【為替本日の注目点】FOMC議事録はややタカ派寄り

 ドル円は朝方144円08銭まで売られたが、FOMC議事録が公表されるとドルは上昇。144円70銭まで買われ、この日の高値圏で引ける。ユーロドルは、ドルが買われユーロの上値を重くしたものの、方向性が乏しくもみ合い。株式市場はFOMC議事録の内容や中国景気への懸念から3指数が揃って下落。債券は続落し長期金利は一時3.94%台まで上昇。金は反落し、原油は反発。 5月製造業受注 → 0.3% ドル/円 144.08 ~ 144.70 ユーロ/ドル 1.0852 ~ 1.0902 ユーロ/円 156.86 ~ 157.46 NYダウ -129.83 → 34,288.64ドル GOLD -2.40 → 1,927.10ドル WTI +2.00 → 71.79ドル 米10年国債 +0.077 → 3.932% 【本日の注目イベント】 豪 豪5月貿易収支 独 独5月製造業新規受注 欧 ユーロ圏5月小売売上高 米 6月ADP雇用者数 米 新規失業保険申請件数 米 5月貿易収支 米 6月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) 米 6月S&Pグローバル総合PMI(改定値) 米 6月ISM非製造業景況指数 米 5月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 米 イエレン財務長官、訪中(9日まで) 米 ローガン・ダラス連銀総裁、パネル討論に参加  6月のFOMC会合では11会合ぶりに政策金利を「全会一致」で据え置くことを決めましたが、昨日公表された同会合の議事録では「全会一致」という表向きの決定が示唆するほど、メンバーの見解が揃っていなかったことが明らかになりました。一部の参加者からは0.25ポイントの利上げを支持する意見もありました。  議事要旨では、「ほぼ全ての参加者がフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5-5.25%に据え置くことが適切、あるいは容認できると判断した」とありました。その上で要旨は、「一部の参加者は今会合で目標レンジを25ベーシスポイント(bp)引き上げる方が好ましい、ないし、そうした提案を支持できたかもしれないと表明した」と記しています。利上げを支持した当局者らは、タイトな労働市場のほか、インフレ率が当局の2%目標に向って減速している兆しが比較的乏しいことを理由に挙げていました。結局、6月会合では金利据え置きを決定したものの、政策当局者にとっては、いかに厄介なものだったかを示している。(ブルームバーグ)としています。議事録公表後は、株式と債券が売られ、長期金利は一時3.94%台まで上昇し3月9日以来となる高水準を付け、ドル上昇を後押しする結果になっています。米長期金利が4カ月ぶりに「4%の大台」に載せるのかどうかが注目されますが、明日の雇用統計の結果次第では可能性がないとも言えません。  イエレン財務長官が本日6日から中国を訪問します。政治的、外交的には非常に厳しい状況にある米中関係ですが、経済面では異なっています。財務長官就任後初めて中国を訪れるイエレン氏は、過去数カ月にわたり訪中の意向を示していたと言われていますが、中国が自国の領土の一部と主張する台湾をペロシ下院議長(当時)が昨年訪問したことや、偵察活動が疑われる中国の気球の米領空への侵入に伴い、実現が遅れていました。今回の訪中でイエレン氏は、経済面で共通点を見つけるとともに、対話ルートを開設することが目的とされています。米国の重要閣僚が中国を訪問するのは、先月のブリンケン国務長官に続き2人目となります。今回の訪中でイエレン氏は、中国高官との会談は予定されていますが、習近平国家主席との会談は現時点では予定されていないようです。  すでに市場介入がいつあってもおかしくはない水準に入っているドル円ですが、先週1日の日経新聞に介入を巡るイエレン財務長官の言葉が掲載されていました。イエレン氏は日本政府の市場介入を容認するのかどうかのコメントは避け、「私たちのチームは介入の根拠をより理解しようとしており、日本の当局者とも連絡を取り合っている」と述べ、為替介入の是非について日本政府と調整に入っていることを明らかにしています。この件については、その後の新しいニュースを探しても見つかりませんでしたが、4日に神田財務官がこの件について、「同盟国米国を含め各国当局と日ごろからほぼ毎日、為替・金融に限らずさまざまな意見交換、意思疎通を図っている」と財務省内で記者団に述べていました。米国にとっては足元の「ドル高」は、インフレ阻止を掲げる金融当局にとっては「大歓迎」であることから、ドルを押し下げる市場介入を巡り米財務省がどのような認識を持っているのか重要なポイントです。今後明らかになってくると思われます。  今日のNYでは「6月ADP雇用者数」、「新規失業保険申請件数」、「5月雇用動態調査(JOLTS)求人件数」といった、米労働市場の動向を示す指標が多く発表されることから、ドル円も動きそうです。また「6月ISM非製造業景況指数」といった比較的重要な指標も発表されます。結果次第では、ドル円は再び145円台に載せるかもしれません。ドル円は6月30日の東京市場で145円台に載せてからはやや上値が重くはなっていますが、それでもここ1週間ではほぼ144円台を上回る水準で推移しており、底堅さは変わっていません。介入警戒感に加え、先のECBフォーラムでの植田日銀総裁の発言でもやや変化も見られており、やや長い目で見ればドル下落のリスクは依然残っていると考えます。  本日のドル円は143円50銭~145円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は朝方144円08銭まで売られたが、FOMC議事録が公表されるとドルは上昇。144円70銭まで買われ、この日の高値圏で引ける。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-07-06 09:45