【為替本日の注目点】6月のADP雇用者数大きく上振れ

 東京時間夕方には143円56銭近辺まで売られたドル円はNYで急反発。ADP雇用者数が大きく上振れ、米金利が上昇したことで144円65銭までドルが買われる。ユーロドルは依然として上値を切り下げ、この日は1.09前後を天井に1.08台前半まで売られる。株式市場では3指数が揃って続落。6月のADP雇用者数が予想の倍以上だったことでほぼ全面安の展開。債券は続落。長期金利は4%台に載せ、一時は4.03%台まで上昇。金は続落し、原油は横ばい。 米6月ADP雇用者数 → 49.7万人 新規失業保険申請件数 → 24.8万件 5月貿易収支 → -69.0b 6月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 54.4 6月S&Pグローバル総合PMI(改定値) → 53.2 6月ISM非製造業景況指数 → 53.9 5月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 → 982.4万件 ドル/円 143.64 ~ 144.65 ユーロ/ドル 1.0834 ~ 1.0901 ユーロ/円 156.45 ~ 157.17 NYダウ -366.38 → 33,922.26ドル GOLD -11.70 → 1,915.40ドル WTI +0.01 → 71.80ドル 米10年国債 +0.098 → 4.029% 【本日の注目イベント】 日 5月景気先行指数(CI)(速報値) 中 中国6月外貨準備高 独 独5月鉱工業生産 欧 ラガルド・ECB総裁、パネル討論に参加 米 6月雇用統計 加 カナダ6月新規雇用者数 加 カナダ6月失業率  昨日のドル円は上下に大きく動きました。  東京時間は日経平均株価の大幅下落に反応して144円台を割り込み、さらに日経電子版が内田日銀副総裁とのインタビュー記事を配信したことで、143円56銭前後までドル売りが進みました。副総裁はYCCについて、「金融仲介や市場機能に配慮しつつ、いかにうまく金融緩和を継続するかという観点からバランスを取って判断していきたい」と述べています。その上で当面は「YCCを続けていく」とも述べており、これまでの植田総裁の発言と大きく異なる点はありませんでしたが、ヘッドラインに反応してドル売りが先行したものと思います。  およそ10日ぶりに143円台半ばまで売られ、上値を重くしたように見られたドル円でしたがNYでは大きく反発しました。それもそのはず、米労働市場の好調さが再確認され、米金利が急騰するなど、「ドル買い材料一色」といった状況でドルが上昇しました。6月のADP雇用者数は市場予想の「22.5万人」に対して、「49.7万人」と、倍以上の結果でした。雇用は建設、貿易、運輸、娯楽、ホスピタリティといった比較的広い範囲で増加しており、地域別でも南部を除いた全地域で増加していました。特に従業員250人未満の企業で大幅に増えていました。(ブルームバーグ)ADPは民間部門の雇用統計で、必ずしも今夜の雇用統計とは一致しないケースが多く見られますが、この結果を受け、いやが上にも今夜の数字にも上振れ期待が高まります。  また6月のISM非製造業景況指数も、4カ月ぶりの高水準となり、業況指数や新規受注が拡大しています。さらに再就職あっせん会社「チャレンジャーG&C」が発表したデータでは、米企業の人員削減数は6月が昨年10月以来となる低水準でした。5月の求人件数も前月からは減少したものの、歴史的には高水準にとどまっています。これらドル買いのデータに加えて、FOMCメンバーからも相変わらず「タカ派寄り」の発言も出ています。ダラス連銀のローガン総裁は、「インフレ率が持続可能かつ適時な形で目標に戻るかどうかについて、依然として非常に懸念している」と発言し、「物価安定と最大雇用というFOMCのゴールに達成するためには、より景気抑制的な金融政策が必要になると考える」との見解を示しています。  これらの材料に株式市場ではダウが一時500ドル下げるなど、ほぼ全面安の展開でした。債券も大きく売られ、2年債は5%の大台に載せ、10年債も3月2日以来、約4カ月ぶりとなる4%台を記録しドル買いに拍車を掛ける結果になりました。ドル円は結局、この日の底値から1円程戻したことになりますが、あらためて米労働市場の好調さは人手不足に支えられているとはいえ「想定外の強さ」です。この結果、2時間足までの短期のチャートでは「売りシグナル」が点灯しましたが、急速に戻しています。ただ、日足ではMACDが「デッドクロス」を示現している点には注意していますが、それでもまだ「プラス圏」でのクロスです。一応念のために。今夜の雇用統計では非農業部門雇用者数(NFP)は「23万人の増加」と予想されています。昨夜のADPのように大きく上振れすれば再び145円テストの可能性もあるかもしれませんが、今朝8時過ぎにはドル円は再び144円を割り込んできています。どちらかと言えば上値の方が重くなってきた印象ですが、どうでしょう。  本日のドル円は142円70銭~144円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
東京時間夕方には143円56銭近辺まで売られたドル円はNYで急反発。ADP雇用者数が大きく上振れ、米金利が上昇したことで144円65銭までドルが買われる。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-07-07 10:00