【為替本日の注目点】ドル円NYで年初来高値をわずかに更新

東京時間では142円台が重く見えたドル円だったが、NYではパウエル議長の議会証言を境にドル高が進む。前日記録した142円25銭を若干上回る142円37銭まで上昇。ユーロドルも堅調に推移。ユーロ円を買う動きも継続されユーロドルは1.0991まで上昇。対円でも155円82銭近辺までユーロ高が進む。株式市場はパウエル議長の証言を受け3指数が3日続落。債券はほぼ横ばい。長期金利は3.72%前後で推移。金は続落し、原油は反発。
ドル/円 141.69 ~ 142.37
ユーロ/ドル 1.0907 ~ 1.0991
ユーロ/円 154.83 ~ 155.82
NYダウ -102.35 → 33,951.52ドル
GOLD -2.80 → 1,944.90ドル
WTI +1.34 → 72.53ドル
米10年国債 -0.002 → 3.719%
【本日の注目イベント】
トルコ トルコ中銀政策金利発表
欧 ユーロ圏6月消費者信頼感指数
英 BOE金融政策発表
英 BOE金融政策委員会(MPC)議事録
英 ウォラー・FRB理事講演(ダブリン)
米 新規失業保険申請件数
米 経常収支(1-3月)
米 5月中古住宅販売件数
米 5月景気先行指標総合指数
米 パウエル・FRB議長、上院銀行委で証言
米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
米 ボウマン・FRB理事、イベント開会挨拶
パウエル議長は下院で議会証言を行い、予想通り「タカ派寄り」の発言を行いました。この発言を受けドル円は142円37銭まで買われ、前日付けた年初来高値をわずかですが上回っています。ドル円が買われた背景は、米インフレ退治の工程はまだ終わっていないということもありましたが、昨日の日本の債券市場では長期金利が低下し、0.37%と、1カ月ぶりの低水準を付けたことも挙げられます。日銀の金融政策修正観測が後退したことで債券が買われ、円の金利が低下したものです。日米金融政策の方向性の違いに伴う、日米金利差の拡大が円売りドル買いを促しています。一方、財務省などによる介入警戒感もくすぶり続けており、一気に円売りが加速する状況ではなく、じりじりと円が売られ、ドル円は「一歩後退、二歩前進」といった動きになっています。当局としても、投機的な動きではなく、このように円のジリ安の動きに対しては介入しづらい面もあろうかと思います。
パウエル議長は証言で、「同僚と私は高インフレがもたらしている困難を理解しており、インフレ率を目標の2%へと戻すことに引き続きコミットしている」と説明しています。その上で、「FOMC参加者ほぼ全員が、年末までに幾分かの追加利上げが適切になると予想している」と、今後も利上げの可能性があることを示唆しました。ただ、その時期などについては、「われわれは、入手するデータとそれらが経済活動とインフレの見通しに対して持つ意味合いの全体像、さらにリスクのバランスに基づき、今後も会合ごとに判断を行っていく」と説明しています。この発言内容は、先週14日のFOMC会合後に述べた、「インフレを鈍化させるためには2023年中に幾分かの追加利上げが適切になると、ほぼ全ての政策当局者が予想している」と、内容は整合しており目新しいものではありません。また、過去1年余りの利上げペースについて触れ、「プロセスのより早い段階では、スピードは非常に重要だった」とした上で、「今はあまり重要ではない」と述べています。議長は、自動車走行における速度減速に例え、「幹線道路を時速75マイル(約120キロ)で走行していたとして、その後に地域の主要道に入った時点で速度を50マイルに落とす」とし、「さらに目的地に近づき、その目的地を探そうとする中で、スピードをさらに落とす」と説明しています。市場では、今後も幾分かの追利上げの可能性に反応し、株が売られドル円が買われています。
ただ一方で、これまでの大幅利上げを踏まえ今後の利上げについては慎重な見方を示すメンバーもいました。アトランタ連銀のポスティック総裁は、「金融政策が真に景気抑制的になった1年弱であり、金融政策の変更が意味ある形で経済活動に影響するには時間を要するため、しばらく景気抑制的な金融政策を浸透させることは賢明だ。今後数カ月で引き締めが一段と効果を発揮する」との認識を示した上で、「私の基本線では、われわれは今年いっぱいこの水準でとどまるべきだ」と述べ、年内の政策金利据え置きを支持する姿勢を示しています。(ブルームバーグ)またシカゴ連銀のグールズビー総裁はフォーラムで、先週のFOMC会合での金利据え置き決定について、「個人的には今でも際どい判断だった」と述べていました。これらの発言を踏まえると、FRBの金融引き締めも今後大幅利上げの効果も見込めることから、「ほぼ終盤に近い」と判断できそうです。7月に利上げがあるかどうかは今後のデータ次第ですが、あと1回の追加利上げが基本かと思います。
上でも触れたように、ドル円はすでに介入警戒水域に入っていると思いますが、仮に介入があったとしてもここでは「口先介入」といった「けん制」にとどまると予想しています。「実弾介入」はやはり、145円を上回り、さらにそのスピードも速いことが必要でしょう。ただ、仮に実弾があったとしても、昨年秋に見られたほどの効果については、個人的には疑問です。市場では恐る恐る介入を警戒しながらの小幅な上昇が続いています。
本日のドル円は140円80銭~142円50銭といったところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
東京時間では142円台が重く見えたドル円だったが、NYではパウエル議長の議会証言を境にドル高が進む。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-06-22 10:00