の上振れが単月に終わるのかどうかを見極める必要がありますが、住宅着工の先行指標となる「建設許可件数」も前月比で5.2%の増加を示し、住宅建設が経済成長押上に寄与する可能性も指摘されています。また前日発表された全米ホームビルダー協会(NAHB)の6月の住宅市場指数も「55」と、11カ月ぶりの高水準でした。ここでは、中古住宅の在庫不足により、新築物件に対する買い意欲が高まっていると分析されています。住宅市場の今後の動向が、米景気のリセッション入りの可能性を占う上でも一つのカギとなりそうです。  ドル円は昨日の高値から1円程下げてきました。達成感や警戒感からドル売りが持ち込まれた結果かと思いますが、市場は7月会合での利上げの有無を探っている段階です。多くの経済指標の中でも、再び雇用統計と消費者物価指数のデータが大きな比重を占めることになりますが、上でも述べたように、パウエル議長の今後の政策スタンスも重要になります。  本日のドル円は140円50銭~142円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
底堅く推移するドル円は、昨日の東京時間朝方には142円25銭まで買われたがその後じり安の展開。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-06-21 09:45